去年3

「去年の冬、きみと別れ」

監督:瀧本智行
制作国:日本
製作年・上映時間:2018年 118min
キャスト:岩田剛典、斎藤工、山本美月、北村一輝

 TOHOで映画を観る度にくどい程予告を見せられ続けた、ミステリで常套句の「すべての人がこの罠にハマる」のキャッチコピーと共に。大量投下の情報は両刃の剣と同じく吉と出るか凶と出るかは難しい。
 原作本執筆が中村文則氏だったことと瀧本監督が以前「脳男」を撮られてことを判断材料として観ることにした。

 予告ではどこまで恋愛要素が入るのか未知数だった。上のシーンなど映画本編の流れとは回想シーンとあってtoneは随分異なる。この部分を予告で見せられても、という風にいい意味で予告構成は裏切ってくれ映画を楽しむことが出来た。只、使い古されたキャッチコピーは如何なものか、残念

 原作未読での鑑賞だったが原作あってのこの映画であることは十分に伝わる。観る者を騙すと云われようと所詮2時間弱の尺と限られたキャスティングとなるとその部分はミステリ好きには難解なトリックとまではいかない。とは云え伏線を回収し最終トリックまでの展開は中弛みもなく進み良い展開。無駄な或いは説明調台詞がない脚本とカメラワークの良さが功を奏している。印象に残るカットが幾つもあったのだが邦画では中々ネットでその画を見つけられずアップ出来なかった。

 全く期待していなかった岩田剛典。話の展開に沿って表情が感情移入の成果といっても良い自然さで変わっていく。北村一輝、斎藤工らに支えられての主役かと当初みていたがアイドルからは脱却。至極残念だったのは円城寺あやさんの場面が本当に少ないこと。しかし、こうしたベテラン俳優が脇を締めているお陰で映画は締まっていたのだろう。
 このまま香港映画と云っても違和感がない邦画離れ。キャステイングを欧米人にしても問題がないほど余計なものがなく纏まっていた。
★★★☆

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