山川敦

小説を書いて載せます
固定されたノート

記念写真

交差点で、私は昨夜どうしても言えなかったことを小声で呟いていました。ごめん、ごめん、本当にごめん。そう何度も何度も何度も。私はカメラを抱えています。写真家として...

髪の毛

「あと一回髪を切ったら、さよなら」  彼女は、長い髪の毛先を自分の眼の前に持ち上げて、僕に示しながらそう言った。彼女の瞳は、ファストフード店の窓から差し込む強す...

コンビニの好きなところ

どんなに重要だと思っていたり、自分に影響を与えた出来事も、生活の中で思い出すことはほとんどない場合が多い。僕がコンビニまでの道のりで考えていたことは、今日の夕飯...

秋に舞う

秋は、見つめていた。容赦なく流れ去る車の群れ。そして、それらを見下ろしながらどこまでも宙を舞った。  秋は二十一歳である。一浪して東京郊外の中堅大学に進学し、来...

傘立て

ハッと気がつくと降りる駅の一つ前の駅を発車したところだった。イヤホンからは相変わらず、さして聴きたくもない曲がダラダラと流れている。電車の中でいつの間に意識を失...