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【1】遠足の前の日、あの胸の高まり

小学校低学年の頃、土日の起きる時間は平日よりも早かった。平日はだいたい6時に起きていたけれど、土日になるといつも5時前後に目が覚めてしまう。

平日は、学校で授業を受けて野球をして塾に行って帰る日々。まるで流れ作業のように、毎日をひたすらこなしていた。

それが土日になると、感情に山と谷ができるのだ。ちょっと遠い場所に車で出かけたり、家族で旅行に行ったり。心が踊るようなイベントを目の前にして、ソワソワが鳴り止まず落ち着かなかった。一方で、旅行の帰り際や花火大会が終わりに近づくと、ちょっぴり寂しくなったり…。

まるで、遠足の前の日の、あの胸の高まり。あのワクワク感。朝5時の夜明けとともに、自分の感情もどんどん高まっていった。


実はついこの間、27歳になった。昔自分が思い描いていた27歳と現在とでは、正直かなりのギャップがある。だけど、「歳をとる」ってそんなものなのかもしれない。おそらく30歳になっても40歳になっても、50歳になっても、「あ、こんなものか」と毎年ちょっとずつ自分自身にがっかりしていくのだと思う。

歳をとって経験値が増せば増すほど、「ああ、こういうときはこうすればいいんだよね」と、困難に遭遇したときの最適解が、すぐに導き出せるようになるかもしれない。でも、だからといって、わかりきったものばかりだと人生がどんどんつまらなくなる、と僕は思わない。

いい意味で自分に期待しなくなったからこそ。肩肘張らず、ありのままに近い状態で生きられるようになったからこそ。そこから見えるプラスのなにかもあるのだと僕は思う。そしてそのなかで、未知のものに出会ったときやふと何か素晴らしいものに触れたとき、少年の頃のあの感情を再び思い出すのだ。

ありきたりだけど、人生は長いようで短い。27年間なんとか生きてこられたけど、あと何年生きられるのだろうか。そんなことは神様にしかわからない。考えたって、どうしようもない。

だから、後悔しないように。目の前にある「ワクワク」を見つけたら、その感情を大切に。ピンときた感性をどこまでも丁寧に。自分の気持ちにふたをせず、無邪気な子どものように。

そんな風に生きていければ自然と自分を大切にできるのかもしれないなと、久々に早起きした今日の朝、ふと思ったのだ。

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