見出し画像

日本語をデペイズマン

デペイズマンと聞いて何を連想するだろうか。
私は海外のサッカー選手(おそらくヨーロッパであり、典型的なMFである)か、競走馬の名前(おそらく日本ダービーでは下から3番目のオッズ)あたりかと想像したが、その天才的かつ独創的な妄想はあっけなく砕け散り、トイレに流れていった。

デペイズマンとは、シュルレアリスムの技法のひとつである。
もともとは「異郷の地に送ること(dé「分離」+pays「国、故郷」+ment(名詞の語尾))」というような意味であるが、意外な組み合わせをおこなうことによって、受け手を驚かせ、途方にくれさせる(dépayser)というものである。
(byウィッキーさん)

ウィッキーさんは元気なのだろうか。懐かしい。

代表的な例としては下記に分類されるようだ。
・場所のデペイズマン - 本来の語源的意味。物をそれが本来あるはずがない場所に置くこと。
・大きさのデペイズマン - 対象を実際よりもはるかに大きく、あるいは小さく描くこと。
・時間のデペイズマン - 絵の一部が夜なのに、他の一部が昼であったりする。
・材質のデペイズマン - 物の形はそのままで素材がまったく異質なものに置きかえられている。
・人体のデペイズマン - 上半身が魚なのに下半身が人間であったり、上半身が石膏像なのに下半身が人間であったりする。
あるいは、体の一部に木目が入っている、石膏像が血を流している、靴の先が足になっているなど。

面白いではないか。こういう類の発想は大好きだ。
しかし私は絵が得意ではない。
私の非凡な発想力であれば文章で十分であろう。
日本語で挑戦してやろうではないか。

・栃木県の中に東京都
・海底に洗面台
・地中の和式便器
・白身の周りに黄身
・豚の革でできたリカちゃん人形
・腰より上は人間、腰より下は木の根っこ
・腰より上が足、腰より下が首
・地球規模サイズのアリが人工衛星と小惑星(とあと人間)を巣に持っていく様
・安倍総理の髪型をしたトランプ大統領

「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」とヤングは言ったが、シュルレアリスムの時代よりもっと後のことであろう。

アイデアの本質はいつの時代も組み合わせの面白さだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?