場当たり_GP_photo_1237

『うらない』

▼教室。昼休み。リカコとランは2人でご飯を食べている。リカコは雑誌を読んでいる。

♪昼休みのチャイム

リカコ  「ランちゃん」
ラン   「なに?」
リカコ  「ランちゃんって何座?」
ラン   「んー餃子」
リカコ  「ふざけないでよ」
ラン   「いまご飯食べてんの」
リカコ  「だから何座なの?」
ラン   「リカコは……かに座か」
リカコ  「え?なんで知ってるの?教えたっけ?」
ラン   「誕生日から調べればわかるでしょ」
リカコ  「ああそうか。ええっと、ランちゃんの誕生日は……」
ラン   「私の星座なんてどうでもいいでしょ。何、占い?」
リカコ  「うん。雑誌の占いコーナー。ファッション誌にはつきものだよねえ。ファッションよりむしろこっちの方がメインって感じ」
ラン   「本末転倒」
リカコ  「気になって後ろから読んだりしない?」
ラン   「そんなのリカコだけだよ」
リカコ  「そうかなあ。さてさて、今月の私の運勢はっと……『かに座のあなた、恋愛運が絶好調!好きな人に想いを伝えるチャンス!』だって!」
ラン   「よかったじゃん」
リカコ  「えー、でも私好きな人とかいないよー」
ラン   「そうなの?」
リカコ  「彼氏にしたい人ってことでしょ?うちらのクラス全然ダメだからなあ」
ラン   「わかる」
リカコ  「え、ランちゃんも」
ラン   「ハズレって感じだよね」
リカコ  「だよねだよね!大抵普通は1人か2人くらいはカッコいい人いるのにね。なんだろう、こう、卵のないオムライス的な……」
ラン   「それもうただのケチャップライスだよ」
リカコ  「はー。青春謳歌してー。出会いてー」
ラン   「……彼氏、欲しいんだ」
リカコ  「え?ランちゃんは欲しくないの」
ラン   「うん」
リカコ  「いやいや嘘でしょー」
ラン   「だって、めんどくさくない?彼氏できたら、彼氏に時間割かないといけないでしょ。メールしたり電話したりさ」
リカコ  「たしかにそうだねえ」
ラン   「プライベートタイムなくなるじゃん。私には無理」
リカコ  「そういう考え方もあるのか。なるほどなあ」
ラン   「リカコ、流されてはダメよ。社会は敵。流行は悪」
リカコ  「……んー、彼氏ができたら友達と遊ぶ時間も減るしねー。……しばらくはいいかな」
ラン   「まだ、あたしらには早いよ」
リカコ  「だねー!こうやって、ランちゃんとダラダラする方が楽だもん」
ラン   「そ、そう?」
リカコ  「うん。私やっぱランちゃん好きだわー。落ち着くもん。ランちゃんが男だったらいいのに。絶対イケメンだよ」
ラン   「イケメンだったら、リカコとは一緒にいないかなー」
リカコ  「えーこんなにいい女なのに?」
ラン   「だったら、私の誕生日くらい覚えておきなさいよ」
リカコ  「覚えてるよ!覚えてる、すぐにでなかっただけで」
ラン   「女も男もマメな奴が生き残る。さっ、リカコも弁当食べちゃいなよ。お昼休み終わるよ」
リカコ  「あっ、喋るのに夢中で全然食べてなかった……!」
ラン   「あたしトイレ行ってくるわ」
リカコ  「うん。いてらー!」

・間

ラン   誕生日から調べれば、その人の星座はわかる。あの雑誌の占いは、私も毎週チェックしてて、その度にかに座との相性をみる。今月は、かに座とうお座の相性はバッチリ。ラッキーアイテムは餃子。当たってる

ラン   「……男の子だったら、か」

ラン   トイレの鏡を見て想う。最近、ちょっと胸が大きくなってきた。顔もどことなく大人に近づいているような気がする。でも今は、あの子のことだけ考えていたい。そんなお年頃なのだ。                  
        
END

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去年コミティアで出したコピー本『やすっぽい言葉で片付けないで』にも載せた、お蔵入りになった百合ドラマ(?)の原稿です。2〜3年前くらいに10分以内でってオーダーで作ったはず。拙いかもしれないけど、意外と気に入っているので上げちゃいました。

ツイッターでも呟いたんですけど、今年は朗読やりたいなあ。

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