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文化的価値と市場的価値

機織女を抱えてまで織らせる家がなかったのは、一反の縮を織るのにずいぶん手間がかかって、銭勘定では合わないからだという。
そんな辛苦をした無名の工人はとっくに死んで、その美しい縮だけが残っている。 -川端 康成「雪国」より

織物は手間がかかる。 これは昔から変わらないことでありました。

こうして社会がどんどん市場化するにつれて失われていった手間隙。
時の流れで淘汰されていく技術もたくさんあるでしょう。

個人名で制作している作品もAura loomの作品もまた然り、作りたいものであればあるほど技術も高くなり、思索する時間も増えていくために価格は上がります。
作品は考えている時間の密度・苦労に比例するように設定しています。
一概にこのサイズならいくら、材料費を込めた原価でいくら、といった値付けの方法は採っていません。
この数年で自分が作り上げてきた作品を並べておよその時間と手間を価格という落とし所を見つけて体系化しつつありますが、なかなか簡単ではありませんね。

これからも価格については価値と照らし合わせて考え続けたいと思っています。 

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