CL18-19準決勝1st leg トッテナムvsアヤックス マッチレビュー

みなさんどうもどうも。
今回は所属するFIゼミの課題でもある、
UEFAチャンピオンズリーグの準決勝1st leg
トッテナムvsアヤックスの試合をレビューしていきたいと思います。

トッテナムに関してはプレミア好きもあり
何試合か今季も観ていますが、アヤックスは殆ど観てません...。
(いや選手個々人は知ってたりしますが...)
とはいえ話題にあがっていたチームですし、
この試合を観ただけでも、彼らが決して勢いだけで上がってきたチームだとは思えない内容でした。
若手主体とはいえ、非常に組織的な印象を受けています。
今夏の移籍市場、はたして何人引き抜かれますかね?(微笑)

苦しいトッテナムのスカッド事情、試合の狙い

まずこの試合、トッテナムは非常に苦しい事情を抱えている。
チームのエースであるハリー・ケインを負傷で欠場中、
今季(昨季もでしたが)エースの代役以上の活躍をしてきた
ソン・フンミンが累積警告により出場停止。
攻撃の主力2枚、それも得点という最大の実績を残してきた彼らを欠いてしまった。
それもあってかベンチメンバーにはFWが1人もいない事態。
そもそもトッテナムに取れるプランは限られていたのだ。

トッテナムの指揮官ポチェッティーノが起用したのは
長身のボックス型ストライカー、フェルナンド・ジョレンテ。
そして元PSGでブラジル代表ウインガーのルーカス・モウラ。
ここに技術とフィジカルを併せ持つデレ・アリを加えた3トップが先発した。
ジョレンテはゴール前での迫力、ポストプレーの正確さが強み。
反面アジリティーとシュートレンジでは大きくケインより劣ってしまい、
この試合でもゴール前以外でのプレーで見せ場を作るのは難しかった。
が、その弱点を補い余るほど凄みを見せたのが空中戦。
彼がエリア内での駆け引きから空中戦に敗けたシーンはほぼなく、
ジョレンテのヘディングがトッテナムの活路となった事も事実だ。

この試合においてポチェッティーノが採用した攻撃プランは2つ。
①ボール奪取からのショートカウンター
②サイド攻撃からのクロス(ジョレンテ、アリがターゲット)
大きくわけてこの2つがトッテナム攻撃のパターンとなった。

②はウインガーのルーカス、
そして空中戦で強さを発揮できるジョレンテ、アリの組み合わせなら当然か。
しかしこの前線の組み合わせで難しかったのが①のプランだ。

20分のシーン。
自陣中盤でボールをカットしたトッテナムがカウンターを仕掛けたプレーだ。
このシーン、トッテナムの前線を務めた3トップの問題を表していたと思う。
というのも、
①ジョレンテは機動力とラストパス精度に欠ける
②ルーカス、アリのコンビには阿吽の呼吸がない
といった点を浮き彫りにしたように感じたからだ。
まず①に関してだが、ジョレンテは上記の通りボックス型ストライカーで、
抜群の得点感覚を持つものの他は今一つ。
結局ラストパスをエリクセンに送るのも見え見えで、パス精度も伴わなかった。
②は致し方ない部分もある。
彼ら2人が共にした出場時間は、アリが普段プレーを共にするケイン、ソン、そしてエリクセンには遠く及ばないものだ。
瞬間的な判断、呼吸、プレービジョンを合わせるのは困難だろう。

2人ともエリクセンにボールが行く事を前提に走っていた為、
アヤックスCBのデ・リフト、ブリントの対応も容易にしてしまった。
危機察知に優れる彼らからすれば、
ルーカスとアリにボールが来ない事は明らかだったのかもしれない。

結局このメンツでカウンターを行うなら、
エリクセンが起点役を担う必要が出てきてしまう。
しかしそうなるとジョレンテの機動力不足が足枷になる。
トッテナムは幾度となくカウンターの機会はあったものの、
ビッグチャンスに繋がったものは数少なかった。

トッテナムが5バックで望んだこと自体は
2つの攻撃プランを実現させるためには最適な回答だったと思う。
失点のリスクを減らすためDFラインを厚くしつつ、
サイド攻撃からのクロスを供給できるからだ。
しかし全てがうまくいくはずもない、
相手は今季のダークホース、アヤックスなのだから。

中盤で優位を築くアヤックスの面々

アヤックスは機能性に満ちた美しいフットボールを魅せてくれた。
中盤トライアングルを形成したシェーネ、デ・ヨング、
ファン・デ・ベークが織り成すビルドアップは観ていて飽きが来ない。
ルックアップせずともお互いの位置を把握し、
絶え間ないオフザボールが流麗なパスワークを生み出している。

特にファン・デ・ベークの飛び出し感覚、
ここぞ、というタイミングでエリアに入り込むセンスは抜群。
"神出鬼没のファン・デ・ベーク"
そう言わざるを得ないほど、彼は魅力的な存在に思えた。
ワニャマ、エリクセンらだけで中盤の優位性を保つのは不可能で、
実際途中までアヤックスはやりたい放題やれていたと思う。
前半早々に先制点を奪ったのは理想的であったし、
アヤックスらしい、連動と創造によるゴールだった。

とはいえシェーネはビルドアップ時左右両サイドまで顔を出すし、
被カウンター時に備えて気を張っていたはず。
非常に重要なタスクを担っていた以上、常に消耗を強いられた。
運動量が落ち始めてきた64分に彼はマズラウィと交代するのだが、
そこからアヤックスは徐々に中盤でのプレゼンスを失っていった感もある。
彼の代役不在、そして年齢的なフィジカルの限界は1つの懸念かもしれない。

トッテナムを悩ませ続けたジエフという男

アヤックスの右WG、ジエフもまたトッテナムに問題を引き起こした存在。
利他的なプレーで周囲と連動し局面を進めつつ、
大胆不敵な飛び込みでフィニッシュを狙うのはファン・デ・ベークと一緒。
ネレスとはプレーの流れから左右を入れ替えても何ら問題はなく、
またそうさせるのは彼が周囲と良好な連携を構築している証拠だろう。
中に切れ込んでプレーしようともタディッチの邪魔にはなっていない。
それこそタディッチは彼を利用してプレーすらしていた。

サイドを問わず、エリアを問わずジエフはボールを触り、
チャンスを作り出し、また自身がフィニッシュを完結させる無二の存在。
ただでさえタディッチとかいう、プレミアDFなら誰もが嫌がる存在がいるのだ。
ジエフのように好き勝手振る舞うFWがいたらたまったものではない。

シソコがピッチで担った役割、そして影響

この試合を大きく変えたであろう出来事が31分に起こる。
トッテナムCBフェルトンゲンの出血、負傷交代である。
相手エリア内での競り合いから味方、相手GKと接触し負傷。
止血し一時はピッチに戻ったのだが、脳震盪の症状を見せピッチを退いた。

代わりに入ったのがMFシソコ。
彼がこの試合を大きく変えていくことになる。
不幸中の幸いか、ここからトッテナムは息を吹き返した。

まず変化の大きな要因がフォーメーションの変更。
3-4-3(ほぼ5-2-3)から4-3-3へとシフトした。
これにより自陣バイタルエリアのカバーがより容易になり、
かつエリクセンの守備負担を軽減しつつ、
中盤によりエネルギーを注入できるようになった。
シソコが負傷明けとは思えないほどのダイナミズムを生み出し、
文字通りチームの原動力となった事は嬉しい誤算だったのではないか。

シソコが攻守両局面でもたらした効果は絶大。
自身の懐にボールホルダーを捉えれば単独で潰す事が可能で、
攻撃時にはパンチ力のあるシュートと推進力が光った。
特に彼の存在によりエリクセンがより自由に動けた事も大きい。
(とはいえ、この日のエリクセンにはいつもの凄みが無かったが...)
61分のサイドチェンジも見事なもの。
彼がいた時間と、いない時間でのチーム全体のクオリティーの差は明らかだった。

更にシソコがアンチカウンターとしても機能するため、
攻撃プラン②、サイドからのクロスをより明確に狙えるようになった。
ルーカスを内側、ジョレンテ付近まで近づかせ
右サイド全域をトリッピアー専用レーン化させてしまうものだ。
(このやり方はプレミアリーグのチェルシー戦でもやっていた)

アヤックスの左SB、タグリアフィコは前半に警告を受けており、
激しいチャージなんてしようものなら退場必至。
そういった背景もあってトリッピアーの攻撃はある程度機能していたのだが...
なにぶん得点に繋げられなかった。

シソコがピッチで与えた影響は攻守に渡って絶大ではあるのだが、
それだけ彼にかかる負担が大きかったのも事実。
何度かチャンスを作れはするものの得点を奪えず、
シソコにも疲労の色が見え始めるとゲームは膠着していった。
取るべき時間帯に取れなかった、そこがトッテナムの悔しい所だろう。
ジョレンテ、アルデルヴァイレルトらが1本でヘディングを決めていれば、
試合内容は大きく変わっていたかもしれないのだが。

総評と2ndlegへの展望

先制点を守りきったアヤックスが素晴らしい試合をしたことは確かだ。
が、小さくない懸念に感じたのが後半の振る舞い方。
シェーネの代わりにマズラヴィを入れた意図があまり感じられず、
トッテナムの勢いを削ぐことも、相手のプランを邪魔する事も無かった。
単純に中盤のインテンシティーを高めたかったのかもしれないが、
如何せん後手に回った印象は拭えない。
とはいえ決定的なチャンスを作れていたのはアヤックスの方であり、
77分のネレスのシュートが決まっていれば文句なしの内容だ。

トッテナムからすれば手痛いホームでの敗戦。
が、限られたカードでポチェッティーノは現実的かつ理に適った采配をした。
そもそもFWどころかウインガーすらいないベンチメンバーなのだから、
79分に行った両サイドバックの同時交代も致し方ないか。
(それこそサイドからのクロスで決めきりたかったのだろう)
気になったのはワニャマの存在が希薄だったこと。
フルタイム出場とはいえ、彼の良さである”潰し”が
アヤックス相手に通用しないことは明白になってしまった。
次の試合でも起用するようなら、
使い方次第ではまた相手に中盤での優位を握られるはずだ。

ソン・フンミンが鍵を握るのではないだろうか。
彼がいれば___幾度となくこの試合で感じた事だ。
やはり彼の機動力、技術、そして決定力は何ものにも代えがたい。
もしかしたらケインが復帰するかもしれないが、
トッテナムの命運を握るのは彼としか言い様がない。
点差はわずか1。まだわからない。

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AXEL SMITH

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