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マイクロフルイディクスを用いたインターフェースの研究事例

マイクロフルイディクスは研究や開発が盛んな分野であり、特に医療分野では顕著です。例えば癌スクリーニング、微小生理学的システム工学、ハイスループット薬物検査、ポイントオブケア診断などの幅広い生化学および臨床応用を可能にするなど、幅広い展望が期待される分野です。

一方で、マイクロフルイディクス自体そのものの現象を利用することで、インターフェースやハプティクスデバイスへの応用も検討され始めており、流体現象そのものへの興味関心が増加していると言えます。

インターフェースとハプティクスへの応用に関するマイクロフルイディクスを用いた研究事例

MIT Media labの研究チームが、埋め込まれたアナログ流体センサーとして機能しつつ、流れと色の変化を表示する一連の構造を設計し、その研究成果を2020年度のCHI会議にて報告しています。

流体そのものが非常に美しい表現を魅せる一方で、センサーかつディスプレイの機能をもたせている良い事例で、流体そのものを利用することで、新しいインターフェースになりうる可能性を見せてくれています。

中国科学院らの研究チームが、マイクロフルイディクスを使用して触覚フィードバックのような振動をレンダリングできる、新しい皮膚上のハプティックインターフェイスであるHapBeadを提案し、研究成果を2020年度のCHI会議に寄稿しています。

マイクロ流体チャネルを利用して、液体の流れを介して小さなビーズを正確かつ俊敏に振動させます。これにより、チャネルにさまざまなモーションパターンが生成され、皮膚に高度に調整可能な触覚を作成するそうです。


ウェラブルデバイスとしての利用事例

イリノイ大学の研究チームは、皮膚の表面に密接かつ強固に結合できる無線通信電子機器を統合した、柔らかく伸縮可能なマイクロ流体システム用の材料およびデバイス設計を提案し、その成果がScience Translational Medicineに紹介されています。
汗腺が微小流体ネットワークとリザーバーを介して、発汗を自発的に開始するように、汗腺の小さなセットのアクセスポイントを定義し、デバイスに埋め込まれた化学分析として、塩化物やヒドロニウムイオン、グルコース、乳酸などのマーカーに比色法で応答するそうです。


マイクロフルイディクスに関するデバイスReview論文(紙、3Dプリント)

バイオマーカー検出のための、プログラム可能なマイクロフルイディクス、すなわち紙ベースの連続フローマイクロフルイディック(p-CMF)デバイスと紙ベースのデジタルマイクロフルイディクス(p-DMF)デバイスの進歩を調べています。
2種類の紙ベースのマイクロ流体デバイスの製造方法と、流体供給のプログラミングおよび液滴操作の戦略について説明し、次に、バイオマーカーのシングルおよびマルチステップ検出のためのこれらのプログラム可能な紙ベースのデバイスの使用について説明しています。

3Dプリンティングを用いたマイクロフルイディクスのデバイスに関するReview論文を最後に紹介します。
3D印刷は、開発段階での迅速な設計の反復を可能にするだけでなく、組織のインフラストラクチャ、機器の設置に関連するコストを削減することにより、リソグラフィやPDMSガラスボンディングなどの従来の技術に代わる有望な代替手段となります。


流体現象が魅せる可能性は、身の回りのインターフェースやウェラブルデバイスだけではなく、低コスト化技術が進むことで、医療分野での使用も期待されています。

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