「もしお金も社会的責任も、はたまた時間さえも、何も心配する必要が無いと仮定したら、貴方は何がしたい？」

結構破天荒な（あるいは無責任な）質問だよなぁと内心思いながら、でも聞いてくれた人は心底心配してくれているのが分かっていて、それが嬉しくてひねり出した言葉が「死ぬ理由を見つけたい」という全く答えになっていないもので。死への理由を見つけることは、辿り着く目標であって、「今何がしたいか」という質問への答えにはならないのにも関わらず。そのまま質問を流してくれたのは、きっと優しさを重ね合わせてくれたような人だからだと思う。

では、実際に何をしたいのか。

考えて捻り出さなきゃいけない段階で歪んでいるなぁとは思いながら、6日程「建設に考えることを強制的にストップさせた状態」で考えてみて、出てきた答えが「（文章を）書きたい」というもので。

物書きに憧れた時もあったし、今でも読書は好きだし、作家の先生など尊敬の対象でしかないのだけど、小説でも随筆でもエッセイでも詩でもなんでも良くて、僕はただ文章を書いていたいんだなという結論に、とりあえず、辿り着いた。沢山の人に読んで頂けたら嬉しいけれど、一人でも読んでくれる人がいるのであれば書き続ける文章。昔からの習慣だったのに、父親になり、海外に移住し、運良く仕事も増えていって、気がつけば距離を置いていた文章。たぶん、僕がしたいことは、この文章を書くということだと思う。少なくとも、ほんの一昔前までは、僕は文章の中では"まとも"になれた。普段の乱暴でがさつな思考回路から離れて、文章を書く間だけは、自分自身に憧れることができた気がする。めんどうくさいのは変わらないけれど。

リハビリのような、とてもぎこちのない文章を並べてしまうかもしれない。それだけ文章に頼らなくて良い程、この6年間は本当に幸せだった。もちろん今も幸せな状況は続いているのだけど、少しずつ役割が変わる中で、また僕なりの立ち位置を見つけなければいけないんだと、やっと理解ができてきたような気がする。極論、「死ぬ理由」は何でも良かったりして。ただ、絶対的に死ぬ理由は見つけたくて。でも、「今は死ねない」という責任への説明が付くものでなければいけないと思っていて。だから、原則、死ぬことはできない。だからこそ、捻り出した……あるいは向き合うことから逃げた（むちゃくちゃな）答えが「死ぬ理由を見つけたい」だったのだと思う。

だから、少しずつ。英語で書く日々の小さな物語を、日本語では一つの根源にある想いの物語として。

*刺し子からご縁を頂く方が多いとは思うのですが、Noteでの文章には、あまり刺し子は登場しないかもしれません。ただ、「こういう人間」が「刺し子家業」に生まれて、酸いも甘いも含めてずーっと刺し子と向き合って過ごすと、こういう文章を書くようになるよ……と、インスタグラムや僕の他の文章と一緒に一読頂ければ幸いです。