初めてのフィーバー

皆さま、おはようございます。あっさじーんでございます。

夜勤の連続で普段からぼんやりしている頭がいよいよ働きませんが、今日も元気にブログをお届けしたいと思います。

さて、今回は東天紅というゲームにまつわる話です。
簡単にこのゲームを説明すると、三人麻雀の亜種で、白が常時どの牌の代わりにも使えるオールマイティ牌となります。
私がその時に参加した東天紅は、さらにフィーバーという特殊ルールが加えられたものですが、それについては後述したいと思います。

では、参加することになった経緯からお伝えしてゆきます。

※ちなみに、前回のブログで書いた通り、私は相当記憶力が乏しいので、大なり小なり事実と違う点が存在するかもしれません。
その辺りをご了承の上、お読み頂ければと思います。

1.P氏からの誘い

事の発端は当ブログに何度か登場したP氏からのこんなラインだった。

--とても刺激的な麻雀がある。あなたにもぜひこの面白さを味わって欲しいので、今度一緒にやらないか

最初、私は難色を示した。
実は少し前にもP氏とセット(雀荘で雀卓を借りて、友人などと麻雀を打つこと)をする予定があったのだが、直前でキャンセルしていたのだ。
「急に仕事が入ったから」というのが表向きの理由だが、実は違う
本当は、そのセットをするための金が足りなかったからである。
P氏の提示したレート(賭けの基準となる値)はピン。学生がやるにはやや割高だが、普通の社会人ならまあそこそこ刺激的かなという程度のものである。
問題は私が普通の社会人ではなかったことだ。控え目に言っても、かなりの低所得者だったのである。

ここで私は一つの失策を犯す。
お金がないとそのまま伝えるのが恥ずかしいかったため、(実を言うと、P氏は私より干支が一回りも下の青年なのだ)急に仕事が入ったことにしてしまったのだ。

この一件は大変P氏の不興を買い、私は遅まきながら後悔したものだが、しばらくするとそんなことも忘れ、以後は自己都合でセットを断る際の常套手段と化してしまった

少し話が逸れてしまったので本題に戻すが、P氏の話を聞いた私は、お金の不安を覚えた一方、こんな思いも抱いた。

--刺激的な麻雀? なんか面白そうじゃね?

私は根っからの麻雀好きである。P氏の提示したその特殊麻雀に食指が動かないはずがなかった。

結局、好奇心に負けた私は、数日後に彼と打つ約束を取り付けたのだった。

2.当日の遅刻

さて、当日。

私はなかなか待ち合わせの場所に向かおうとしなかった。
理由はその日になってもまだ完全に決心ができず、グズグズと迷っていたからだ。

セットをする予定地であるA駅には、もうとっくに着いている。
でも、ホントにこのまま行っちゃって大丈夫かなあ。財布の中に8千円くらいしかないんだけど

このまま、セットに行くべきか。それとも、急に仕事が入ったことにしてバックれるか・・・

しばし迷った末、私はとりあえず、フリーを打ちに行くことにした
フリーとは見知らぬ他人同士が雀荘に場代を払って、決められたレートとルールで麻雀を打つことである。
いや、そんな説明はどうでもいいけど、お前はなぜ約束の前にそんな所へ行ってんだよ、って?
理由は自分でもよくわからないが、強いていうなら打ちたくなったからである。

とりあえず雀荘に行き、0.3という低レートを選択、1半荘目を打ち始める。
打ちながらチラリとスマホを確認すると、P氏が「あさじんが今日も来ない」みたいなツイートをしていた。

やべえな・・・

そう思った私は、さすがにラス半をかけて切り上げることにした。
1回しか打っていなかったが、その半荘はトップに終わる。これがいけなかった。

--これ、今日はいけるんじゃね?

運の要素の強い麻雀でたった1回トップを取れただけで、いけるもクソもない。
そういう冷静な判断のできないところが、私を私たらしめている所以の一つなのだろう。

結局、私は30分遅れで、P氏との待ち合わせ場所へ赴いたのだった。

3.セット開始

「また遅刻ですか」

開口一番、P氏はそう言った。かなり怒っているように見える。まあ当たり前だが。
待ち合わせ場所には、本日のセットのもう一人の面子であるK氏もいた。

二人に遅刻を謝罪し、とりあえずラーメン屋に移動して軽く食事を済ませる。
それからいよいよ雀荘に向かった。

受付を済ませ、卓に着くと、さっそくP氏が特殊麻雀の説明を始める。
先述したように白がマイティ牌、そして7を暗刻で揃えて立直を打つと何度でも上がれるフィーバー立直を打てる。

私はもちろん、K氏もその日始めてやるルールだったので、とりあえず実際にやってみて、上がる都度P氏が点数計算などを行ってくれることになった。

このようにしてセットが開始されたが、しばらくすると私はある思いを抱き始めた。

--これはちょっとやっちまったなあ・・・

このゲーム、たしかに興味深い。普通の麻雀より手の進み方が遥かに速いし、白を使って通常では考えられないような多面待ちになることも多い。要するに、刺激的なのだ。
なのだが、一つ問題点があった。

--Pさんしか上がれないじゃん

そう。
先制立直をするのもP氏、フィーバー立直を打つのもP氏、もちろん上がるのもP氏ばかりなのだ。

考えてみれば当たり前で、このゲームをやり慣れているP氏に対して、他の二人は素人なのだ。
一方的な展開になるのも、不思議な話ではない。

だが、つまらない。麻雀は上がれないと本当につまらないゲームなのである。

私は次第に減っていく点棒を見つつ、早く帰りたいなと思い始めていた。

なおしばらく時間が経過する。

すると、今度はK氏が頻繁に上がり始めた。
K氏もかなりの強者である。最初は戸惑っていたが、そろそろ特殊ルールに慣れてきたといったところか。

問題の私はというと、ゲームを開始した時とまったく変わらず、たまに上がれた時でも自分で点数計算すらできない有様だった。

潮時だな・・・。
そう思った私は、時計を示してP氏に言った。「そろそろお開きにしましょう」
P氏はすかさず返す。
「なに言ってるんですか。まだ始めたばかりですよ」
そういう返答もあるだろうと思い、私は事前に用意しておいた抗弁を述べた。
「でも、Kさんの終電がやばくないですか?」
私やP氏と違ってK氏は電車でここまで来ているのだ。そのK氏を気遣っての発言なら、逃げるとは思われまい。
我ながら小狡い作戦だったが、P氏は次のような予想外の返答をしてきた。

「なにを言ってるんですか? もうKさんは終電がないですよ

・・・え?
私の当惑に追い打ちをかけるようにK氏も告げる。

「あさじんさんの遅刻で開始が遅れたんだから、始発までは付き合ってくださいね」

こうして、初めての東天紅セットは私の完全な自業自得で徹麻へと突入したのだった。

次回、「4.アウトオーバー」へ
←QED CONTINUED




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