2022年度学習塾業界の重点テーマ3選

1都三県の公立高校入試が終わりました。
あとは合格結果を待つだけですね。

受験が終わっても
・受験生の高校継続
・春期講習
・新年度に向けた新規獲得

学習塾で働く人たちに休む暇はありませんね。

来年度に向けてすぐにでも頭を切り替えたいところです。
今回は2022年度の学習塾業界の重点テーマ3選ということで
お話したいと思います。

①働き方改革(労働時間の改善)

大手の学習塾を中心に改善傾向はみられますが、
中小の学習塾はまだまだといったところでしょうか。

現在大手の学習塾の取り組みとしては
・SaaSやICTコンテンツの導入による業務・教務の効率化
・残業・休日出勤の制限
が代表的なものかと思います。

約10年前、現在は一部上場企業となっている
当時ベンチャーの教育企業に入社した私は
衝撃を受けました。

「え、勤務時間、13~22時じゃないの?」

意識高い系だった私は、学習塾業界は朝が遅いことから、
出社前の時間は学生時代から続けていたWEBや語学の勉強に
時間を使おうと思っていました。

しかし、実態は、13時からのミーティング前までに
掃除、ミーティング準備を終わらせなければならなく、
12時までの出社はマスト、面談がある日は10時に出社も当然という状況でした。

そして退勤時間。22時に帰るのは生徒。
その後、アルバイト講師が22時半~23時に帰り、
正社員が帰れるのは23時半前後。日をまたぐことも多々ありました。

当時は「そういうものだ」と割り切るまでに時間がかかりませんでしたが、
あの働き方を長期的に続けることは、相当モチベーションが高い人でないと
難しいのではないかと思います。

私が在籍していた当初から、上場に向けた準備として、
少しずつ労働環境は改善傾向にありました。
帰宅時間は23時半から23時となり、22時半となり・・・
上場して間もなく、私は退職したので、その後は聞いた話ですが、
まだ働いている同期から「あれから更に楽になった」
というような話を聞きます。

私が経験した大手の学習塾は一社のみですが、
現在私はキャリアコンサルタントとして、
転職を希望している方から色々な企業の話を聞いています。
やはり大手は改善傾向に見られる一方で、
上記のような働き方を続けている中小企業もたくさんある状況です。

どんなに良いサービスを提供していても、
働く人が幸せでない企業に成長はありません。

企業の採用情報に「年間休日110日」と書くのであれば、
必ずそうさせるような企業努力をしましょう。

最も驚くべきことは、いまだに授業報告書や始末書など、
上に対する報告物を紙媒体で行っている企業があること。

今働いているアルバイト講師、これから新卒で入社する正社員
どちらも、中学時代からスマートフォンを使っている世代です。

そんな人たちが、紙を使った時間のかかる報告物を記入することに、
ポジティブな感情を抱くでしょうか?

今すぐにSaaSやICTコンテンツの導入が難しい会社も多いと思います。
であれば、今会社にある業務を一旦すべて見直し、
「これは現代にあった仕組みなのか?」
「今新しく立ち上がる学習塾に取り入れるべき仕組みなのか?」
と考えてみてください。
そしていらないオペレーションは思い切ってなくしましょう。

経営者、役員陣が現場で活躍していた頃と、
教育の本質的な部分や根本は変わっていなくとも、
システムは大きく変わりました。
当時の成功体験を無意味に続けることは
今現場で働く人にとってマイナスでしかない場合があります。

今一度、現場のオペレーション改善のために、
会社として動いてみてはいかがでしょうか。

②動画配信、映像コンテンツの活用

スタディサプリが学習塾向けのサービスを始めました。

今までは映像コンテンツがあることは、塾として強みになっていたかもしれせんが、
これからの時代は、映像コンテンツがあることは当たり前。
学習塾としてコンテンツを持っていることが差別化にはならず、
むしろ持っていないと後れを取ってしまうような時代がやってきます。

大手では、資金を投入してコンテンツを導入し指導できる生徒の幅を広げていたり、
自社オリジナルのコンテンツを作って運用していたりします。

いずれにせよ、スマートフォンが世に普及して
子育て世代も使い始めたのが10年ほど前くらいからです。
今10歳の子どもたちは、生まれた瞬間からスマートフォンに触れていたことになります。
生まれたときからスマートフォンに触れていた子どもたちで
教育現場があふれるのももう10年切っています。

「映像授業で勉強できる子なんて学力が高い子だけだ」

なんて言葉はもう古い。
現代は勉強が苦手な子だって、映像で勉強できますよ。
今世にあるコンテンツが、その凝り固まった考えから、
そういったコンテンツを作ってこなかっただけ。
直接指導する方が楽だから、作ってこなかっただけ。

教育者である我々が、そういう可能性を潰して
子どもたちに胸張って教えられるでしょうか。
テクノロジーを駆使し、教える側も教わる側も
幸せを追求するようでなければならない。

もし自塾オリジナルのコンテンツを作るのであれば、
大手ではまねすることができないような、
ターゲット、指導内容を絞った
動画コンテンツを作って差別化を図りましょう。

③WEBマーケティング

最後は集客の部分です。

「最寄り駅 塾」

で検索した人に向けて、ホームページのSEO対策を強化して・・・
と自棄になっていた時代は、もう終わりました。
そもそも、そういった検索の場合は、
大手のリスティング広告には勝てず、
どれだけ資金を投入したかで決まってしまう。
中小の塾が大手に勝つことは難しいです。

しかし、Google検索の場合、
Googleマップに出てくる評価はある意味平等です。
あれは、一般ユーザーによる評価なので、企業側ではどうすることもできません。
昨今ではあの評価を見て、問い合わせする塾を絞り込んでいる方もいらっしゃるくらいです。
あの口コミには、悪い口コミが書かれやすい傾向があります。
当たり前です。
不満足があった場合は人は共有したくなるものです。逆に良かったとしても、本当に良くない限りは特別それを共有しようとはしません。
大手の学習塾でも、ひどく書かれている所はたくさんあります。
その中に、口コミ件数が多く、評価が高い塾があったら目立ちます。
嘘を書いてはいけないので、現在通塾していて満足度が高いご家庭には、
お願いしてでも書いてもらうようにしましょう。

テレビCM、リスティング広告、バナー広告など
資金を投入した分有利な広告については
大手が超有利。大手はここである程度認知してもらい、
いかに面談に呼び込んで、その場でクロージングできるか。
いわゆる、それまでのコミュニケーションの質勝負になります。

では、中小の学習塾はどうするか。
逆に大手ではまねできない方法としては、
SNSマーケティングです。

大手の学習塾はブランド価値を下げないために、
現場の個々人が直接不特定多数の方に情報配信するような
リスクが高いオペレーションは組み込みません。
ブログやSNSによる情報配信は、中小ならでは戦略です。

近年は、WEB検索だけでなく、
インスタグラムやYoutubeで調べ物をする方が増加傾向にあります。
特に最近の若ママ世代は、インスタで情報収集しています。
そういう方々が、これから受験生を育てていったとき、どうなるのか。
今のうちからSNSを活用したマーケティングは
やっておかないと、時代についていけなくなってしまいます。

大手は資金がある分、多少遅れたとしても、
後ほど投資をすればいくらでもキャッチアップできます。
しかし、中小の学習塾はそのようなスピード感は期待できない。
であれば、コツコツ始めていきましょう。

まずは、Youtubeとインスタグラムの塾のアカウントを作って、
週1回でいいので更新するところから始めましょう。

そういったところにもアンテナを張ってマーケティングを行っていることに対して、
「こんなに一所懸命やっていらっしゃるんだ」
と保護者に好印象を持たれるケースがほとんどです。

もちろん、学習塾としての基本サービスが徹底されていること前提ですが、
WEBのマーケティングについても積極的に行っていきましょう。


いかがでしたか?
2022年度の重点テーマとして、3つお話しさせていただきました。
教育に携わるものとして、常にアップデートし続けましょう。

光野

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