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「嘘を愛する女」

監督:中江和仁
製作国:日本
製作年・上映時間:2018年 118min
キャスト:長澤まさみ、高橋一生、吉田鋼太郎

 毎年圧倒的に洋画を多く観ているが「いい邦画に出会いたい」と新しい一年になっても希望はある。キャステイングの吉田鋼太郎氏が支えてくれることを期待し本作を観に行く。また、コミック等が原作ではなくオリジナル脚本への期待もあった。

 上記俳優三者は均等な配分だったかというと、写真通り。寧ろ高橋一生とのシーンよりも吉田鋼太郎と話を進めていく部分が多い。高橋一生ファンの方には予告程度の出演シーンで残念な展開だろう。
 「嘘を愛する」ではなく「嘘をついた人」を愛する話、ここから焦点がズレている感がある。映画なので作り事満載で一向に構わないのだが、変にリアリティを出そうとして結果安っぽく仕上がっている。パートナーの本当の姿を知りたくて探偵と奔走する部分が唯一観られた程度か。
 一番引っ掛かることは同棲期間「5年間」。5年間もの間に何も起こらなかったことがそもそも不思議で仕方ない。互いを知ろうとする事がここまで希薄?それとも仕事に忙殺されると相手は見えないとでも?いや有り得ない。

 彼の過去を追うに当たっては、フラッシュバックの短い形でも彼の情報を前半に挿入すべきで彼の像はどこまでも薄く、また二人の5年間の時間が量が全く伝わらない。
 多くの人は婚姻或いは同棲するにあたって興信所を使うわけでもない、相手に戸籍謄本提示を求めるわけでもない。この映画のように知っている「筈」のパートナーを実は知らないことは起こりうる。けれども、この時の既知情報はキャディの外包みのようなもので大抵の場合は中身の味まで偽ることはない。
 映画の長澤まさみ演じる由加利もだからこそ彼を見捨てなかったのだろう。
 ミステリーと呼ぶには戸籍を偽るまでの彼の心を描ききれなかったところが中途半端な仕上がりにしたように映る。
★★

 

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