見出し画像

授業を進めるのは誰か?っていう話。

企業や社会人がゲスト講師として学校に行く授業をやっているんだけど、
私はどちらかというと「授業プログラムを作る」が得意なので、
わりとかっちりとプログラムをパッケージ化するタイプ。
できれば、どの講師が担当しても同じようにできるように。

となると、
「学校の先生が進行する部分」と「ゲスト講師が進行する部分」の
区別も比較的はっきりさせておき、
典型的なパターンとしては、
授業の始めと終わりの挨拶や主旨の説明は先生が、
メインの内容を進行するのはゲスト講師というカタチが
多くなる。

このカタチの利点としては、
先生もゲスト講師も、絡みが少ないので、
ある意味役割が明確で、授業の実施がラクだってこと。
先生も、ゲスト講師にバトンを渡せるし、
ゲスト講師も、ある程度の枠の中で進行できる。
コーディネーターの打ち合わせの回数も、
圧倒的に少なくて済んでいる。

で、このパターンも、決して悪くないと思ってます。
それなりに、均一のクオリティ担保ができるので。

でもですねぇ・・・

実は、先生が授業のイニシアチブを握った方が、
圧倒的に授業のクオリティはあがるんです。
これは、本当に、断言できます。

仮にそれが外部資源を活用した
体験型・ワークショップ型のプログラムだったとしても、
それらを先生が進行し、
適切なポイント、要するに「外部人材でないとできないところ」で
ゲスト講師に話をしてもらったり、話を引き出す授業。

なぜこちらの方がクオリティが上がるかというと、
先生の方が、ふだんの子どもたちの様子を見ていること、
前後の学習や生活とのつながりを描けること、
子どもたちのその場の反応を察知すること、
そういう上で必要なことの判断ができるからなんです。

そして、これ、絶対に外部人材にはできないこと。

でも、外部人材が関わる授業で、このパターンは少ないです。

なぜなら。

こうした形の授業は、
子どもの反応や状況に応じた臨機応変さや、
ライブ感が必要になります。

これを実現するための条件としては、
先生とゲスト講師のあいだで強固な信頼関係があること、
目標が共有されていること、
その上で「ゆるやかな役割分担」がされていること。
子どもの反応や状況に応じた臨機応変さ・ライブ感に、
先生もゲスト講師も動じないだけの信頼関係が
なによりも大事だったりします。
「一緒に授業を作っている感覚」というか。

でも、こうした領域に至るまでに、
どれほどの時間と労力が必要になるか・・・
はじめてプログラムを実施する学校では、
ここまでは、なかなか、たどり着けません。
だから、むずかしい。


先日の小学校での授業のこと。
長年お世話になっている学校で、
何回もご一緒してきた先生とゲスト講師の方と、
授業を実施しました。
子どもたちが制作したアニメにアドバイスをもらう授業。

この日、担当の先生は、
予定していた進行表にない行動をしました。

進行表上は、子どもたちのアニメを上映した後、
ゲスト講師から各グループへのアドバイスをする予定でした。
が、上映後、先生がこんなことを言い始めました。

「グループにわかれて、5分間、話し合おう。
 自分たちの作ったアニメを見てみて、
 気づいたこと、あるよね?
 それをグループの中で共有しよう。
 そこからさらに質問したいことを考えてみて。」

この、ほんの5分間の、
「子どもたち自身が気づいたことを
 言語化するプロセス」が加わったことで、
その後のゲスト講師への質問とアドバイスの質が、
格段に上がったのでした。

先生、さすが。と思いつつ、
予定にないけどやっても大丈夫だろうと、
先生が信頼してくれていたのだとしたら、
コーディネーターとしてはちょっと嬉しいなとも
思ってしまいました。

できる限りこういう授業を数多く実現したいと、
そのためのスキルアップが必要なのだなと、あらためて。

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部社会学科卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factoryを設立。
☆学校を応援する大人のための教育マガジン無料配信中☆
 登録はこちらから。
  https://submitmail.jp/FrontReaders/add/4173
 バックナンバーまとめ読みはこちらから。
  https://note.mu/axfactory/m/m4a777303bd10
☆社会人先生になろう養成講座☆
  http://ax-factory.wix.com/guest-teacher-lab

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?