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引き算しない幸せ

このところハーグはあたたか日差しの日が続いています。
(今日は雨ですが)

日本を離れてもうすぐ2年。日本にいるときもずっとやりたいことをやってきたけれど、今、そのときとは違う幸福感に包まれた毎日を過ごしているような気がします。

日本にいるときのほうが仕事をたくさんしていたし、収入がもっと多かったこともある。たくさんの物を持っていたし、美味しいものを食べることも多かった。気のおけない仲間と話をする時間も長かったかもしれない。便利さとサービスの質の高さで言うと日本は本当に最高で、何かを不便に感じることはないし、欲しいと思ったものに対して、数えきれないほどの選択肢がある。

今は、日曜日に閉まっているお店は多いし(ドイツほどではないけど)、一つ一つのものに対する選択肢が圧倒的に少ない、コンビニなんて当然ない。髪を切るにも歯医者に行くにも一苦労。オランダ語はいまだに全く分からなくて、書類一つ読むのにものすごく時間がかかる。

それでも今は、なんだかとても、静かな幸せの中にいるという実感がある。

それは何から来るのかと言うと、何かができる・何かを持っていることから来る幸せではなくて、引き算をしないことの幸せなのかもしれない。

体型も髪や肌の色、話している言葉も違う人たちの中にいると、あまりにも違うのでもはやその人たちと自分を比べようという気にさえならない。必要以上に情報を取り入れることもないので世の中的な流行りも分からない。(あるのかもしれないけど、見る限り、それぞれが好きなファッションを楽しんでいるorファッションにあまり頓着していないように見える)

もともと流行りに乗ろうとする方ではないと思っていたけど、気にしないことではじめて、気にしていたことに気づく。流行り乗るわけではないけれど、自分がこう見られるかも・こう見られたいということが少なからず影響していたことに気づく。不便なことも、そういうものだと思えば、不便で幸福感が下がるというわけではない。

人と比べないことの幸せ。
ないものを求めようとしない幸せ。
あるものを認める幸せ。
あるものに感謝する幸せ。

全速力で走って何かを手に入れてきたこれまでの時間を振り返って、その中で失ってしまったものもあるし、でもそれでもその時間は無駄ではなかったし、それはそれで一つの幸せだと思うけれど、この、静かで穏やかな幸せに気づけてよかったなと今は思っています



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