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Mリーグ2023 レギュラーシーズン最終週

2023年9月18日に開催されたMリーグ2023 レギュラーシーズンも6ヶ月という長い期間を経て、最終日の試合が終了した。

今回は、MVPを巡る熾烈な戦いについて振り返ってみたい。


1.今週の対戦カード

2.試合前成績上位者

2024年3月22日終了時点

今週の試合が始まる前の成績上位7名のMVP候補者です。この中から、伊達選手は、4着回避率という別のタイトルが掛かっていたので、麻雀格闘倶楽部としては伊達選手を温存する方向性が予想されていた。

Piratesとしては、瑞原選手と鈴木優選手を軸に状況によって、仲林選手もMVP戦線に参加するという状況でした。残4試合で他チームの動きも有るので、非常に難しい選手起用となった。
Pirates陣営としては、MVPの最有力候補は2着目の風林火山 勝又選手であり、25日(月)の試合で直接対決を制す事でMVPを確実に仕留めたかった。

3.若き挑戦者達

3-1.3月25日第1試合

そして、25日(月) 第1試合の組み合わせが14:00頃発表された。

Pirates陣営、そしてPiratesファンは驚いた。Pirates3名のMVPを阻止する最優力候補の軍師改め軍神の勝又選手が出場せずに、瑠美選手が勝又選手の代理人として出場した。

そして、サクラナイツは今期チームを牽引した岡田選手が名乗り上げた。岡田選手は、22日(金)の2連投を含み先週3回も試合に出場している。若い選手とは言え、Mリーグの重圧が係る舞台の消耗は想像に絶する。
岡田様が週跨ぎ、3連投となった。

この試合は、各選手の張りのある選択が非常に良く、4選手共に攻守に冴えわたり、均衡した名勝負だった。試合を制したのは、南3局で満貫を自模上がった瑠美選手だった。

1位 瑠美(風林火山)+57.9
2位 岡田(サクラナイツ)+4.6
3位 優(Pirates)▲18.3
4位 太(ドリブンズ)▲44.2

鈴木優選手は、勝又選手との距離感を考えるならば少しでもプラスを積み重ねたい中、まさの▲18.3は、致命傷にならなかったが激痛であることは間違いない。

25日第1試合終了時点の鈴木優選手のポイント:
287.6 (勝又選手との差 ▲18.3)

3-2.3月25日第2試合

Pirates陣営としては、第2試合のオーダーも悩まされる。
どの選手の登板にも、メリット・デメリットがある。
そのような中、2試合目の選手が発表されました。

サクラナイツから岡田選手が週跨ぎの4連投を志願。岡田選手のやる気とMVPに賭ける意気込みが感じられた。

Piratesは、265pt(第4位)を保持している仲林圭選手を登板した。非常に良い戦略だと感じた。鈴木優選手が1試合目に不完全燃焼し、連投連敗はリスクが増大する。逆に仲林選手が、ここでトップを獲るならば最終日に瑞原・鈴木優・仲林という3択がうまれ、選択肢を増やす。

麻雀もそうだが、選択肢の幅が広い程勝負は優位に働きます。

この試合も、第1試合と変わらぬ熱気を帯びていた。仲林選手が持ち前の好守のバランスでトップ目36,100点持ちの南3局2本場に動きが起きる。

親場の岡田選手は、最後のMVPチャンスのために親番死守の構えを見せ、どのような状況であれ、決死の覚悟で攻撃に必ず参加する。ここを勝負所とみた、仲林選手が3m・撥のシャンポンでリーチを決行すると、岡田選手も58p待ちでカウンターリーチを発動する。
岡田・仲林の勝負と思えば、たろう選手も3m待ちで聴牌する。

そして、最後に清一色を目指していた松ヶ瀬選手が、麻雀問題集に出現するような恐ろしい程の多面張🀚🀝🀠🀛🀞🀡で満貫聴牌。

卓上の全選手と視聴者の緊張がピークに達した瞬間に、仲林選手がまさかの🀠を掴み、上家の松ヶ瀬選手がロンした。
トップ目を走っており、MVPチャレンジをしていた仲林選手にとっても非常に激痛だったし、親番を死守したかった岡田選手にとっても激痛だった。

松ヶ瀬選手も風林火山のボーダー争いに貢献したかったし、ラスでは帰れない危機感を持っていた。三者三様の「恋しさと せつなさと 心強さと」が垣間見えた名局だった。

この試合は、以下の結果となった。
1位 たろう(ドリブンズ)+58.2
2位 仲林(Pirates)+1.5
3位 松ヶ瀬(風林火山)▲19.6
4位 岡田(サクラナイツ)▲40.1

敗れはしたものの岡田選手の成長を非常に感じられた。
どの局面か忘れたが、先手リーチがある中11223pの形を解して、68pの聴牌でカウンターリーチを掛けて間7p一発自摸したムーブは、チームメイトの堀慎吾選手の動きそっくりだった。堀・内川・渋川という良質な仲間と麻雀議論をし続けていた岡田選手は、間違いなく成長しています。

3月25日(月)時点終了時点でのMVP争いは、Pirates陣営が優位なものの決め手に欠ける結果となった。

4.MVPを争うPirates最終日

4-1.3月28日(木) 第1試合

Piratesにとってラスト2試合の初戦、翌日の最終日に勝又鬼の2連投を考慮すると、この2試合で誰かが瑞原選手のポイントより上に立ち、勝又選手によりプレッシャーをかけたい。初戦を任されたのは、鈴木優 選手だった。

対戦カードが公開されるとPirates陣営にとって非常に厳しい相手となった。

この試合は、最初から最終局南4局2本場まで、佐々木選手が勝つか鈴木優選手が勝つか分からない試合だった。兎に角熱戦で、卓上に常に佐々木選手と松本選手が鈴木優選手に試練を与えている白熱した名試合だった。

魔王佐々木選手の恐るべきオーラスを鈴木優選手がかわしトップを獲得した。試合終了時点の得点スコアは以下となった。

1.瑞原 明奈  378.4pt
2.鈴木 優 351.4pt (287.6 + 62.8)
3.勝又健志 305.9 pt

勝又選手と鈴木優選手の差: + 45.5pt

4-2.3月28日(木) 第2試合

第1試合を僅差で制したPiratesの最終試合は、初戦を制した鈴木優選手だった。

Pirates陣営としては、MVP暫定1位の瑞原選手を鈴木優選手が超えてでも、勝又選手の追走に備えたいので、2連投した鈴木優選手がトップを獲り切る事が望ましい。

東4局0本場、鈴木優選手の親番。白鳥選手が36,800点でトップ目。
鈴木優選手が、絶対に間違えられない局面において、47p待ち又は47mを選べる局面が発生した。どちらもリータンピン一盃口が確定している。
一見自分の手牌で47mを3枚使用しており、見た目枚数は47pの方が一枚多い状況。河には、47m及び47pは双方一枚も切られていない。
鈴木優選手は、リーチ時に場況と自分の手牌構成から残枚数の多い方47m待ちを選択して、見事7mを自摸上り親跳18,000点を決めた。
この瞬間から、終局まで戦闘民族そしてゴリラの血が騒ぎ、多くの攻撃を決めきった。

1位 優(Pirates)+87.3
2位 白鳥(ABEMAS)▲2.2
3位 魚谷(フェニックス)▲29.9
4位 滝沢(麻雀格闘倶楽部)▲55.2

鈴木優選手が、Pirates選手とファンの期待に応えて最終日のデイリーダブルを決めた。その結果、個人スコアは、以下のようになった。

1.鈴木優  437.7pt(351.4 + 87.3)
2.瑞原 明奈 378.4pt 
3.勝又 健志 305.9pt

勝又選手と鈴木優選手の差:131.8pt

25日(月)そして28日(木)の鈴木優選手の活躍により、Pirates陣営はMVP死守のためにやれるべき事は、最大限やり切った。後は、天命を待ち勝又選手の最終日を見守るだけとなった。

5.MVPを争う風林火山最終日

5-1.3月29日(金) 第1試合

MVP争いと風林火山とBEASTのボーダー争い、そして最終日第1試合。

29日第1試合のポイントは、南1局0本場。トップ目浅見選手の打7pが攻撃に比重を置いた強気の打牌だったが、勝又選手のポンが入り役牌メンホンドラ3の親跳を誘発した。

その後の勝又選手は鬼人の如く攻撃の手を緩める事なく、加点する。2着目浅見選手とリードをした後の店じまいも完璧な勝又選手だった。

1位 勝又(風林火山)+80.2
2位 浅見(ドリブンズ)+20.6
3位 大介(BEAST)▲39.1
4位 堀(サクラナイツ)▲61.7

勝又選手が、自身個人3連勝をマーク、BEASTの直接対決を制しボーダー争いを制した上、MVPが現実的なものとなってきた。

1.鈴木優  437.7pt
2.瑞原 明奈 378.4pt 
3.勝又 健志 386.1pt(305.9 + 80.2)

勝又選手と鈴木優選手の差:51.6pt
勝又選手は31,700点以上のトップでMVP獲得できる所に来た。

この試合で、堀選手が驚異のダブル役満聴牌を入れた。
ドリブンズの浅見選手が鈴木大介選手リーチ時のドラ4pを叩き切ってリーチしていなければ、堀選手が96,000点というMリーグ史初の最高得点を叩き出し、一気に最高スコアを獲得する可能性があった。

5-2.3月29日(金) 第2試合

「よっしゃあああああ、あと全1試合!しびれる麻雀ば打ちまっしょい。」

最終日最終試合、レギュラーシーズンの全てのスコアやチーム成績、そして個人賞が決まるこれが本当の最終試合。
戦前の様相では、勝又選手が個人4連勝を決めた直後なので、旗色は完全に赤一色であり勝又大逆転の狼煙が上がっていた。
過去のMリーグの実績、そして対戦カードの相性全てにおいて、勝又選手優位でPirates陣営は悲しいお知らせを待つだけだった。

東場3局まで、勝又選手の好調者が際立ち、トップ目に立つ。誰もが勝又選手の快進撃を見守る体制に入ったと思われた瞬間

「そのMVP。ちょっと待ったー」(ねるとん風)

引用元:https://twitter.com/sibukawarou/photo

Pirates陣営、Piratesクルーは歓喜した。風林火山のファンは少し切なかった。

渋川選手は、最終日最後の試合で自身の最高スコア賞を狙っていたのだ。
この上りを気に、渋川選手の鋭い攻撃の手を緩めずに最後までトップを獲り切った。

1位 渋川(サクラナイツ)+92.6
2位 勝又(風林火山)+18.1
3位 猿川(BEAST)▲40.5
4位 浅見(ドリブンズ)▲70.2

この試合結果をもって、長かったレギュラーシーズン最後の試合が終わった。上位6チームも確定し、個人3賞特にMVP争いも確定した。

最終日まで、MVP争いを楽しませてくれた鈴木優・瑞原・仲林・勝又選手には、心より盛大の拍手を送りたい。最終日の試合は、Pirates陣営そして風林火山陣営の「恋しさと せつなさと 心強さと」が強く感じられた。

6.最終スコア

6-1.チーム成績

引用元:Mリーグ成績速報(非公式)さん

6-2.個人3賞

引用元:https://m-league.jp/

7.その他

Mリーグレギュラーシーズンの醍醐味は、6ヶ月という長期ランを好成績や好プレイをしてきた選手が、最後の最後まで最高の試合を魅せてくれる所だろう。

Mリーグ2023レギュラーシーズンのMVPは、Piratesの名将木下監督の采配勝ちと言えるだろう。そして、その多くの期待に応えた鈴木優選手を始めとした4選手の一体感には素晴らしかった。

もし、木下監督が瑞原選手のMVP2回獲得を夢見て、その路線を描いていたら、最終結果の僅差の状況からみても捲られていた可能性が高かった。レギュラーシーズン最後の2週間で、MVPをチームの誰かが持ち帰るという事を死守した「 ONE FOR ALL ALL FOR ONE」の姿勢が素晴らしかった。

9月18日から約6ヶ月間、毎週末にMリーグnoteの感想を完走する事ができました。誤字脱字や造語の多い文章の中、楽しみにしてくれた読者の皆様には、本当に有難う御座いました。

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