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呼び込みジーニアス

I don't wanna 酔わないビール酒のあの日に、
新宿の立ち飲み屋に行った。

この立ち飲み屋に来たのは人生で2回目。
前回来たのはおそらく2年前のことだ。

確かアルタの後ろ側あたりだったのだが、
明確な場所もおぼろげゲロゲロな状態。
不埒な気持ちでフラフラと歩いていると、その店はあった。

暖簾をくぐろうとした瞬間、店主が厨房から、
お久しぶりでぇーす!!!と叫んだ。

いらっしゃいませー!でもなく
一杯どうですかー!でもなく
お久しぶりでぇーす!である。

2年前に来た私のことを、その店主は確実に覚えていない。
何故ならば、会話はすぐに終わったからだ。
普通なら、お久しぶりでぃーす!のあとは
近況報告などをして、なんとなくやり過ごすのが大人だ。

その店主は、お久しぶりディース!と叫んだ後、
いそいそとクッキングしていた。
おそらくチッキンの首を落としまくり、
チッキンマーダーとして完璧な仕事を全うしていたのであろう。

おそらくビールではない激安の麦酒を飲みながら我は考えた。

ここでの学びとは何か。
私はたまたま、本当にお久しぶりディース!だったのだが、
おそらく店主は全員にお久しぶりディース!している。

多くの呼び込みがいらっしゃいませー!の中で、
お久しぶりディース!はそれ自体が差別化である。
正直びっくりする。

お久しぶりディース!と言われると、
たとえ初見であったとしても、
はて?どこかで会ったかしら?的な感じになる。
いらっしゃいませー!よりは親近感があることには違えねぇ。

私のように、本当にお久しぶりだった場合はもう感動ものである。
立ち飲み屋という多くのお客が利用する環境で私を覚えていてくれた。
それだけで私の承認欲求は満たされ、昇天するのである。

唯一問題となること。
それは常連さんにお久しぶりディース!しちゃった時だ。
これはさすがに辻褄が合わない。
常連さんは憤り、
ビールではない麦酒を歌舞伎町にご出勤するであろう女性にぶっかけて
丸亀製麺でぶっかけ冷の並を食べるのであろう。

私はこの学びを生かし、
美女にお久しぶりディース!と声をかけることにする。
あら?このモジャモジャどこかで会ったかしら?となったその刹那、
センクスメソッドで培った洗脳を使い、美女をモノにするのである。

美女を引っ掛け、立ち飲み屋で酒を引っ掛ける。
それが私の人生なのだ。

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