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舞台『Stray Sheep Paradise』終演に寄せてその1

2018年12月12〜16日まで俳優座劇場にて上演致しました舞台『Stray Sheep Paradise』あらためまして、ご来場下さった皆様、応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。脚本・演出家として年内最後の大仕事、無事に終えられてほっとしております。

……そんなほっとしている間に、終演から一週間以上経過してしまいましたが汗
終演後の所感をここに残したいと思います。よろしかったらお付き合いください。めえめえ。

企画について

4月に上演した舞台版『華枕〜願い巡りて〜』をご覧頂いたきっかけで、その後すぐオッドエンタテインメントさんからお話を頂き、今回のお仕事に繋がりました。華枕でお世話になった小玉さんとタッグということ、俳優座という歴史ある劇場でやること、色々プレッシャーはありましたが、「やりたい!」が勝ってしまい、一週間後の打ち合わせには元となるベースを提出してました笑 その時は『Little Sheep Paradise』というタイトルで、主人公は生体プログラムであり、わけあって仮想世界に送り込まれた「ストレイシープ」と呼ばれる少女たちの心を救っていく……みたいなお話だったと思います。そこから小玉さんは小玉さんで、僕は僕でプロットを走らせ、それぞれの良いところを組み合わせて土台にしたのが『Stray Sheep Paradise』の始まりでした。

※調子に乗って先出した僕の企画案。雰囲気だけは一丁前で恥ずかしい。

土台が決まってからは、小玉さんと打ち合わせを重ねる日々が続きました。小玉さんがキャラクターや世界観設定を作って下さり、僕は物語の展開を考えたりしましたが……隙あらば二人で「あーでもない」「こーでもない」と話す感じで、小玉さんと一緒に作っていった感覚があります。共同で世界から一本話の筋までつくる作業は、今までしたことがなくて新鮮だったし、なによりこんなぺーぺーの僕の意見も多く汲んで下さった小玉さんの懐の広さには感謝しかありません。小玉さんとは作品の趣味や傾向が似ていてお話しやすく、時間のない中ではありましたが、ストレイシープ の打ち合わせはとっても楽しかったです。(オールも合宿も、今ではいい思い出です笑)

脚本について

オムニバス形式のようにするのは、最初から上がっていたお話でした。アニメやゲームのように作るというコンセプトがあったし、想定している物語や世界の壮大さを網羅するには一番しっくりくるフォーマットだと思いました。華枕でも自分の作品を発表しているfragment edgeでもやった形式ですが「形より中身で勝負!」と、今回も採用させて頂きました。

で、脚本の執筆の話になるわけですが……今回、途中で作家として筆を折ろうかと思ったくらい大変でした。小玉さんが作ってくれた世界やキャラクターを、原作があるわけでもなく、僕自身の言葉で物語っていくという作業。小玉さんの期待に添うことができない自分の力不足にイライラしたし、なによりその時の僕は所謂スランプに陥っていて、言葉が浮かばないまま何時間もパソコンの前に突っ伏しているなんてこともざらでした。

希望が見え始めたのは、第四章を書き上げた時でした。第四章はセリとヒカリという二人の少女がメインとなるお話だったのですが、冒頭のマドレーヌの下りを一発で書いた時「あ、いけるかもしれない」と何かが降りてきて、そこから四章は立ち止まることなくスパッと書き上げました。(僕の趣味全開だったからかもしれないのですが笑)少なくともここが無事に書けたことで、心を持ち返すことができました。ギミックはあれど、根幹は少女の心の話でいい、気持ちのやりとりでいい。そういった流れが、自分の中で腑に落ちたんだと思います。そこから、進んだり戻ったりを繰り返して物語を形にしていきました。そして脚本執筆作業終盤では、小玉さんにも一部執筆のお手伝いをして頂いて、なんとか脱稿することができたのでした。執筆期間は、生きた心地がしなかったです……笑 

決めセリフなどは僕が考えさせていただきました。羊飼いの「迷える子羊よ。世界に羽ばたくときがきた〜」とか「リゼッタ劇場」とか。「羽ばたく準備はOK?」「めえめえ」もそうかな。「めえめえ」みたいなマクガフィンを採用するのが好きで、作品の特徴づけになればいいなと思っていました。好き放題やらせて貰って僕は幸せものだと思います。小玉さんには感謝しかありません……ほんとに……

※書いてから思ったけど、もっと作品の中身に触れろよ!って感じですよね汗 トークショーでも開催されないかなあ(遠い目)

演出について

絵本のような作り物の世界を想定していたので、引きでみてちゃんと絵になるような演出を心がけました。個人的に初めて階段移動の演出をやらせて貰ったのですが、絵変わりが楽しくて笑 これからもやりたい演出の一つになりました。階段を使ったお気に入りの演出は電車のシーンです。

シーン数は多いけど、どのシーンも落としたくないという僕のわがままが炸裂して笑 同じシーンや始まりは意図的なものを除いて繰り返さないようにしました。他にも「早いものに対して遅いものを(その逆も)」とか「視線誘導と運動」とか色々組み立てはしましたが、効果が出ていたかは僕もまだ探求していかなきゃいけないところだと思ってます。

台本を買って下さった皆様はわかると思うのですが、僕の台本は、台本というより演出を含めた字コンテという感じで、絵面を浮かべながら書くので、ぜひ台本に書かれたト書きや台詞を本編と照らし合わせてみてくれたら嬉しいです。

※おかげさまで公演期間中に台本は完売したみたいです……!再販とかしないかなあ笑

※「台本と照らし合わせるためには、映像を……」ということで、各所で声が上がっている映像化、僕も期待してます。少しでも多くの人がストレイシープの世界に触れられるものが世に出てくれたら嬉しいな。

その2に続く

だらだらと書いていたら長くなってしまいました……(申し訳ない)なので、その2に続きます。次は座組みのことなどに触れる予定です。それでは、次回へ続く!

<<その2はこちら>>

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