音楽を。

シンプルな言葉で大きな声で僕らに叫ぶ、その歌は全部受け止めようと戦う準備のファイティングポーズに見えた。

そのシンプルな言葉は人に向けた言葉ではなくて、今彼らがいるその”場所”自体に言っている。
ただその言葉は簡単に言えるものじゃなくて、それこそ酸いも甘いも知っているから出てくる言葉でもあるのだなと聴き直していると思えてくる。

その”場所”の不安定さを知っているが故のその言葉。

誰かが言った「ロックンロールは死んだ」なんて俺たちが吹き飛ばしてやるよって。
音楽で世界は救えないなんて誰が言ってんだこの野郎って。

本当は自分たちだけで楽しんでいたいんだ彼らも。
好きなだけ聴いて自分の世界で終わらせたいんだ。

知ってるよ、音楽が世界を、人を変えられることは少ないって。
でも、それでも信じたいから彼らは歌って叫ぶんだと思う。

今まで1番いた”場所”が教えてくれたことを信じている。
教師も仏陀も上司も先祖もやってくれなかったこと。
何度も叱ってくれた、反対に励ましてくれた、時には馬鹿をすることも教えてくれたし、好きな子と話す勇気までくれた。
それほどの”場所”だったんだ。

自分たちを変えたまでは言わないし、自分たちはそれがあって生きているまで言わない。
それでも自分たちの中にあるものはその”場所”で教えてもらったことだから。

恩返しまではいなくても、あなたにこの言葉を歌にして叫ぶくらいには彼らは音楽を「愛しているよ」

Half time Old 「発見と疑問」から「愛しているよ」

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