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コンビニの売れ残り値下げは良いコト~『三方良し』の値下げ~

 日経電子版の記事【コンビニ、売れ残り実質値引き セブンなど食品ロス削減】を読んで改めて思うのは、お弁当など販売期限の迫った商品を値下げするのは当たり前ではないか、という事です。売れ残りそうな食品を、値下げの努力もせずに、捨ててしまうという発想には、常識的に大きな違和感を禁じ得ないのではないでしょうか?



 理由はともあれ、『値下げ』行為それ自体は、決して悪いコトではないはずです。

 そもそも、売れ残りは何故発生するのか?

 ――答えは簡単で、100%の発注精度などありえないからです。『理想』は、いつ何人が何をいくつ買うか、ピタリと言い当てることですが、『現実』には、AIによる自動発注であろうと人手による発注であろうと、読み間違い、誤差、発注後の与件の急変などがある訳です。

 多く取り過ぎれば、ユーザーにとっては品切れがない状態ですが、値下げなどで売り切る努力をしなければ、売れ残って廃棄ロスとなってしまいます。

 逆に発注が少なすぎれば、ユーザーに品切れという大きな迷惑をかけ、チャンスロスが発生するばかりか、そのような状態が頻発すれば顧客の流出に繋がりかねません。

 問題は多く取り過ぎた時の『対処』であって、これには、値下げをせずに全量廃棄してしまうような場合の廃棄ロスと、値下げ行為によってなるべく廃棄せずに済むよう売り切ってしまう値下げロスの2つがあるのです。廃棄ロス、食品ロスは、単に店舗の2大コストの一つと言うだけでなく、大きな社会課題であり、サステナビリティ(持続可能性)に反している事は言うまでもありません。値下げロスであれば、コストは大幅に圧縮され、食品ロスも限りなくゼロに近付けることが可能なのです

▶発注精度と『値下げ』

(理想)発注精度100%
   ⇩
(現実)読み間違い・ミス・与件の急変・誤差・・・・・・
   ⇩
①数が少なく品切れ⇨チャンスロス+ユーザーの利便性の毀損
②数が多すぎた
   ⇩
(対処)
廃棄⇨2大コストの一つ+サステナビリティの欠如
値下げ⇨コスト削減+サステナビリティ



 このように、値下げによって廃棄を回避することには大きな意味がありますが、改めて『廃棄』の問題点を整理しておくと――

▶『廃棄』の問題点

(1)『利益を食い潰す』・・・言うまでもなく、商品を捨てれば、せっかく
             売れた商品で稼いだ利益を食い潰すことになり
             ます。

(2)『処理費用もかかる』・・・もちろん、廃棄処理するには費用がかかり
              ます。

(3)『大切な資源の有効活用』・・・『廃棄』は、大切な資源の有効活用に
                全く反しています。

(4)『環境負荷』・・・焼却などの環境負荷。        



 もし商品が売れ残りそうになったら値下げで売り切ってしまうという考え方は、至極常識的なもので、廃棄ロスを恐れるあまり極端に発注を絞り込んで、結果として品切れが常態化するような状態の回避などに繋がり、ユーザーにとって良いのはもちろん、加盟店にとっては、持続可能性のあるコスト削減、コンビニを取り巻く社会にとっては、大切な資源の有効活用と環境負荷の低減に繋がります。

 まさにユーザー・加盟店・社会にとっての『三方良し』ですが、今や、サステナビリティを重んずることはコンビニ業界にとっても避けて通れない価値となってきているのではないでしょうか。24時間営業など数々の『常識』を打ち破って成長してきたコンビニ業界も含めた『四方良し』を実現するには、今一度『常識』に立ち返ったビジネスモデルの転換が求められているのかも知れません。


 

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