ド初心者がZbrushを始めて2か月くらい経ちました

完全な初心者の僕がZbrushを始めてから2か月くらい経ちました。きっちり記録はとっていませんが、本格的に始めたのがフランスでロックダウンが始まったころ、つまり3月20くらいだったと記憶していますので、大体それくらい経ったことになります。

知らない方のために簡単に説明しますが、ZbrushというのはアメリカのPixologic社の販売している3Dモデルをつくるためのソフトです。海外ではCGアーティストの方が使っていることが多いようですが、日本では主にフィギュアの原型師の方が使っているようです。値段は日本円で10万円ほどとかなりしますが、一度購入すればその後は無料でアップグレードできます。ちなみに僕はフランスの小売り店から学生料金で購入したので、大体日本円で5万円くらいでした。

Zbrushを使うのにはペンタブレットが必要です。ペンタブレットが何かは知っていましたが、僕はそれまでペンタブレットを使ったことは一度もありませんでした。幸い、同居人が数年前に200ユーロで買って一度使ったきりそのまま押し入れにいれてあるワコムのペンタブがあるというので、代わりに「あつ森」を購入するということを条件に、それを譲ってもらうことになりました。ワコムのペンタブは高いし、押し入れで忘れ去られていたペンタブもだれかに使ってもらえてよろこんでいる(多分)と思います。

Zbrushは複雑なソフトです。何もないところから一人で学ぶのは僕には厳しいので、Amazonでフィギュア原型師のウチヤマリュウタさんの教本を購入し、その本に載っている通りに練習することにしました。

ところが、すぐに問題が発生です。ペンタブをパソコンに接続したはいいのですが、感度が良すぎるというか、タブレットに触れていないのに勝手にペンが反応してあちこりクリックしてまわってしまいます。ペンタブレットの暴れ馬です。これではまともに操作できません。Google先生に訊いたところ、ペンタブの設定を開いてペン感度(とかそんな名前のやつ)を「硬め」にするとよいとのことでした。その通りにしたら直りました。

ウチヤマリュウタさんの教本では、一冊を通して美少女フィギュアをつくることになっています。まずは顔からスタートです。ところが僕がやると美少女になるはずがクリーチャーになってしまいます。オークです。このZbrush壊れてんのかな?と思いましたがもちろんそんなことはありません。僕がへたくそなだけです。Youtubeのチュートリアル動画を見るとうまい人がさっさと作っていて簡単に見えますが、実際にはとても難しいです。美少女という名のクリーチャーを何度か作り直し、ようやくかろうじて人間みたいになったかな?というところでそのまま次のステップにすすみます。そんな感じで、ウチヤマさんの教本通りにZbrushの基本操作を学んでいきました。見本のようにきれいな美少女にはなりませんでしたが。そんなこんなで、見た目は悪いけどなんとか形にできるようにはなりました。

いろんなものをつくっては消しをしましたが、はじめに一応完成させたのが「金曜ロードショーのおじさん」です。

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腕の位置を調整しようとしたらポリゴンがぐちゃぐちゃになって作り直す、等のトラブルに見舞われましたが、なんとか形にはなっています(なっていますよね?)。映写機もシンメトリーじゃないのが気になりますが、対処法がわからずそのままに・・・。ちなみに色がついていないのは色の塗り方がわからなかったからです。でも初めて形になったのでうれしかったです。

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その次につくったのは「銀河鉄道の夜」という古いアニメ映画に出てくるジョバンニです。スカルピーで作っていたキャラクターだったので、デジタルでも作りやすいかな?と思って作ってみました。でもなんだかのっぺりしていて、いかにもデジタルでつくりましたみたいな感じがします。どうすればよいのかわからなかったのでこのまま完成にしました。ちなみにこのころは「ダイナメッシュ」「Zリメッシャー」「サブディヴァイド」の違いがあまりよくわかっていませんでした。今の僕の認識では「ダイナメッシュ=ポリゴンを均一に張りなおす」「Zリメッシャー=ポリゴンを良い感じに再構成してくれる」「サブディヴァイド=ポリゴンを細かくする」という感じですが、あっているでしょうか?

このころまでほぼ毎日Zbrushを触っていましたが、著しく体調を崩し(多分コロナウィルスにかかった)、40度近い高熱が10日ほど出て文字通り動けなくなってしまいました。その間は何をする気にもなれず、正岡子規のように布団にふせってぼんやりと宙を見つめていました。

回復後もしばらくはしんどかったですが、もともと動物のフィギュアをスカルピーという粘土でつくるのが好きだったので、動物をモチーフにしようと思いました。そこでフジモトマサルさんの描いた羊くんを立体化しました。

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僕のつくった羊くんはフジモトさんのイラストとは違い、なんだかデヴィッド・リンチの映画に出てきそうな、見ていると不安になる顔になりました。やっぱり顔をそっくりにつくるのがむつかしかったです。でも一応それらしくはなったし、Zmodelerをつかって巨大蚊取り線香・・・いや、レコードディスクをつくれたのでよかったです。

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その後にはドーナツを食べるねこくんをつくりました。これもフジモトマサルさんのイラストを元にしています。毛並みをもう少しきれいにつくりたかったのですが、どうすればよいのかわからず表面がぼこぼこになってしまったのが悔やまれます。でもねこくんはつくっていてとても楽しかったです。これもフジモトさんの素敵なイラストのおかげです。

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それからつげ義春先生の「山椒魚」という作品に出てくる山椒魚をつくりました。実は山椒魚はおまけです。本当につくりたかったのは眼医者の看板です。これまではきれいにつくろう、きれいにつくろうとしていましたが、細かいことは気にせずシンメトリーをくずしてガシガシつくりました。山椒魚の肌のでこぼこをつくるのが楽しかったです。

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旅にでかけるうさぎくんもつくりました。うまい人の作品を参考にしながら毛並みをつくりました。うまい人の技術をまねるのはやっぱり勉強になります。

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フジモトマサルさんの「にょにょにょにょ記」という本の表紙のイラストをつくりました。箱庭をつくるのが楽しかったです。箱庭の中の電車や家やパラソル、レール、灯台はzmodelerを使って作りました。このおかげでzmodelerの経験値がかなり稼げたと思います。傘はどうやって作ったらいいかわからなかったのですが、うんうんうなりながら格闘しているうちにできました。

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その後にはトトロをつくりました。トトロはスカルピーで作ったことがありました。トトロは一見簡単そうなのですが、そっくりにつくるのがとても難しいです。ここで背景の色を変える方法や、ライトの操作方法を学びました。

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その後には「もののけ姫」にでてくるシシガミ様をつくりました。

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角をzsphereでつくったのですが、途中でトポロジーがおかしくなって大変でした。

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宮崎駿さんの作品が好きなので、カオナシもつくりました。口の中もつくったのですが、完成するとほとんど見えないという・・・。

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Zbrushを使い始めたころ、インターネットでZbrushは粘土をいじるように作れると聞いていました。個人的な感想としては、イエスでありノーだと思います。たしかに粘土をこねるように形をつくることができますが、きれいな形を出すにはポリゴンの流れに気をつけなければいけないと学びました。

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フジモトマサルさんのイラストを元に読書する謎生物をつくりました。先にウチヤマリュウタさんの教本でzbrushを学んだと述べましたが、のぶほっぷこと福井信明先生のPixologic Liveやyoutubeの動画にもお世話になりました。福井先生は4月に急逝されてしまい、もう先生の講座を見られないと思うとほんとうに残念です。直接お目にかかったことはありませんが、福井先生はコロナウィルスが流行っている中、無料で自著の大部分をpdfで公開したり、Pixologic Liveでも「自分の本は買わなくていいから、もっと知りたい人はyoutubeの無料動画を見てね」と仰っていたり、本当に親切な方だったのだと思います。

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ちなみに謎生物が読んでいるのは英語版の村上春樹さんの「ねじまき鳥クロニクル」です。

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エドワード・ゴーリーの「うろんな客」です。「うろんな客」はスカルピーで初めて作った作品なので、個人的に思い出深いです。

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今日完成した「銀河鉄道の夜」のジョバンニです。ジョバンニをつくるのはこれで二回目です。(実はスカルピーでも作っているので、それをあわせると3回目ですが)。初めのころにつくったジョバンニはのっぺりしていておかしいなぁ、変だなぁ、こわいなぁと自分でも思っていたので、リメイクしてみました。比べるとこんな感じです。

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まだ複雑なものはあまり作れませんが、これからも練習して見て楽しい作品をつくりたいです。

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