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『BMI』が越えなくてはならない3つのキャズム~『脳』とどう向き合うか~

 日経電子版の記事【鬱病や不眠症を軽減? 新型ヘッドセット】は、人間の脳と直接情報のやり取りをする『ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)』の近況と将来に関するリポートです。



 『ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)』は、今活況を呈している音声インターフェースのさらに先を行く、人間の脳の活動そのものをインターフェースに使うもので、脳の働きや考えたことがそのまま情報の入出力となる、ある意味、究極の効率性を持ったインターフェースかも知れません。指先でボタンを操作するよりも、言葉で機械を操るよりも、頭に思い浮かべただけでタスクが実行される『BMI』の方が「速い」ことは疑いようがありません……

 しかし、一見いい事ずくめにも思える『BMI』ですが、『BMI』を搭載した機器が実際に普及していくには、直接『脳』に関わる事だけに、本能的な拒絶反応にも似た、越えなければならない溝、キャズムが存在しそうです――

▶『BMI』の3つのキャズム

(1)『出力のキャズム
  ①『究極のプライバシー』・・・自分の脳で考えている事が読み取られる
               事への抵抗感
  ②『個人情報保護』・・・BMIで収集された情報がセキュアに管理されるか
            どうかの疑念
  ③『判断ミス』・・・頭で考えたことが即座に実行され取り返しがつかな
          くなる危惧

(2)『入力のキャズム
  ①『改変』・・・脳に直接情報が入力される事で、意図せぬ改変がなさ
        れる事への恐怖感
  ②『情報過多』・・・例えばAIとBMIで繋がった時など、不要な情報・
          知りたくもない情報・知らない方が良かった情報
          まで入力されてしまうストレス
  ③『誤入力』・・・おなじ誤入力でも、脳への直接の誤入力は取り
         返しがつかなくなるリスク

(3)『侵襲性のキャズム』・・・脳に電極を埋め込むなどBMIを実現するため
             の装置の侵襲性が高ければ抵抗感は拭えない。



 まだまだあるかも知れませんが、直接『脳』に働きかける『BMI』は、テクノロジーの進化に人間の感性がなかなか追い付いていけない、文字通り最先端の分野で、入念な議論・検証が必要なことは間違いないように思われます。

 『BMI』という名のファーストペンギンが飛び込む先が、ブルーオーシャンなのか、はたまたガラパゴスなのか、まだ霧は晴れていないようです。


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