「喜望峰の風に乗せて」

原題:THE MERCY
監督:ジェームズ・マーシュ
製作国:イギリス
製作年・上映時間:2017年 101min
キャスト:コリン・ファース、レイチェル・ワイズ、デヴィッド・シューリス、マーク・ゲイティス

 ヨットレースに関してはニュースに上がる記事を読む程度でスポーツ映画として今回択んだのではない。予告も映画館で二度程度だった為、前情報は限りなく少なかった。こうした時に全く助けにならない邦題は本当に邪魔でしかない。もし陳腐なこの邦題で観ることに食指が動かない方は原題を頼りにされてください。

 1968年。世界で初めて開催された単独世界一周レース「ゴールデン・グローブレース」に参加したドナルド・クローハーストの話である。
 ネタばれしない記録を心掛けているが今回はとても難しい。多少、核心に触れることを最初にお伝えする。

 観終わった時の辛さ。
 ヨットレースを深く知らずとも、経験がなくても過酷さは十分に伝わってくる。これでは刑務所の独房の方がどれほど天国だろうかと映る描写が続く。特に1968年当時は現代のように連絡手段は択びようにも限られ無線が頼り。ここにはプライバシーは存在しないに等しい。

 上の写真は実際彼が乗ったヨット。
 海洋に出てしまうと全く逃げ場がない。海の存在が眺める時とは全く表情を変え油断をしたら最後、命を奪う冷酷の面が映画では助演のように終始映り込んでいた。

 乗り込むヨット建造も参加当日間際まで続き、半ば見切り発車のように案件道具抱えて乗り込む姿はヨット航行中片付けるつもりが伝わる。週末ヨットセーリングを楽しむ程度の人が単独無寄港に挑戦したこと自体が過ちのようにも一見するが、映画後調べてみるとやむを得ない事情があったよう。只、後日妻が後悔するように「中止」の判断が出来た筈だったこと。

 「情報」の大切さを痛感する。もし正しい情報知識があったとしたなら、この悲劇は避けられたのではなかったのか。ヨットが破損しアルゼンチンで修理をした時に、自らを追い込まずに取るべき道(海路)に戻ることが出来ただろうことが、何とも悲しい。棄権で戻ることの退路も出口を失った思考回路では絶たれたに等しい。しかし、破損したヨットで最も厳しい南氷洋に向かうことは死と同じことも理解しての、彼の最終行動。

 彼を責められないと、少なくとも私はそう観終わって「残念」の言葉を飲み込む。海に廃棄することも可能だった揃えられた航海日誌が彼の誠実さを物語っている。
★★★☆

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

ave_maris_stella

映画Ⅱ 映画館上映を中心に

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。