”相互理解”J1第11節 鹿島vs神戸 マッチレビュー

どうもどうも。
遅ればせながら、12日に行われた第11節神戸戦をレビューします。
この試合、両チームには”相互理解”というキーワードを感じました。
現在の両者において鹿島の強みであり、神戸の弱みとも言えるでしょう。

同じスタイルで戦ってきた鹿島に対し、
神戸は大型補強も指揮官交代など迷走中。
当たり前と言ってしまえばそれまでですが、
神戸がどうにかしないといけない要素ではないでしょうか?
少なくとも、このまま吉田体制で、かつこのチームスタイルで戦うには限界のように思えます。
リーグ戦6連敗、流れは時間が変えてくれるといいのですが。

1. 神戸が苦しむ?リージョが残した哲学の片鱗

1-1. 手法はわかるが目的は不明

今季の神戸を追えているわけではないのであくまで印象だが、
神戸はやろうとしているプレースタイルに苦しんでいるように思えた。
ファンマ・リージョ前監督がもたらしたポゼッションスタイルは
今現在も継続しているようだが、出来栄えは良くない。
ボールの動かし方、運び方の基礎的手法は行えているものの、
肝心なアタッキングサードでの崩しや連動性に関しては手つかずとさえ感じた。

結果が出なかったので解任、という判断自体は理解できる。
が、そもそもクラブには無い思想、概念をもたらすため招聘した指揮官に
十分な時間を与えぬまま解任に踏み切ったのは早計だったのでは。
それこそ、解任したあとでも彼の思想を後追いするようでは尚更だ。
神戸の選手らは教えを乞う途中で師が去り、不安を抱えてプレーしているはず。
手法は教えて貰ったが、肝心の目的の部分がまだ理解できていない。
それゆえ単純なミスも多く、コミュニケーションエラーからボールを奪われ、そのツケを払う為消耗を強いられているのが神戸の現状なのでは?

「CBがボールを持った時、前方にスペースがあれば持ち上がる」

おそらくリージョが神戸のCBに課したプレー原則なのだろうか。
ダンクレーも宮もこのプレーに移行する判断が早く、
特にダンクレーの持ち上がりは攻撃のチャンスに繋がっている。
が、宮はこの原則に縛られた結果、ミスを起こしたシーンもあった。

ダンクレーと宮、両者共にフィード能力は高く、
前線の選手を捉える視野の広さも感じた。
が、ダンクレーと宮の決定的な違いは持ち運んだあとの判断力。
ダンクレーは持ち運ぶ最中も常に顔を上げ、
空いたスペースの認知をし、そこへパスを送る判断が光った。
が、宮は自身前方のスペースを認知するとまず持ち上がり、
その後にルックアップしてプレーの判断をしている気分がある。
38分に起こしたボールロストのシーンはまさにそれで、
1点ビハインドの状況下でCBがやっていい事ではない。

問題の多い神戸とはいえ、開始直後には良い攻撃シーンもあった。
前半5分、惜しくもビジャのオフサイドとなってしまったプレーだ。

大きく開いた神戸の2CBのビルドアップから始まる。
スペースを上手く活用し、かつ鹿島の守備を逆手に取ったものだ。
(この試合の鹿島守備に関しては後述)

残念ながらビジャはオフサイドポジションを取っており
決定機には繋がらなかったのだが、良い攻撃だったことは確かだ。
ダンクレーが前方のスペースへ運ぶ判断も、
そこから三田へ的確なパスを送るまでの流れは見事なもの。
反応が遅れた鹿島は後手に回らざるを得ず、三田にアプローチするので精一杯だった。

1-2. 神戸に見えない"ボール奪取の意図"
どーーーーもこの試合における神戸には
ボールを奪う為の意思というか手法を感じなかった。
2列目の機動力を活かしてハイプレスを仕掛けるわけでもなく、
かといって完全にリトリートするわけでもなかった。

自陣深い位置まで簡単に侵入されると慌てるシーンも多く、
ダンクレーが悩ましげな表情をしていたのが印象的。
チーム全体として、どう守備をしてボールを奪うのか曖昧だ。
鹿島の選手に疲労が見え始める60分前後まで、
神戸は鹿島のミス以外からボールを奪えるシーンを殆ど作れなかったのでは。
(そのミスも誘発されたものである可能性はあるのだが)

1-3. 神戸スカッドと戦術の乖離
前線ビジャに運動量を求められない以上、
2列目に機動力に溢れ、ボールを運べる人選を行うのは理に適っている。
が、反面マイボール保持から丁寧に繋ぐ攻撃を人材ではない気がする。
前半途中に負傷交代した古橋、そして三田の運動量と推進力は
目を見張るものがあったし、彼らの突破が最も脅威であった。

ビジャの抜け出しは確かに鋭いのだが、
出し手との意思疎通あってこその抜け出しだ。
正直この試合、ビジャに彼が要求した通りのボールが来たシーンがいくつあっただろうか?
それこそイニエスタが登場する70分頃まで、彼は試合から消える時間のが圧倒的に多かった。

サンペールもハーフウェイライン付近までのビルドアップに貢献するが
それ以降は2CB前に居座るだけで存在は希薄。
山口は幅広い範囲を動いて攻撃をサポートしようとする姿勢は感じるが、
いかんせんポジショニングが拙いのが目につく。
(ボールホルダーに近づいても、選択肢を提供するまでには至らない印象)
2CHの質はJ屈指なはずなので、
このセクションを活かす事でチーム状況は大きく変わりそうなのだが。
特にサンペールの使い方が何か勿体ない。
イニエスタが先発していれば話は変わっていたか。

後半もそこまで大きな修正は施さなかった印象。
鹿島が疲労からかプレー精度が落ちてからは楽になったものの、
消耗していたのは神戸も一緒。
イニエスタ投入も、チーム全体の意思統一に欠けてしまったのでは
効果的なシーンを作ることは難しかった。
神戸に必要なのは選手間の相互理解なのではないだろうか。
攻守において、少なくとも個人ではなく組織で戦える集団にならなくてはならない。

2. 消耗上等、神戸を潰しきった鹿島の守備

2-1. リスクも伴う中盤マンツーマン
ACLを戦いつつリーグ戦もこなす鹿島。
伊藤翔を今季初めてリーグ戦先発から外すなどやりくりをする中、
この試合で見せた守備コンセプトは強気なものだった。

2トップで神戸DF2CB+サンペールのビルドアップを阻害、
2CHのうち三竿が三田、シルバが山口を追う事で
中盤センターをマンツーマン気味に対応していった。
中央のパスコースを消す事でサイドへ誘導し、
そのままボールホルダー周囲のパスコースを封鎖してボールを奪う狙いだろう。
神戸も複数人が連動する攻撃に欠けるので対応は容易だった。
が、マンツーマンゆえ人を動かされるとリスクが生じるのも事実。
冒頭で触れたような神戸の良い攻撃シーン、
これは山口に釣り出されたレオ・シルバの背後に生じたスペースを
三田にうまく使われたもの。
神戸からすればこのシーンを鍵に攻撃したかったのだが、
いかんせん再現性をチーム全体で高める事が出来なかった。

43分頃に起こったシーンだが、
ダンクレーから右SB大崎へ展開することが発端となり、
鹿島が狭いエリアに押し込める事に成功している。
土居の状況判断の良さも要因なのだが、
瞬間的な判断から的確に追い込みをかけるまでの連動性が良い。
大崎からすればフリーで受けれたはずなのだが、
顔を上げた時にはプレーの選択肢がほぼ無かった。

同じような流れから神戸のプレーが手詰まりと化し、
ボールをロストあるいはロングパスを出さざるを得ない状況となったシーンはこの試合何度もあった。
吉田監督が割り切ってロングボールを送る、
もしくは鹿島の中盤マンツーマンを逆手にとっていけば面白かったのだが、
残念ながら起こしたアクションは乏しかった。
そもそも、何を改善しようとしたかは余り感じなかったのだが。

イニエスタ投入も、結局は投入自体が目的になっていた気がする。
ピッチ上での何かを解決するための投入ではなく、
ただ彼のもたらすクオリティのみを頼っての起用のような...
イニエスタにどれだけ良い位置でボールを届けるかが重要な気がするだが、
攻撃の全てを彼だけに委ねている印象すら感じた。
誰が水を運ぶのか。
そこをクリアにしないと、ビジャ・ポドルスキ・イニエスタらの前線は足枷にもなってしまうだろう。

2-2 両者の決定的差、”相互理解”
最大の原因は前述したような「相互理解の欠如」であり、
”自身の周囲の味方がどのようなアクションをしており、これからするか”
という予測と判断が伴っていない事に思える。
だからこそプレーに迷い、囲めるだけの時間を相手に与えてしまうのだ。
もしこのままチーム戦術は変えず、
自陣から丁寧にパスを繋ぎ敵陣深くまで侵入していくスタイルを貫くのであれば、避けては通れない課題だ。

鹿島の強みはむしろそこにある。
攻守のプレー全体で求められるのは組織的な振る舞いであり、
選手同士のコミュニケーションがその根底にある。
起用された選手によって戦術が大きく変化するわけでもなく、
どの選手がピッチに立とうと鹿島の戦い方は変わらない。
それゆえ、独創的なアイディア溢れるプレーは決して多くはないが、
あくまで現実的に、理に適ったプレーを続けて勝利していくのが鹿島だ。

が、個人的に今の鹿島で面白い存在なのが白崎。
彼の攻撃センスは今の鹿島では独特なものだ。
激しい上下動に耐えうる身体能力を備えつつ、
ボールを受ければ内・外問わず攻撃の起点になれる。
特にボールを足元に収めてから放つクロス、ラストパスは大きな武器で、
常にワクワクさせてくれる。

安部とはまた違ったスタンスな即興のアーティストだ。

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AXEL SMITH

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