【書き起こし】2/3 知らないでは済まない!?エーミング [オートアライアンス・チェンネル]

【エーミング動画】インターサポート様より、『B.P作業におけるスキャンツールの必要性(カメラ・レーダーのエーミング)』という内容で、業界の最新情報をお話いただきました。

講師:インターサポート
制作:オートアライアンス

自動運転のレベルにもよるんですけれど、今取り組みを見ていただいて、今現在走ってる車をカメラとかレーダーとか呼ばれる部分で、主に衝突安全でお役立ちしているシステムが3つあります。

先ほどの自動運転のレベルが進んでいくのにしたがって、このシステム、仕組みがこれから変わっていってしまう恐れがあります、というのを頭の片隅に留めていただいて、それはそれで今現在入ってくる車を直してあげるためには、こういったところに技術的に対応してあげる。

あるいは、カーオーナーさんに説明するために、鈑金屋さん、整備屋さん、皆さんが知っておかなければいけないことというのがこういうふう(資料参照)になってきています。

上から赤外線のレーザーレーダー、真ん中がミリ波レーダー、一番下が単眼(一つ)・複眼(二つ三つ)のカメラ、となっております。

それから、それぞれ装着にあたってメリット、デメリットがあります。

そして、走っていく上でそれが衝突安全の役に立つ立たないといった意味での、条件的なメリット・デメリットがございますのでご説明していきたいと思います。

一番上が赤外線のレーザーレーダー、こちらが簡易型のシステムとも言われています。

なぜ簡易型なのかというと、ひとつが障害物の検知距離、レーザーが飛んで上手く跳ね返ってくることが出来る距離、というのが車輌前方約8m~10mしか届きません。届いて、無事に返ってきてくれない。

当然その距離で感知して跳ね返ってきて、それからブレーキが間に合うということが必要になりますので、作動速度の上限が時速30キロ以下になります。

それより早いと「あ、対象物だ」と赤外線が感知して、それによってブレーキ操作をしても間に合わずに、衝突軽減、被害軽減には繋がるとは思うんですけど、ということになります。

なので、検知する距離と速度の上限が低めになっています。

簡易型と呼ばれるもうひとつの理由が、装着にあたってのコストが安いです。

大体10万円しないで今となってはもう、車に搭載することが出来る。

ですので、昔だったらオプション装備だったのが、純正で選ばずにつくとかということが増えてきたりしています。

赤外線のレーザーレーダーと、その下のミリ波レーダーですね、共に車輌の前方から物を飛ばして、それが跳ね返ってくるというのを検知するシステムとなっておりますので、歩行者、自転車または街路樹といったきちっと反射して返ってきにくいものを全く認識しないとは言いませんが認識をしにくい。

例えば横断歩道を渡る歩行者に対して、うまく跳ね返ってこない、検知ができない、ということで、そのままブレーキ操作をかけないでいってしまう、ということが起こりえます。

二番目のミリ波レーダー、ミリ波って何でしょう?

携帯電話で受信するWi-Fiとか、あるいはFMのラジオとか、ああいったラジオ波と呼ばれるものもミリ波に含まれます。

その中での周波数帯、2.4ギガとか5ギガとか、Wi-Fiとかだと聞いたことがあるかと思うんですけれども、そういったものを使って車輌の前方から飛ばす、それがミリ波を用いたレーダーと言うことになります。

当然、今お話したようなものを飛ばすので、8m~10mとかの赤外線のレーザーレーダーとは違って、100m、200m車輌の前方まで飛んでいきます。

ですので、先ほどお話させていただきました、アクセル・ブレーキの操作を踏まなくても、高速道路で前方車輌との車間距離をキープしてついていきますよ、というものにミリ波レーダーが主となって使われています。

当然、雨の日にラジオの入りが多少悪くなっても全く途切れてしまうことが無いように、天気に対しての抵抗がミリ波レーダーは非常に高いです。

晴れていようが雨が降っていようが、少し飛びの距離が悪くなることはありますが、比較的まっすぐ飛んでいきますので、天候に対する、あるいは夜に対する距離の低下が少ないというふうになっております。

じゃあ、悪天候で飛びが悪くなる、あるいは昼と夜で精度の差が出る、そんなシステムがあるんですか?というのが下の単眼・複数のカメラになります。

こちらはどのような原理で衝突に対してブロックするのか。

まず皆さんが見ている目、右目と左目が付いていると思うんですけれども、それを用いて、それが車のウインドウガラスについていて、常に前方を監視していて、何かターゲットがあるとそれに対して衝突安全の行動をする、急ブレーキを踏むだとか、というふうに認識していただけるとわかりやすいのかなと思います。

当然、人の目で見るので、先ほどの飛んだものがターゲットに当って跳ね返ってくるというものとは違いますので、歩行者とか自転車とか、大人であろうが子供であろうが、きっちり認識してくれやすいという見方ですね。そういったものに対して衝突の被害を食い止めることができる。

ただし、自分の目と同じと言うことになりますので、やっぱり運転していて朝日や夕日が眩しい、そういう時前が見づらい、サンバイザーをおろすとか、サングラスをかけるとか、されるかと思うんですけれども。

同様に雨風が強い、天気が悪い、台風が来てる、といった時だったら見にくくなってしまう。昼に比べて街頭が少ない夜とか、真っ暗な道を走っていると、飛び出てくる歩行者が見づらい。自分が見づらいと思っているとき、カメラも同様にみづらいと思っています。

なのでそういうとき、上手く適応できずに衝突してしまう危険性が高まる。カメラが上手く作動しない、ということが増えていきます。

単眼に比べて複眼のカメラは、より安全性を高めていますと言うモデルもありますという言い方なんですけれども、何で二つのほうが安全なんですかということですが、単純に片目で見るより両目で見たほうが対象物の距離感、片目でここにこれがある、両目であるというのがしっかり視差、視野の差ですね、それを利用して対象物までの距離感をしっかり見ますので、アイサイトなどぶつかる危険がより少ないとか言われて、実際鈑金屋さんでも入庫する数も減っているらしいんですけれども、そういうことが原因としてあるらしいです。

カメラも、今現在どんどん技術革新が進んでいます。赤外線機能搭載して、夜も対象物が見えますよ、と言うカメラが出てきたり。

単眼より複眼のほうが安全性を高めてますと言いましたが、まだ純正の取り付けがないんですけれども、これから、今だと車外も外付けカメラでつけていたりとか。これから純正が進んでくるモービルアイと言うイスラエルのほうの会社のカメラが単眼であっても複眼のカメラより安全性がより高い、というモデルが出てきたり、そういったものに関して、また変わっていくということが言われています。

今お話させていただいたように、カメラとレーダー、それぞれ欠点があったりしますので、今、どちらかというと主流となっているのがカメラに対して、加えてミリ波や赤外線のカメラを組み合わせて使うと言ったようなシステムが主流になっています。

トヨタさんのセーフティセンスと呼ばれるものであったり、ホンダさんのホンダセンシングと呼ばれるものが代表的かと思いますが、スマートアシストも2以降組み合わせになっていたり、三菱さんもAIアシスタントと言う名前でカメラとレーダーの組み合わせで搭載されていたりします。

スキャンツールを中心にしてお話をしてきましたが、調整・校正作業をやっていくにあたって、メーカー純正のSSTあるいは専用工具と呼ばれるものが必要になってきます。

診断機買ったからこれでもう調整作業は出来るんだろうなということも言われますが、いいえまだ出来ません。これが必要です、というお話もしなければなりません。

基本的に、カメラであれば対象物を見る、その対象物が車輌の前方のどこにあります、という情報を車のコンピューターに覚えこませると共に、こういったトヨタさんのカメラ調整用ターゲットですと、白黒の市松模様のような紙の部分ですね、ここを見てあげて、あ、あれがターゲットだ。あれが3mの距離なんだな。というふうに認識したりする。

隣においてあるのがプリウスなどでミリ波レーダーの調整用のターゲットですね。カメラと同じような棒の上に三角形の、アルミ製の三角錐のやつを置いて、そこに対してミリ波レーダーを飛ばして上手く返ってくることを検知して、ゼロ点の調整みたいな感じで、ちゃんとあそこが正面だと認識をしていただくといった作業になってきます。

例えば、これがトヨタさんだったら、この立てる棒が1万何千円に、三角形のものも1万数千円で、合わせて3万円くらいで買えるんですけれども、メーカーさんによって当然値段が変わってきます。

じゃあ診断機買ったよ、ターゲットも買ったよ、これでいいんだろう?というところで最後にして最大の問題が出てきます、場所です。

例として、プリウスでフロントカメラを調整する場合、となっているんですけれども、まず車を置くスペースに加えて車輌の前方3m×3mの何も無いスペースを用意してください、となっています。

車輌の後端、前端、及び車輌前方2.2mのところで水準器を用いて水平度合いを確認してください、となっています。

これが車輌によっては例えばプリウスのカメラではなくて、ミリ波レーダーも調整の場合ですね、車輌前方で必要な距離が5m×6mであったりとかしますので、車によって必要なスペースと言うのは変わってきます。

なので、最大であるとしたら車輌から含めて11mくらいまっすぐなところ、そしてカメラだとないんですけれども、レーダーだと当然金属で反射するようなものになっておりますので、足場に金属面が無いとかいった、いろいろな指定が書かれていたり、メーカーごとにあったりします。

車検のラインとかがしっかりあれば、水平も大体あってるでしょうし、床面も大体いいと思うんですけれども、鈑金工場さんで、場所によっては広くないところでぎりぎりのスペースでやってらっしゃる工場さんもあったりしますので、正直BSサミットさんとに入られているような工場さんでも、うちはこれだけの場所とれないないと、おっしゃっられている方もいらっしゃいました。

中には場所が取れないので、駐車場と言いますか、入口ですね、半分車を外に出して半分だけ中に入れて、車輌前方スペースを確保するとか、そういうふうにやられてる工場さんもあったりします。

一例として、カメラの場合の注意事項というものがございます。

測定は室内で行う。

測定は無風の場所で行う。

調整はできるだけ明るい場所で行う。

タイヤ空気圧を正規に調整する。

ウインドウガラスを清掃する。

ということが書いてあったりします。

注意事項も、カメラなのかレーダーなのか、はたまたメーカーごとにちょっとずつ違ってきますので、そのへんは、作業要領を実作業の時に、工場の方に見ていただいてからやってください、となるかと思いますが、代表的な感じで覚えといていただければと思います。

カメラですので、先ほどお話したように、逆光の状態になってしまうと全く見にくいです、というのがあるので、測定は室内で行って、太陽の影響が無いように行ってください。

測定は無風の場所で行う。先ほどのターゲット、木の棒にダンボールに貼り付けた紙をぺたっとやるくらいになりますので、風が強かったらターゲットがぐらぐら動く。挙句もうちょっと吹くと倒れます。

室内でやっても風の通り道によっては倒れたりすることも結構あったりします。カメラがターゲットを見るときにちゃんとぶれなく見えるように、風の無い場所で行ってください。

カメラが夜とか見にくいところだと自分の目と同じように見にくいですよ、とお話しましたので、調整は出来るだけ明るい場所で、蛍光灯など十分な光量を確保した上でやってあげてください。

タイヤ空気圧を正規に調整するとあるんですけれども、タイヤの左右でずれがないように。

ウインドウガラスであればウインドウガラスをつけてターゲットを見てまっすぐ前を見てですね、斜めになったりしないようにしてください。

カメラであれば情報入力していく都合上、規程の高さであることが求められたりします。

ですので、ローダウンしていたり、タイヤ口径をインチアップしていたりしたら、そういった車輌の場合、まずディーラーさんでは作業を受けません。

標準車高とかですね、基準状態に戻してからもう一回持ってきてくださいというふうになります。

これが突き詰めてしまえば、どんな状態で事故が起きて、要はカメラレーダーが作動しなくても、カーオーナーさんに責任がいってしまうというのは当然あるんですけれども、なるべく誤作動をなくす。

あるいは作動しなければいけないときの、きちっと動くようにする制動の担保としてですね、車輌が基準状態にあることが求められているので、違った場合は受けませんよ、ということになります。

もし専業さんが、高さ変えたのを受けたいんだけどどうすればいいのと言われた場合、カーオーナーさんに誤作動とかの危険性を分かってもらうしかないんですか、と言うお話になるかと思います。

もちろん、ガラス交換であれば、トヨタさんであればトヨタ純正ウインドウガラスを使用してください、とか、というふうにも書かれています。

取り付け位置がずれていたらどうだとかですね。

ガラスの歪みできちっとターゲットを認識できなかったらどうだとか、といった危険性が社外のガラスではありますのでという言い方です。

当然カメラが見ますので、前方のウインドウガラスを清掃してください、となってます。

水垢とかで汚れていて、上手く前方が見えなかったら、それが原因で失敗しちゃうこともあります。

メーカーさんによっては純正以外の撥水剤を使用しないでください、と書いてあったりする例もあります。

ぎらつきと言うのも実際には注意すべきところになったりするかと思います。

作業も確保してちゃんとやったよ、これでちゃんと出来るでしょ、ということなんですけど、そもそものお話で、車がきちんと寸法通りにくっついていて、ボディとタイヤがきっちり前を見て、タイヤが0点であればちゃんとまっすぐ前を走りますよ、というのを前提にしてこういったカメラ・レーダーの調整と言うものが話されています。

ですので、事故車輌であって足回りまでダメージがいってれば当然こういったアライメントをかけなければいけないって分かりやすいかと思うんですけれども、実際には道を走っていればそれだけでずれていったりはありますし、走行して足回りまでダメージがいかなくても、全く影響が無いかと言い切れない場面も当然あります。

まっすぐ前を走るんだよと言う前提に、組み付けもむりくりくっつけないで、きちんと寸法を合わせてやってあげてください、というところになるんですけれども。それが前提でこういったレーダー・カメラの調整・校正作業というのが作られています。


▼エーミングに必要な工具と作業環境の条件はこちらかご覧ください。
https://note.mu/autoalliance/n/nb6fba16636c7

▼エーミングセミナー(動画)
第一話 https://youtu.be/sy8afbf0Ato
第二話 https://youtu.be/892zgJWZ69o
第三話 https://youtu.be/IPrWfwjuluc

▼講演ログ
第一話 https://logl.net/617
第二話 https://logl.net/625
第三話 https://logl.net/632

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