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火花が散るような輝きで、水滴が宙を舞った。

もう一週間程過ぎてしまいましたが、11月28日に開催されたShort Story Girls#10『ガールズ・エンド・アドレッセンス』ご来場誠にありがとうございました。10本やった中で一番の動員だったみたいで、多くのお客様に触れて頂けて嬉しかったです。

Short Story Girls(以降、SSG)は、株式会社クリエイティブアーツさんにお声をかけて頂いて、去年の12月からほぼ毎月脚本・演出を担当していたガールズ朗読劇イベントです。(月によっては脚本のみの提供でした)

11月で年内最後のSSGということで、趣向を変えて<白衣装+裸足+マイクスタンド>という形式にしてみました。SSGの方向性として「あまり視覚情報に頼らず、朗読の根源的な部分である、音と声と言葉を大切にして物語を紡ぐ」というものが自分の中であったんですが、少しは視覚にも触れたいなと思い今回の演出をつけました。結果、また新しい発見があって、僕自身としても、とても勉強になりました。

一年間、朗読劇の脚本・演出に携わった感想として、やはり「想像力」の大切さを再度認識させられました。想像させる力が世界を広げ、そして作品を何処までも自由にしてくれる。具体的に提示してしまう事は、進行や場合によっては必要だけど、それはあくまで事実であって、深く自分の中に入り込んでいくものじゃない。どんな場所で、どんな姿をしていて、どんな気持ちでいるか。それを伝える表現と想像の結びつきがあって、初めて繋がる事ができるんだなと思いました。

「想像の余地、余白を残す」

これからも僕の創作は、それを意識して作っていきたい。答えが一つなんて、面白くないもんね。

※だからといって難解で訳の分からないものを作りたいわけじゃないから、そこは誤解しないでね!

今年のSSGでは、有り難い事に7本も短編作品を描き下ろさせて頂きました。特に指定がなく自由なテーマ(百合)で作れたので、個人的には大変助かりました。僕の趣味(笑)を快く受け入れてくれたクリエイティブアーツさん、向き合って演じてくれたキャストさん、素敵な音楽で作品世界を広げてくれた音楽の北さん、照明や準備で協力して頂けた鹿鳴館スタッフさんにはとても感謝しております。


作品について一言(くらい)のコメントを。


『本気なんて馬鹿みたい』

元々はラジオドラマ用に描き下ろした作品だったのですが、訳あってお蔵入りになっている所をここで救わせて頂きました。どうしてミステリアスな人って、魅力的なんでしょうね。理屈じゃ説明できない引力です。

『あなたの足音』

大学時代に描いた抽象芝居の断片を見つけて、社会人百合にアレンジしました。暖かく終われる作品を目指したので、SSGの中で一番マイルドなんじゃないかと思います。社会人百合には、生活感が大事ですね。また作りたい。

『ガラスの森』

一からSSGのために初めて描き下ろした作品です。丁度この頃『廃街の紙天使たちへ』の構想も同時に練っていたので、近しい要素がある気がします。登場人物のヒヨリ、レンは『比翼連理』からのもじりです。自分らしさがでている気がして、お気に入りの一つです。(少し長尺なのはご勘弁を……)

『ハレルヤ』

『幽霊』というお題を自分の中で掲げて描きました。初出が3月だったので『卒業』もテーマの一つでした。高校生の等身大さと危うさ、そして青春。そんな雰囲気が出ていたらいいな。この作品から、短編集というものを意識するようになりました。

『涙色ドロップ』

初の三人用の朗読作品でした。王子様系女子と涙にまつわる物語。アジサイカラーをイメージの中で置きながら描いていた気がします。ミオとリエという名前は『ロミオとジュリエット』から。演出では少女漫画感を大切にしてとずっと言ってました(笑)

『雨とバレット』

自分のメモに「悲しい事も辛い事も全部、はやく思い出になっちゃえばいいのに」という台詞があって、そこから広げていった作品。話の流れよりも、気持ちや心の中身を描きたかった。女性のお客様に好きでしたと言われて、嬉しかったです。

『幸福な棺』

SSGでは現代に寄り添った作品が多かったのですが、もっとファンタジー(またはSF)な世界観でもありかなと思って描き始めました。振り返るとこの作品、僕が人生で一番最初に描いた作品(男女2人芝居)と酷似している気がして、自分の描きたい事の本質は何も変わってないんだと思いました(笑)


来年もSSGの企画は続いて行くそうなので、ぜひ公式をチェックして見て下さい。来年、僕が関わるかどうかは現在未定となっておりますが、なにかの形で現れる可能性はあります。教えて偉い人ー。今回の企画で、朗読劇の奥深さ、そして百合の朗読劇という新しい可能性と出会えたので、今後とも朗読作品は定期的に発表できたらなと思ってます。それでは、この辺で。

「はじまりも おわりも ここだけの ひみつ」(Short Story Girls 『朗読の世界へ』より)



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