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【弁護士流】小論文ではやってはいけないことTOP3

「あなたは日本の死刑制度に賛成ですか?」
こうした小論文の問題に対して次のような回答があったとします。

死刑制度については様々な討論がなされているが、
「場合によってはやむを得ない」と考えるが多いと思われる。
しかし、その「場合」というものをもっと解析することが重要であり、
一遍に賛成・反対の意見を決することは必ずしも必要ではないと考える。

一見それなりに取り繕っているように見えますが・・・
私が採点担当なら0点をつけます。
今回は、あらゆる書面を作りまくっていてある意味文章のプロである私が、
先のダメ回答を例にやってはいけないTOP3を紹介します!

1 正確な言葉を使っていない

まず、さっきのこの回答。読んで違和感はありましたか?
無かった人。改めて読んでみてください。

死刑制度については様々な討論がなされているが、
「場合によってはやむを得ない」と考えるが多いと思われる。
しかし、その「場合」というものをもっと解析することが重要であり、
一遍に賛成・反対の意見を決することは必ずしも必要ではないと考える。

この太字箇所、言葉が変ですよね。
辞書的な意味もそうですし、明らかに文脈に合わない言葉です。

私がこれを読んだら
「討論?ここはシンプルに【議論】と書いた方が勝敗感が無くて良いかな」
「解析?ケース分けのことを表現するならまだ【分析】の方が適切な気がする」
「一遍にって…確実に【一概に】の間違いだね」
内容うんぬんの前にこう思うと思います。
それと同時に「この受験生は日本語が強くないのかな?」とそれだけでマイナスイメージです。

小論文は数学などと比較して定性評価、つまり印象点が大きくあります。
その中で語彙力不足を露呈するような言葉遣いをすることは大ダメージです。

・自分が意味をきちんと理解している言葉だけを使う
・自分が理解している言葉の幅を広げる努力を日々行う

これらを心がければOKです!

2 立場を明確にしていない

続いて、やってはいけないことは「結局、君はどっちの立場なの?」と思わせてしまうポジション取りが明確でない回答です。

冒頭の例、結局回答者は自身の立場を明らかにしていません。
それだけで原点。

考えてみてください。
小論文問題で測りたい能力の1つは「ある結論を導くためにどれだけ論理的かつ説得的に論述できているか」ですよね。

だとすると「ある結論」の設定がなければ、「導く」も何もありません。
その「導く」過程・ロジック部分へ与えられる点数をゴソッと失うリスクがあります。

小論文の鉄則は、立場を問われている問題では必ず立場(ポジション)を明確にする。全ての論述はここからスタートです。

3 問いに答えていない

そしてやってはいけないこと3つ目、
受験を含めたあらゆる試験問題、ひいては「問い」全てに言えることですが「質問に答えていないこと」が一番やってはいけないことです。


ここで少し余談。
私あまり数は多くありませんが、まれに個人の債権回収の案件を扱います。
お金を払ってくれない相手方に払ってもらう案件ですね。
払う義務は認めつつ延ばし延ばし払わない人と、支払期限を設ける場面でのやり取り。

私「いつ払ってくれますか?」
相手方「今月末に給料が入って、でも月末の支払いが●円あって、でもこれぐらいは残りそうで…」
私「質問に答えてください。いつ払ってくれますか?」
相手方「ですので、給料があれば払えると思うんです。ただ先に支払うものがあるので・・・ゴニョゴニョ…」
私「もう一度言います、質問に答えてください

私はいつ払うか、つまり支払いをする日付を聞いてるわけです。
相手方も別に答えをはぐらかそうとしているわけではなく、必死に自分の窮状を伝えて少し期限をして欲しいだけなんだと感じました。
でも客観的に見て、私の質問に答えていない
私としては期限に関する回答、つまり「来月10日までには支払います」などとだけ答えてもらえば良かったんです。
10日になる理由や経緯は今は聞いていません。

「質問に答える」これは仕事をする上でも鉄則ですよね。

話を戻すと、小論文でも「問いに答える」は強く意識すべきです。
そんなの当たり前だと感じるかもしれません。
たしかにマークシート型だったら、選択肢が1〜4なのに8を答える人はいない。
一方で、小論文は問題の趣旨がつかみづらいので、質問に答えていない回答が量産されてしまうんですよね

冒頭の回答もまさにその例。
「賛成ですか」?と聞かれている以上、回答はYes / Noどちらかでないといけません。プラスその理由づけとして論述を行うわけです。
うーん賛成とも反対とも言い難い!」では質問に答えていません。

小論文の問題は型があります。
この型に沿うお作法を身につけると点数が安定するのは間違いないので、小論文が伸びない方はぜひご参考に!

本日は以上です。

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