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Deep Communication ①便利になって心の距離は近づいたか

1. 便利になって心の距離は近づいたか

現在、私たちは日々多くのテキスト(文字)情報をやりとりしています。

一般社団法人日本ビジネスメール協会の発表している「ビジネスメール実態調査2019」によると、ビジネスパーソンが受信するビジネスメールは1日あたり平均約38通、送信するメールは平均約12通であるとされています。これは、約3,500人のビジネスパーソンを対象に行われたアンケートの結果ですが、みなさんの実感としてはどうでしょうか? この調査では、2015年以降、1日に受信するメールの数は減少傾向にありますが、これは、メールの代わりにチャットツールを使う人が増えているためだと考えられます。

調査では、7割を超える人が自分の送るメールに不安を抱いたことがあり、さらにそのうち7割の人が「正しく伝わるか」ということを不安に感じていることが分かっています。また、過去1年間で受け取ったメールについて、3割を超える人が「不快に思ったことがある」という回答をしています。

<ビジネスメールで不快に感じた内容>
・必要な情報が足りない
・質問に答えていない
・文章が失礼
・文章が攻撃的
・無駄な情報が多い
・文章が曖昧
・メールが読みづらい
・文章が冷たい
・内容の間違い
・誤字や脱字

出典:一般社団法人日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2019」

不快に感じた内容として挙げられているものの多くは、情報そのものの過不足についてや文章の温度感など、「自分が必要としていたものを相手が適切に満たすことができなかった」という状況だと考えらます。同様のことを、チャットメッセージに対して感じたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

気軽にメッセージをやりとりすることができるようになっているにも関わらず、メッセージを受け取った人が「必要な情報が足りない」「質問に答えていない」「文章が失礼」などと感じるのはなぜなのでしょうか。

そこには、超情報化時代の中で、同時に大量に高速にコミュニケーションを交わす私たちの直面する課題が隠れています。

これから数回(数十回?)に分けて

既に記事化しているもの
② なぜテキストメッセージはすれ違いが起きやすいのか
 (音声情報とテキスト情報の違い)

今後記事化していくもの
・テキストでのコミュニケーションの特徴
・現在のコミュニケーション環境の特徴
・現在のコミュニケーションの相手の特徴
・デジタル情報が持つ特性
・「コミュニケーションを交わす」とはどういうことか
・更新されていなコミュニケーション理論
・AIに奪われない仕事とコミュニケーション
・私たちの持つ思い込み
・「相手の気持ちになって考える」は本当にできるのか

等をご紹介しながら、「コミュニケーションに関する認知をアップデートすること」を提案していきたいと思います。

それによって、超情報化時代の中で人と人とが関わることの意義を改めて見つめ、人と直接関わる仕事をしている方や、他者に対して影響力を発揮する立場の方、既存の業界にイノベーションを起こそうとしている方たちの後押しになればと思っています。

しかし、「コミュニケーションのスキルを身につけましょう」という話をするつもりはありません。なぜなら、今、「スキルを使うための前提」自体に大きな変化が起こっているためです。

インターネットが普及し、この30年間で私たちのコミュニケーション環境とコミュニケーションの相手や関係性は大きく変化しました。今私たちに必要なのは、新しいスキルを身につけることではなく、コミュニケーションを取る自分自身の思い込みを手放し、新たな視点でコミュニケーションを取る相手を見つめることだと感じます。

アインシュタインの言葉に

『いかなる問題もそれをつくりだした同じ意識によって解決することはできません』

という言葉がありますが、私たちを取り巻くコミュニケーションに関する問題は、まさにコミュニケーションに関する意識をアップデートすることなしには解決できないものとなっているのです。

現在の時点で、系統だって整理できていないこともあるので、色々な方面に話が及ぶ、壮大な旅になるかもしれません。私自身が日々新たな発見をしながら、行きつ戻りつ、言葉を積み重ねていければと思っていますので、気長にお付き合いいただけると嬉しいです。

2. ご挨拶

ここまで読み進めてくださってありがとうございます。私はパーソナルコーチの佐藤 草(さとう そう)と申します。現在、オランダのハーグという街に暮らし、オンラインで日本人のビジネスパーソンに向けたコーチング等を提供しています。

日本ではコーチ・エィというコーチングファームに勤めリーダーシップ開発専門のコーチとして人材育成や組織開発等に携わった後、ベンチャー企業の新規事業の開発や人材育成に携わってきました。

2年前に欧州に移住し、現在は「それぞれの人が本来持っているパフォーマンスを発揮する」ということにコーチとしてご一緒するとともに、ビジョンや経営メッセージなど、企業の発する言葉をつくることや、言葉に関する感性を養うことに携わっています。

コーチングのクライアントさんは経営者や医療者、営業の方など様々ですが、共通しているのは「すでに多くの経験や知識がある中で、業界の常識や自分自身の限界を打ち破ることに挑戦している方たち」ということです。

これまで、「人が本来持っている力を発揮する」ことを後押しするために、人間の心や意識などについて学んできましたが、その中で気づいたのが、「コミュニケーション(方法・環境・相手・関係性)に関して、私たちの認知がアップデートされないままになっている」ということでした。

人の持つ悩みの9割は人間関係の悩みだとも言われますが、人間関係の悩みの多くは「コミュニケーションが上手くいかないこと」に起因していると考えられます。

コミュニケーションに関する理論書や実践書は多くありますが、「コミュニケーションを実践する私たち自身」が、「コミュニケーションに関する現状」を正しく捉えることができていないが故に、優れた理論も、絵に描いた餅のようになってしまっているのが実情だと感じます。

そんな中、想いを持ってチャレンジをされている方が協働者やクライアントとより良い関係を築き、本来力を注ぎたいことに時間とエネルギーを注げる後押しとなればと考え、これまでの学びと実践から気づいたことを言葉にしていくことにしました。

現在特に活用しているインテグラル理論やナラティブアプローチ、NVC(Nonviolent Communication:非暴力コミュニケーション)に加えて、様々な心理学や脳科学等の観点も活用しながら、現代社会に起こっているコミュニケーションの課題を解決するために「コミュニケーションスキル」以外の視点を提案できればと思っています。

更新の頻度も決まっておりませんが、良かったら、フォローをいただき、今後の紆余曲折を見守っていただければ嬉しいです。

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