見出し画像

「アサシンクリード」

原題:Assassin's Creed
監督:ジャスティン・カーゼル
制作国:イギリス・フランス・アメリカ・香港
製作年・上映時間:2016年 116min
キャスト:マイケル・ファスベンダー、マリオン・コティヤール、ジェレミー・アイアンズ、ブレンダン・グリーソン

 2017年3月3日日本公開。日本公開前海外から聞こえる評判は芳しくなかった。この原作となるゲームは全く知らない状況で私は観る。(公開月に観ていながら今頃のレビュー)
 どのレヴューも決して全ての人を納得はさせない。スポーツのスコアのように感情では数字を動かせない世界と違い、映画や絵画こうした感性に訴えるものは十人十色だ。映画レヴューに関しては絵画と違って作品への思い入れが其処に反映されていくので厄介。
 自身の「攻殻機動隊」がそうだった。初めて☆=0.5にも値しないと「-(マイナス)」を付けてしまったのは原作を知っての失望。

 冒頭イーグルの俯瞰から地上へ視線は下りテンポよく現代正確には主人公の幼い時を見せる。音楽も映像も問題ない。細かい説明無しに成人したカラムまでの場面展開は邦画が説明過多なだけで許容内で進む。

 只、約30年経った2016年、カラムは殺人罪で誕生日に死刑執行される場面から死刑台、そして薬物を注射、その次の目覚めたシーンがアブスターゴ財団スペイン支社となると観ている側は想像のフル稼働となる。
 物足りなさはこのスペイン支社の描かれ方が浅く、研究内容にしても粗い。だが、原作はゲームだと割り切るとスルーは可能。

 他の方のレヴューでゲーム世界典型の絵でもある「グラナダの屋根の上を延々と逃走する」シーンがつまらないとあったが、私はよくゲーム世界を再現していると寧ろ感心だった。
 おそらくこうした原作ゲーム世界だろう風景、内容等が『ゲームに思い入れがない第三者』からみると良く描かれているとなり、既に10作以上リリースされているゲームとなると当然存在するだろうコアなファンからは辛い点が付くに違いない。

 原作ゲームから離れて映画を楽しめたのはCGオンパレードのアクション映画の中でスタントの力を借り実写を手掛けた結果の絵の厚みか。
 話題の「イーグルダイブ」についてもパルクールの第一人者、ダミアン・ウォルターズが、スタントマンとして志願し37メートルの高さからジャンプするシーンを撮ったらしく見応えがあった。

 アサシン教団、テンプル騎士団、中世の宗教世界、現代に戻ったシーンでは父アラン・リッキンは「人間の自由意志を繰ろう」と画策し娘ソフィア・リッキンの「人類の暴虐性を抑えるため、人類の自由意志を制限しよう」と似た者親子とゲーム背景は散りばめられている。羅列すると内容盛り沢山に見えるが「エデンの果実」をめぐり「AとB(Ex;現代と中世)」或いは「A vs B」の表現が多いためゲーム内容を知らなくても楽しめる。映画の終わり方は中途、次作の可能性がある。
 残念なのはマイケル・ファスベンダー、マリオン・コティヤール、ジェレミー・アイアンズら演技が生かされていないこと。勿論、彼らのキャステイングで映画に重厚感を添えたことは認めるが他の俳優でもよかったのかもしれないと。この時点では知る由もないがカラム父親役のブレンダン・グリーソン氏を今夏「ヒトラーへの285枚の手紙」で拝見することになる。
★★★

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?