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技術革新が越えなくてはならないブルーオーシャンとガラパゴス化の国境地帯

 技術革新、イノベーションアクセラレータに関しては、積極的で前向きな推進論がある一方で、懐疑的な警戒論もまた後を絶ちません。ある特定の技術革新を推進すべきか警戒すべきか、推進するとしたらどのような規制の下で進めるべきか、個々のテクノロジーの持つメリットとデメリット、負の側面を精査しなくてはならない事は、過去の原爆開発の事例を持ち出すまでもなく明らかでしょう。

 その意味で、日経電子版に掲載された記事(フィナンシャル・タイムズの社説)【アマゾンのドローン配送は無用だ】は、きわめて明快にドローン配送のリスク、無用性を主張しています。



 アマゾンのドローン配送の是非はさておき、一般論として、多数のドローンが住宅地の上空を飛び交う情景は、AIなどと違って、誰にでも危険性が予測できるものです。

 技術革新のもたらす自動化・効率化・低コスト化ばかりが強調されたり、技術革新が、持続可能性の担保されたベネフィットという目的から外れて、テクノロジーのためのテクノロジー、手段の目的化という罠に陥ってしまうリスクは、ドローンに限らず全てのテクノロジーに共通の課題だと考えられます。

 ドローンが、特定の用途、空撮やインフラの点検などに有用な事は明らかですが、他の多くのテクノロジー同様、行き過ぎた汎用性、特殊用途を追い求めることは、袋小路に全速力で突っ込んでいくようなものかも知れません……



 技術革新は、常にそのメリットとデメリット、正のポテンシャルと負のポテンシャルを秤にかけられながら、広い視野、観点からその先にあるのがブルーオーシャンなのかガラパゴス化なのか検討され、議論され続ける必要がありそうです。

 そして、言うまでもなく、最も注意が必要なのは、技術革新の越えようとしている国境が、ブルーオーシャンでもガラパゴス化でもなく、ディストピアである場合かも知れません。



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