見出し画像

RQオフセレポート(1/13)④

何度もお伝えしますが、録音なしのあやふやうろ覚え記憶で書いています。
特定の人の発言は、文章を書いた私に責任があります。
ですので、文章の無断転載は固くお断りしますし、その人の発言だと別のところで掲載しないでください。
よろしくお願いします。


RQか、何もかもみな、懐かしい

マスター「エンドロールが流れている間にみなさんの感想を聞かせてほしいです」
ソラーラ「ルーンクエストは初めてだったので、いちいち質問して進行を止めてしまってすみません。ただ、スキルとかにキャラクターの個性とかが表れていて、面白かったかなと思います」
ヴァサナ「パッションが上手く使えなかったかな。もう少しやりようがあった気がする。バイソンにもせっかく乗っていたのに」
ヴォストール「ルーン魔法を使えなかったのが残念。新ルールで使いやすくなったのに」
ハルナス「カルト色を出せなかったのが心残りです。イサリーズなのに、ただの武装商人(盗賊ともいう)になってしまったのが、反省点です」

と、ここから、私の正直な感想です。
3版から今回の新版への変更点として「感情値(パッション)」が入ったのは面白かったと思います。
ただ、ここにカルトの特色を出せなかったのはかなり残念です。
「遠くのルナーより近くの対立部族」というのは、サーター王国を取り巻く社会情勢としてよりリアルになったのでしょうが、それでは一般にあふれかえっている剣と魔法の西洋中世ファンタジーと何の違いも無くなってしまうのでは?、と私は思います。

ルーンクエストの魅力は、まるで日本の八百万の神ように日常のあらゆること(もの)に神が宿り、人々が日常に行った一つ一つの行動が神の存在(力)へとつながっているという世界観、だったと思うのです。
だから、カルトの戒律は絶対でした。
カルトによっては使える武器や行動に厳しい制約もありましたし、対立しているカルトの信徒とは交流そのものが成り立たないというカルトもあります。
その制約の中でどうロールプレイするかが楽しかったのです。

もちろん、製作者のグレッグ・スタフォードは一神教のキリスト教徒なので、その世界観をどこまで追求していたかは不明です。
グローランサの世界観に私が勝手に日本の精霊信仰を紐づけているだけかもしれません。
ただ、そういう世界観に魅了されてこのゲームにハマった者としては、パッションにはもうちょっとカルト色(加護と制約)を出して欲しかったなぁ、というのが本音です。
結局、ロールプレイとして使ったのではなく、システムとして使ってしまった自分自身への反省も含めて。

ただ、これは新版への不満点であって、ルーンクエストの面白さであるスキルアップ制とストライクランク制は色あせることなく面白かったです。
攻撃魔法が意外と使い勝手が悪くて、「惑い」とか「消沈」とか(「狂気」とか)の精神攻撃魔法や「移動」とかの補助魔法がかなり使えるので、カルトごとに工夫を凝らせるのも魅力の一つです。
疲労ポイントが無くなったので、戦闘が始まるとまず荷物を下ろすという珍光景が無くなったのは、残念ではありますが。
(鎧や剣、盾、そして持っている荷物の重さで疲労ポイントが溜まり、疲労ポイントが溜まると技能の成功率が落ちていくので、あらかじめ戦闘準備をせずに戦闘が始まると、
マスター「山賊が現れた。行動宣言して下さい」
プレイヤー「まずDEXストライクランクで、背中の荷物を下ろします。次に盾と剣を構えます」
というのが定石でした)

さて、マスター曰く
「このシナリオは、1980年代に発表されたものだから、新版ルールに合っていない部分もあったと思います。ルナー帝国人は悪人だし、エンディングもマスター丸投げでしたから」
「マルチエンディングとか?」
「いえ、シナリオに掲載されているエンディングだけで5つもあり、マスターは自身とプレイヤーの嗜好でどれを選んでもいいと言うシナリオでした。何か分岐があったわけでも無いです」
「シナリオソースだけ用意されてて、あとはマスターお任せみたいな」
「そんな感じです。あと、新版の魔法名がクイックスターターと対応していなかったりして、皆さんにご迷惑をおかけしました。対応表とか作っていれば良かったなぁ、とか。準備不足でした」
「いえいえ、これは今後の追加サプリに期待していきましょう。これでルーンクエストが流行るともっとブラッシュアップされるはず」
「流行るかなぁ」
「D&Dみたいに、欧米で実写映画化するとか」
「イーロンみたいな大富豪が酔狂で作らないと映画化なんて無理だと思うぞ」
「じゃあここは、水野先生に小説化してもらって、そのままアニメ化までこぎつける!(笑)」
「水野先生なら角川にそこまで言えるはず(笑)」
と話している内に閉会式の時間になりました。

閉会式の会場へ行くと、水野先生がルーンクエストが初めてっぽい若い人をつかまえて語っていました。
水野先生「歴史と一緒なんだよね。新しい資料が発見されるとそれまでの定説が覆ってしまうという」
「でもマスターによっては、新しい資料が発見されても頑なに前の設定でゲームしたりして。いや、俺はこの説で推し進める、みたいな。あらゆる解釈が成り立ってしまう(笑)」
「そうこうしている内に説が元に戻ったり(笑)」
若い人はおじさん達の話に目を白黒させていました。
ルーンクエストは、水野先生が後ほど言われましたが「不完全さが美しい世界観」。
不完全に完成されているという稀有なゲーム。
そこが魅力だから、それにハマるかハマらないかがルーンクエストにハマるかハマらないか、かもしれない。

体良く水野先生の隣をゲットした私に、先生がポツリと呟いた言葉が耳に入ってきた。

「ルーンクエストか。何もかもみな、懐かしい」

先生! 万感込めて言うセリフじゃ無いです!(笑)

神託は降った「新刊は本屋で買うべし」

閉会式の言葉は清松先生でした。
「久しぶりだし、初めて遊ぶルールだから初心に返って、と思っていましたが、
ついロールプレイしちゃいますよねー(笑)」

後からお聞きすると、大好きなイェルマリオ信徒を選ぼうとしたが、プレロールドキャラクターがシミターを持ったヘンテコなイェルマリオだったので、
(シミターは月の神の信徒が持つ武器。イェルマリオは太陽神の息子なので主武器は槍)
冷静なストームブル信徒というクレイジーなキャラクターを演じられたらしい。
(ストームブルは混沌を最も憎む狂戦士として有名)

見たかった(泣)
誰か、リプレイをお願いします(平に平に)

さて閉会式後は、有志で京橋店の見学に行きました。
途中、人数が徐々に減っていったので、クトゥルフの一場面で盛り上がったり、京橋店でもセッションできるテーブルがあったので、「ココで今から二次会(というセッション)ですか?」と言ったり、セッション後のハイテンションのまま懇親会へとなだれ込みました。

会場では水野先生と清松先生が別々のテーブルにすでに座っていました。
主催者が、「セッションで先生方にご一緒しなかった人が先生方のテーブルについて下さい」と気配りをしてくださったので、遠慮なく水野先生のテーブルを確保!
その後の2時間は、もう私の一生の宝物にする貴重な時間でした。
30年前の私に言ってあげたい。
「30年後に水野先生とお話しできるから、人生諦めずに生きていきなさいよ」って(笑)

ということで、ここから先は貴重な水野先生のお言葉を紹介したいのですが、何分録音もしないで私の記憶だけで、
しかもすでに一ヶ月近い時間が経ち、記憶もかなりあやふやです。
こんな感じのことを言ってましたよ、の紹介だけなので、一言一句水野先生の言葉だとは思わないでください。
ましてや、勝手にコピペして「水野先生がこんなこと言ってました」と紹介することはやめて下さい。
よろしくお願いします。

とはいえ、本当に記憶があやふやなので箇条書きのみ。

「ロードス島戦記はルーンクエストの影響は受けてますよ。ただ、もちろん、僕なりに世界中の神話を調べて研究して、オリジナルな世界を創り出した」
「始原の巨人と終末の巨人は、グレッグが持っていない僕だけのオリジナルの要素」
「ルーンクエストはカルト色強めの方が好み。パッションのシステムもプレイヤーの行動を縛る感じで使う方が面白いと思う」
「とはいえ、ペンドラゴン(パッションのシステムをガッツリ導入した最初?のゲーム。未翻訳)のように使うとシナリオが崩壊してしまうから、使い所は難しいかも」

ここで私が、ペンドラゴンを学生時代に翻訳して遊んだことをお話しすると、「それはすごい」と褒めていただきました(やったー!)。

他にも神話学の最新研究から政治、文化の話まで多岐に渡り話しました。
先生の頭の中が少し覗けて、感無量です。

最後に先生が一番強調されていたことを紹介します。

「ロードス島戦記がアニメ化になる時、僕は断頭台に立って処刑を待つような気分だった。僕の本が売れるか売れないかは、その時に決まる」
そして、N○Kが朝の番組で古本屋への本を売り時として、「アニメ化、ドラマ化、映画化した時」と紹介したことに憤っていました。
「僕はもういいよ。でもこれから売り出す若い小説家達のその後の人生を一番左右するのが、アニメ化。アニメ化が本が一番売れる時で、その時に本が売れなかったら、小説家は食べていけなくなるんだ。それなのに古本屋への本の売り時なんてN○Kが言うなんて。それは古本屋の都合で、本を売る人にとって何の得にもならない」
先生はもちろん、廃盤本など古本屋でしか手に入らない書籍はあるし、購買者の金銭事情もあるから古本屋を利用するなとは決して言わないと述べた上で、
「電子書籍も流行っているけど、出版社は結局本屋での紙の書籍の売上しか見ていない。電子でどれだけ売れていても、紙の書籍の売上が悪いと廃盤や打切りにしていく。だから好きな本はできる限り本屋で買って欲しい。それが回り回って好きな本を手に入れる一番の近道になる。好きな作家を応援する最善の方法になる」

好きな本は、新刊を本屋で買おうと心に誓いました。

さて、会もお開きになった後、誰かが先生に
「先生、ルーンクエストの小説書いてくれませんか?」
と言ってみたら、先生は苦笑いして
「前に『ヘンダーズルインの領主』を書いたんだけど」

『ヘンダーズルインの領主』は絶版になり、古本屋でしか手に入らないことを一応記しておきます。

(終わり)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?