世界樹の花の色

密林を抜けると、そこは寺院であった。何人もの修行者たちが経典を読む響きは森をざわめかせ、さては途中で魔性の者かと警戒したのはこの声であったかと得心が行った。
ここはエルフ族の森であり、寿命を終えた大樹から切り出された木材のみで組まれた大寺院である。排他的なエルフだが、ここに通ずる道のみは他種族が通っても構わないという。森の奥からの視線を感じつつも無事であったのはそれが理由だろう。
ここならば手がかりを得られるかもしれない。礼儀として門前で頭を下げ中に入ると、正面には伝法の四聖人と思わしき見事な木像がこちらを見つめていた。数千年前にテンジクなる異界へ再度行くと誕生したその日に言ったというエルフ、その左右には彼女を守ったドワーフとハーフリング、少し離れたところには旅に同行したが沙漠で涙を飲んで付いていくのを断念したというリザードマンである。彼女らが異界にて得た教えは今やエルフに根付いていた。【続く】

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