新手法:リエゾンインタビュー

2018年にリエゾンインタビューという方法論を開発したまま放置していた。
ここで、改めてリエゾンインタビューの有効性を紹介したい。
<インタビューが抱える2つの困難>
1on1インタビューでは、モデレーターが質問者、対象者は回答者との役割分担が自然にできてしまう。これは先生と生徒のような上位者、下位者の関係であり、詰問されてる、尋問されているとの負の感情が対象者に湧き上がる。
この状況は対象者を萎縮させて無難な回答しておこうとの意識を生む。モデレーターはモデレーターで、フロー以外の質問を考える余力をなくしてしまい、「もう何も聞くことがない」状況に追い込まれる。
この困難を乗り越えて、うまく進んだ1on1では対象者が自己省察に近い心理過程を経て回答してくれるので「深いインタビュー」が成立する。
これが、1on1は大きなテーマ、「人はなぜ化粧するか」、「健康を重視する理由?」などの追求に向いていると言われるゆえんである。
ところが、この深層心理的分析だが、これはあくまでも個人の心理であり、了解性や納得性は強いが、市場の消費者全体の心理としてマーケティングに使おうとすると一般性がないことに気付かされる。
この極めて個人的な深層心理的なものをマーケティング一般に適応しずらいことが1on1が抱える困難の2つめである。
<リエゾンインタビューの特性>
リエゾンインタビューは対象者2人で会話してもらい、それをモデレーターが傾聴、観察するという方法である。これで、モデレータと対象者の間のコンフリクトを回避させ、対象者同士の自由なおしゃべりで個人の深層心理的なところに行ってしまうことを防いでいる。
対象者もモデレーターから根堀葉掘り質問されるより、同じ立場の人と話すのでストレスがない。初対面の緊張感もすぐになくなる。また、FGIの対象者にあるスルーや全体に適当に合わせるという行為が少ないのもリエゾンの特徴である。
<リエゾンの利点>
インタビュー終了後の対象者の感想は「最初は緊張したけれど話し始めたら楽しくなった」との反応がほとんどで2人の話が噛み合わない事態はほとんど発生していない。
また、高校生以上であれば、男性同士でもすぐに会話ははずんでくる。
モデレーター側もインタビューの進行に気を使う注意力が「聞く、分析する」に多く配分できて分析がしやすいのである。
また、必要があれば最後は1on1をひとりずつ実施すればよいので、一度に2人の1on1ができると考えれば時間の合理的もできる。
<リエゾン実施の手順>
・似た属性で初対面の2人をリクルーティングする
・2人で自由に話してくださいと宣言
・2人の会話が盛り上がるようにモデレーション
・2人でなにか作業させるのがよい
・テーマから離れたら介入する
・プロービングは最後にする
・最終的に1on1で確認インタビューする
<リエゾンの意味>
隠れていた(黙字だった)子音が母音の連続で発音される。フランス語などの語規則。
インタビューでは、気づかなかったこと、言わなくてもいいと思っていたことが対象者同志の会話で、発言されるようになる。

左:リエゾンインタビュー  右:1ON1インタビュー


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