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ブルーノート東京へ行ってきた

昨年12月、大学の頃からの友人と2人でお茶をしていた時のこと。
ふと「何か東京らしいことをぱーっとやりたいね」という話題になった。

東京らしいこと。東京でしかできないこと。 

都会的で洗練されたキラキラした街。
そこでしかできない、おしゃれで大人っぽいこと。

そんなイメージを膨らませつつ、今まで行きたいなと思いながらも訪れていない場所がないか、考えてみた。

数秒う〜んと考えて、友人の顔を見た瞬間、
「ブルーノート東京へ行きたい!!」
とキラーンとひらめいた。

その友人は音楽や映画の知識がとても豊富で、かつお酒と美味しい食事が大好きな人だ。

彼女は一度行ったことがあるそうで、
「いいね!お酒もご飯も美味しいし演奏も素晴らしいから楽しいよ。ぱーっとやろう!」
と即決で決まった。

早速スマホで演奏スケジュールを確認し、2月のとある日のライブをその場で予約した。

その日の演奏者はデビッド・ボウイと共演したこともあるアメリカ人のテナーサックスプレイヤー。
わたしは本格的なジャズライブに行ったことも、恐れながらデビッド・ボウイもちゃんと聴いたこともない。

「そんなジャズに関して右も左も分かっていないような自分が行っても大丈夫なのかな」
「まぁ行ったら行ったできっと楽しいだろうし、とりあえずその場の雰囲気を楽しむだけでも行ってみようよ」
と、ふと思い付いたことなのにとんとんと話は進んだ。

そして、あっという間にライブ当日。

オープンは16時、ライブは17時開始。まず最初の1時間は軽く食事をした。
食事は友人と2人で牛肉のカルパッチョ、グリーンサラダ、アボカドとトマトのフリットを頼んだ。


牛肉のカルパッチョはお肉も美味しいし、味付けもちょうど良い。
グリーンサラダは野菜も柔らかくて新鮮で、ヴィネグレットが美味しい。カルパッチョと好相性で組み合わせも楽しむことができた。
アボカドとトマトのフリットも熱々であっという間に食べてしまった。

そして、飲み物はノンアルコールのラベンダー&ジンジャーのノンアルコールカクテルを注文した。
ラベンダーの風味が効いていて、甘さは控えめ。うんうん、まさに大人っぽい。
アルコールが入らなくても十分楽しめそうだ。


ふとあたりを見渡すと、ライブが始まる前ということもあって、会場はなんだか「これから始まるぞ」というテンションに包まれている。
だからと言ってガヤガヤしているわけではなく、どこか落ち着いた雰囲気が漂う。

会話を楽しんだり、ワイングラスを片手に会場の雰囲気を静かに味わったりと、テーブルごとに思い思いに楽しむ表情が伺える。

なんと上質で平和な時間だろう。

そんなムードに包まれながら食べる食事はいつもよりさらに美味しく感じた。
友人との会話も楽しい話題で盛り上がった。

そしていよいよライブ本番。

演奏が始まった瞬間、いわゆるジャズかと思いきや、突然バリバリのエレクトリックなキーボード音が流れ、一曲目から度肝を抜かれた。

なんとも難易度の高そうな、複雑なリズムとメロディーが続く。

今目の前で繰り広げられる演奏そのものが自分の頭で処理できる範疇を超えていて、まるで現代アートを見ている時のような感覚になった。
自分の頭の中に音楽を理解し処理する能力がなくて、これはなんだ?とクエスチョンが浮かぶ。

しばらくそんな演奏を聴いているうちに、考えよう、理解しようとするのではなく「今この場で起こることを五感で感じればいいんだ」と察したタイミングがあった。

その後は、何も考えずにただただ演奏を楽しむことにした。

今回の私達の席はステージから3メートルほどの距離で、そんな間近でプロのサックスプレイヤーの演奏を聴くのも初めてだった。
耳で感じる演奏ももちろん素晴らしいのだが、サックスを演奏する時の指の動かし方や息遣い、表情がとにかくキレキレでかっこよくて目が離せない。

テナーサックス特有の重厚感のある低音とソプラノサックスのようなキーンと響く繊細な高音。それが短いフレーズの中で行ったり来たりしている。

どうしたら、あんなに長く息が続くのだろう。
どうしたら、そんな演奏ができるのだろう。

さらにサックスはもちろん、キーボード・ベース・ドラムの演奏も負けず劣らず素晴らしかった。

そうした個人個人の技術にも思わず目が行くのだが、プレイヤー同士がアイコンタクトをしたり表情が変わったり、とにかく楽しそうに演奏をする様子がとても印象的だった。

その4人で繰り広げられる息の合った様子は見ているだけでワクワク楽しく、あっという間に時間が過ぎてしまった。

ライブ終了後は、友人とひとしきり感想で盛り上がった。しかし、
「演奏がすごすぎて、感想もただすごいとしか言えない」
「自分のボキャブラリーのなさにびっくりする」
「あれが人間の為せる技なんだね」
「よく遠いところからわざわざ日本に来てくださったね」
といった、ごく単純な言葉しかお互い出てこなくて笑ってしまった。
とにかく大満足の素晴らしい演奏だった。

そして、今やいつでもどこでも気軽に音楽を楽しむことができる時代だけれど、生演奏はやっぱり格別だなと実感した。

生の音楽を五感で味わう。今ここ、目の前で繰り広げられる演奏を楽しむ。

生だからこそ、どんなパフォーマンスが繰り広げられるか分からない。
その緊張感が刺激的だし、そうしたピンと張り詰めた空気の中で演奏そのものを楽しむプレイヤーを見るのも楽しい。
聴いているこちらも、スリリングでワクワクする。

そうした演奏が十分に楽しめることはもちろん、素晴らしい雰囲気と行き届いたサービスと共に食事と飲み物も美味しく頂けるなんて、なんと贅沢なことだろう。

ブルーノート東京はわたしにとってまさに大人の夢の国のような非日常の世界を味わえる場所だった。

だからこそ、頻繁にしょっちゅう訪れるというよりも、自分のご褒美として、またはいつか大切な人と訪れたい場所だなと感じた。

そして、わたしのふと思い付いたアイディアをすぐに一緒に実行してくれた友人にも感謝の気持ちでいっぱいになった。
彼女のおかげでまさにおしゃれで大人な都会っぽい経験ができた。

いつか近い将来、また来れますように…!


 ※わたしの乏しい感想だと演奏の素晴らしさがきっと伝わりきらないので、ライブレポートのURLも貼り付けさせて頂きますm(__)m


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