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「CINEMA FIGHTERS」

監督:河瀨直美、萩原健太郎、A.T.、齋藤俊道、常盤司郎、落合賢
製作国:日本
製作年・上映時間:2017年 94min
キャスト:山田孝之、石井杏奈、倍賞美津子、鈴木伸之、藤井美菜、村井國夫

 映画に限定せずとも「ショートショート」は小説においても日本では今一つ盛り上がりにかける。翻訳物で時折出会う唐突な終わり方などは「起承転結」の言葉がある日本ではまだ受け入れが浅いように見える。
 映画においても然り、「祈りの幕が下りる時」冒頭からしばらく字幕で説明がされた時は苦笑するしかなかった。ミステリ映画でありながらこの程度の内容も文字説明が無くては理解出来ない人向けの映画だったのか、無駄に懇切丁寧過ぎてTVドラマを見ているような錯覚に陥る。
 また、邦画の終わり方は兎に角説明したがる。終わりのその向こうを観客に委ねない作品が多い。
 こうした土壌で単館上映ではなくTOHOを択んだことはショートショートを普及させたい考えもあったのだろう。だが、音楽をEXILE系で偏らせたことは失敗。この時点で観客を選別してしまっている。楽曲でinspireされて制作された作品であっても映画館で初めてその曲を聞いた人とEXILEファンではメッセージの届き方が明らかに異なる。

「パラレルワールド」河瀨直美:山田孝之、石井杏奈
 振り返ると中学、高校時代の時間の流れ方はこのまま終わりが来ないのではないかしらと錯覚するほど人生の中では魔法がかっていた。
 その世界を台詞が殆どない台本を渡されアドリブで演じた二人はあの時代の空気を上手く演じている。特に驚くことはご本人が「用意された高校の制服を着てこれはドッキリなのか」と発言されているが、これが不思議と33歳の彼が高校の制服を着せられ高校生に見える自然さ、俳優魂。

「Snowman」萩原健太郎:倍賞美津子、鈴木伸之、藤井美菜、村井國夫
 押し付けがましさがない純愛。予告で見る限りは違和感があったお二人だったが、この小さな世界(限られた空間)で、信念に近い一途な愛を丁寧な描写で描く。6作品の中ではもう一度観たい作品。

 「パラレルワールド」「Snowman」共に俳優陣の演技が光る。
 音楽が目立ち過ぎるとMusicPVと勘違いされショートショートが誤解される恐れがある。
 今回はいつもの映画評価が難しい。
個別では「パラレルワールド」「Snowman」★★★
全体では★☆

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