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ポリシーは、あるか。

「昔の車のキャッチコピーは攻めている」という記事を見た。
その中で見つけたキャッチコピーが、「ポリシーは、あるか。」

ホンダのストリームという車種が
モデルチェンジをした際に採用されたコピーだ。

これはいい感じのコピーだと思った。
なんかこう、グッとくる問いかけ系のコピーだ。
ユーザーにこだわりや信念があるかと問うている。
その信念にホンダストリームは応えますよ。
ってやつである。

実はこのコピーはメタファーでもあることを今日知った。
実はホンダがトヨタに当てたメッセージが隠されているという。
ほら、なんだか面白くなってきましたよ!
おら、ワクワクすっぞ!

ホンダのストリームは新しい価値観の車だった。
ファミリーカーでありながらスタイリッシュ。
そしてグイグイ走れる。
つまりユーザーの新たなニーズを掘り起こした先駆者なのだ。

世間からは注目が集まり、この手の車はストリームだけ。
これは独占状態もしくは大きな先行者利益を得られる!
どこまでも続くブルーオーシャンやー!海水ぶしゃー!

と思ったのも束の間。刺客が現れた。
トヨタが速攻で発売したウィッシュである。
あのトヨタが同じセグメントに攻め込んできた!
どんだけすごい車なんだ!
ホンダの開発者の気持ちになって私が代弁した。

なんとウィッシュはストリームのパクリだったのである。
ボディサイズに至っては全く同じだったという。

ホンダはストリームが得るべきであったニーズを失った。

ここからは仁義なき闘いである。
ホンダが偉かったのは、裁判だなんだではなく(本当はあったかもしれん)
車で勝ってやろうと思ったことだろう。
ストリームをめっちゃ改良し、ウィッシュとの差別化をはかった。

ホンダ担当者は悔しかったであろう。そして相当怒っていたに違いない。
しかしその気持ちを車の改良に向けたのである。

そうして出来上がった新型ストリームに付けられたキャチコピー。
そう、「 (おいトヨタ)ポリシーは、あるか。」である。

カッコよくてゾクゾクしてくる。
ホンダの関係者全員気持ちを、メタファーという形で見事に再現している。

その後もストリームとウィッシュはしのぎを削った。
そのおかげもあってか、このセグメントの車のクオリティはぶち上がったそうだ。

少し目立ったり挑戦的なことを言うだけで袋叩きにされる時代だ。
この広告も当時ではギリギリのラインだったのかもしれないが、
現代ではアウトになるかもしれない。

この一連の流れから、私は高度成長という言葉を連想する。
同じものづくり人として、良きライバルとして、
ものづくりにポリシーを持て!と一喝しているようにも聞こえるのだ。
共に成長し、日本のものづくりを活性化させよう。
という気持ちがあっての言葉のように感じる。

現代を生きる一人として、広告人として、
こういった「勢い」をもう一度体験してみたい。
時代を象徴するような広告を作ってみたい。

そして数十年後
誰かがこのブログと同じようなことを書くのを見てみたい。

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