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【GWにおすすめ】「地球」の歴史を学べるオーディオブック3選

いよいよゴールデンウイークですね。
なんと今回はカレンダー通りに休むと10連休!

お出かけの予定がある方も、家でゆっくり過ごすつもりという方もいらっしゃると思いますが、しばらく仕事から離れることができるゴールデンウイークには、読む本・聴く本も普段と違うテーマに挑戦してみると、いい気分転換になって楽しめると思います。

そこで今回は、「イトウ書店」が勝手に選ぶ、最近聞いて面白かった「地球の歴史を学べるオーディオブック」を3つご紹介します!(個人的な趣味が多分に含まれております。なんで地球?というのはいったんスルーしていただけるとありがたいです・・・。)

福井県にある湖が、年代測定の世界標準に?

1冊目は、中川毅著『人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか』(講談社)。自然科学に関する話題を中心に、一般向けに分かりやすく紹介するシリーズとしておなじみの「ブルーバックス」から2017年に出版された新書です。

古気候学、地質年代学の専門家である著者が今取り組んでいるのは、福井県の水月湖に堆積している「年縞」という地層の研究。

様々な作用によって、何万年も前の出来事を1年刻みで記録しているこの特殊な地層は、世界でも非常に珍しく、古い時代の世界の気候を1年刻みで調べることができる貴重な地層として、2012年以降、世界的な年代測定の基準となっています。

この地層を調べていくと、数年単位で平均気温が激しく上下するような「異常気象」が何度も繰り返された時代があったことや、そのような上下動を繰り返す時期と、気温が比較的安定している時期で、人々の暮らしが大きく変化していたことなどがわかってきます。

地球温暖化に関して各国が取り組みを進めていますが、本書によれば、実は人類が環境に影響を与えるようになったのはここ数百年どころではなく、8000年も前からなのだとか。そして、いま私たちが生きているこの時代は、ほかの時代と比べても非常に長い気候安定期であり、ここ数十年でさらに通常の地球のサイクルから外れた温度変化がおきつつある、ということも指摘されています。これからの気候予測につながりそうな話題も豊富で、環境や人類と自然の関係に興味がある方には、とても楽しく聴いていただける作品だと思います。

専門的な年代測定の方法、定理なども詳しく紹介しながら、わかりやすく説明している作品で、科学読み物が好きな方にもおすすめです!

日本列島はいったいどうやってできたのか?

2冊目は、同じくブルーバックスから2017年に出版された、山崎晴雄・久保純子著『日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語』(講談社)です。

なんとなく1冊目と作品の雰囲気が似ていますが、こちらは日本列島に限定して、その成り立ちや歴史を振り返る1冊です。

日本列島は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレートという3つのプレートがぶつかり合い、2つの海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んでいく特徴的な場所にあります。本書は、それぞれの地下のプレートの動きがどのようにして今の列島の形をつくってきたか、そしてその後どのような生態系や火山活動、地震が発生してきたかを振り返る、まさに日本列島の100万年の歴史を概観することができる作品となっています。

今はまとめて「日本列島」と言っていますが、実はこの弓型の列島は、おおまかにいうとプレートの動きによって東北日本と西南日本の2つの部分に分かれていた陸地が中部地方のあたりでぶつかり、さらに南からも地殻が北上してぶつかってきたために富士山ができた・・・という、とても複雑な経緯をたどったといわれています。ご存知でしたか?

知らなかった!という方はぜひ、本書でもっと詳しい解説を聴いてみてください。

また、本書はそもそもの日本列島の成り立ちを紹介する第1章のあとは、第2章から第8章まで、北海道から九州までの地形や火山、成り立ちの歴史などを地域ごとに紹介する構成となっています。普段住んでいる地域や、身近な地域の話題から聴き進めていただくのもおすすめですし、GW中に旅行で訪れる地域の章を聴いてみるのも楽しそうです。

そして、もしNHK「ブラタモリ」がお好きな方がいらっしゃったら、この作品はきっとあなたにぴったりの1冊です。ぜひ聴いてみてください。

世界の1%の面積なのに、世界の地震の10%が起こる国

3作品目は、以前にもご紹介した講演シリーズ「暦日会」の最新音源。マグマ学者の巽好幸さんによる講演「世界一の地震・火山大国に暮らすということ」の講演を収録した作品です。

この作品も2冊目に続き、プレートの動きによる影響を強く受けている日本の特徴を紹介した作品ですが、特に地震と火山に焦点をあてています。

日本は、国土面積で言えば全世界の1%にも満たない島国です。しかし、先ほどもご紹介したような特殊なプレートの沈み込み運動の影響を受け続けているため、世界の地震の10%、世界の火山の7%が集中している、世界一の地震・火山大国となっています。

2011年の東日本大震災、1995年の阪神・淡路大震災など、この平成の30年の間にも非常に多くの地震災害が起きましたが、実は日本では歴史に残っている時代よりもはるか以前から、多くの地震が発生したり、火山の噴火が発生したりして大きな被害が発生していたことがわかっています。

たとえば縄文時代には、南九州で、そこに暮らしていた縄文人が全滅して、文化に断絶が生まれるほどの火山の巨大噴火が起きていたということもわかってきています。そのような災害が起きてしまった場合には、日本中に影響が及びます。巽さんいわく、そのような災害に対しては、あまりに巨大すぎて、いま私たちは生き延びるすべを持ちません。だからこそ、予兆をできる限り感知する必要があるということで、研究を進めている人たちの奮闘が今日も続いています。

観測技術、予測技術も進歩していますが、それでも、地震の発生や火山の噴火について、発生確率の算出をすることはできても「明日起こるかどうか」を正確に言い当てることはとても難しいということが、この講演を聴いていただくとよくわかると思います。

今、同時代の人々が経験している地震や火山噴火とはまた違ったスケールの巨大災害についても紹介したこの講演では、列島で過去に起こった、今後も起こりうる災害の大きさとその予測の難しさ、そして自分でできる対策などについて、意識を新たに持つことができると思います。


連休中は、「明日の仕事」のことを考えることなく、じっくりと本を読んだり、オーディオブックを聴いたり、散歩をしたり、考え事をしたりすることができる貴重な時間。ぜひ、身近でありながら、なかなかじっくり目を向けることの少ない、スケールの大きな自然科学、地球史などの分野にも目を向け・耳を傾けてみていただけたらと思います。



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