見出し画像

「シチズンフォー スノーデンの暴露」

原題:Citizenfour
監督:ローラ・ポイトラス
製作国:アメリカ・ドイツ
製作年・上映時間:2014年 114min
キャスト:エドワード・スノーデン、グレン・グリーンウォルド、ローラ・ポイトラス

 現時点エドワード・スノーデン氏のフルネームは忘れても「スノーデン氏」の名前を覚えている人は多い筈だ、それほど2013年6月彼の告発は世界中に激震を起こした。勤務先には長期療養と称して香港に渡り、そこでこの告発の協力者になるジャーナリストらと初顔合わせをする。この「告発の始点」からカメラは9日間回る。
 監督ローラ・ポイトラスはアメリカ占領下のイラクの生活を描きアカデミー賞にノミネートされた『My Country, My Country』(2006年)、別のNSAの内部告発者にインタビューした短編ドキュメンタリー『The Program』を発表した為、アメリカに入国する度の尋問、パソコン・携帯電話などを押収に遭う。国土安全保障省のウォッチリストに載っていることに気付き、今は母国を離れベルリンへ移住し映画製作を続けている。

 映画冒頭で監督へ宛てたメール文面が流れる。その中でメールに対してセキュリティ対策を取ってくれるよう依頼する以下:

 「・・・省略・・・秘密鍵のコピーは作らず、パスフレーズも安全に。敵は毎秒1兆種類を推測可能です。・・・省略・・・上記の対策は万全ではなく時間稼ぎにしか過ぎません。・・・」

 こうしたスパイ映画と言葉にすることも憚られる緊張の連続中でことを進めていく。この映画が後日回顧談からの「再現映画」ではなく、今正にこれから告発していく手段からの過程が撮られていることに驚きを隠せない。関わった一人一人が今後の進退にアメリカを敵にしていくのを覚悟してだ。

 この告発の為に彼は様々なものを失った。それでも「Citizenfour」彼が使った名前の通り「4番目」の告発者として、こうした形でしか成功出来ないと考えたのだろう。
 ネットの恩恵、その代償に失っているプライバシーを考えると全く釣り合っていないことに絶望感しかない。
 観終わってからも余韻が続くのは、このスノーデン氏にまだ平和が訪れず「進行形映画」なのだからか。
 ドキュメンタリーを越えた映画だった。只、ドキュメンタリーであるのは確かで台詞は訳では収まらない上に英語のメール文章も頻繁に出、兎に角情報量が多い。勤務後の疲れを引きずって観ることはお薦めしない。
★★★★
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?