見出し画像

『はやぶさ2』とロボットレストラン~新たなステージに入った人間と機械の関係~

 人間と機械との関係は、太古の昔人間が道具を発明し、それがやがて機械へと進化して以来、綿々として続いています。その関係が新たなステージへと入ったことを象徴するかのような記事が、日経電子版に相次いで掲載されました。【米国で増えるロボットレストラン 安い早いを実現】と【人と機械、究極の連携 はやぶさ2未踏への軌跡(1)】です。
 人間と機械とのコラボレーションは、これから先どのように進化していくのでしょうか?



 【米国で増えるロボットレストラン 安い早いを実現】で紹介されるのは、高いわりに栄養的に満たせないテイクアウトランチ、という生活課題に対して、人間とロボットが協働して立ち向かった例です。人間だけでは不可能だったコトが、ロボットという機械とのコラボレーションで実現できたのです。

▶人間とロボがコラボする『ロボットレストラン』のメリット
 =話題性+人手不足対策+「早い、安い、旨い」(生活課題への解)

▶人間とロボがコラボする『ロボットレストラン』のメソッド
 =ダイバーシティ(エンジニア×一流シェフ)
  +UXデザイン+カスタマイゼーション

 この事例は、まるでスタートアップ、イノベーションの教科書に出てくるケーススタディーのようです。ロボットとの協働からそのポテンシャルを最大限引き出すためのメソッド(ダイバーシティ+UXデザイン+カスタマイゼーション)が素晴らしいです。逆に言うと、従来の方法に囚われない革新的なメソッドがあって初めて、人間と機械との関係を新たなステージへと引き上げることが出来る、とも言えます。


 そして、【人と機械、究極の連携 はやぶさ2未踏への軌跡(1)】で紹介されるのは、言わずと知れた「はやぶさ2」の事例。詳細は記事に譲りますが、交信に20分のタイムラグのある遥かな宇宙空間でのミッションは、人間と機械がそれぞれの得意分野でガッチリとスクラムを組まなければ達成できない難題です。


 このように、人間と機械が、新しいメソッドで繋がって、新たなコラボレーションの領域を開拓していく背景には、機械の進化、『機械の生命化』という現象があることは間違いありません。機械は、AIによって『知能』を、ロボット工学によって『体』を与えられ、より『生命』に近い存在となる事で、人間との協働の質と量を磨き上げていくのです。

▶『生命化』する機械
 =『スマート化』する機械✖『ロボット化』する機械

(註:『生命化する機械』については、下記の拙稿で考察しています。)

 

 このような、人間と機械とのコラボレーションを表す新しい方程式、
『AI+ロボット+人間=?』は、一体何を生み出すのか
、そこに、人間の『幸福』に反するようなアウトプットがあってはならない事は確かです。ロボットの誤作動・欠陥、人間の側の倫理に反するような目的、そして、現在一番注目を集めているのが、AIに関する議論ではないでしょうか? 

 最近も、その議論を整理したリポートが日経電子版に掲載されました。【AIは人類の敵か味方か 各界リーダーの提言】です。


 この記事で最も注目すべきだと思った見解は、米マイクロソフトのナデラCEOの次の発言です――

「テクノロジーの開発は勝手に起きるのではなく、我々人間が設計を選択することで起きる。こうした設計の選択は原則や倫理に基づいていなくてはならない。これこそが我々皆が望む未来を確保する最善の方法だ」


 「テクノロジーの開発は勝手に起きるのではない」、これに尽きるのではないでしょうか?AIの持っている不安定性、ブラックボックスやバイアスのかかったデータ、といった問題は、決してAIのせいにしておいていい問題ではなく、人間自らが解決していかなくてはならない問題のはずです。人間が放置することで起きてしまう事は、決して勝手に起きた事ではないのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?