見出し画像

マズメが良いって言ったじゃない

朝マズメ・夕マズメなんて聞いたことはあるだろうか。
海釣りで使われる言葉で、
日の出前後と日の入り前後のよく釣れると言われる時間帯だ。

マズメの語源はいくつかあるが、
間詰め=太陽と地平線の間が詰まった状態を言う説、
真面目な漁師さんを指して、なまった人が「マズメだね」と言った説など、
諸説ある。

つまり海の魚に関わる人は、
日が昇る前から働き、日が沈んだら酒でも飲んで寝るスタイルだ。
漁師の朝は早い。

そんな漁師に憧れて、私も朝マズメを決行したのである。
本日の日の出は5時半。
移動時間と準備を考えたら3時には起床しなくてはいけない。
3時から活動するという経験は人生でほとんどしたことがない。

ほとんど経験のない深夜からの活動
まだ見ぬ朝マズメという未知の時間帯に
私のドキはムネムネし、Dカップくらいまで膨らんでいた。

家を出た時はとても美しい満点の空が広がっていた。
その空は徐々に明るくなり、釣り場に着く頃には東の空が明るかった。

釣り場に着くと、私の期待はより膨らんだ。
100メートル以上の長さがある堤防だが、
びっしりと釣り人で埋め尽くされていたのだ。
この人たちはアホなんじゃないか。
大の大人が朝も早よから何をしているのだ。

いやいや、私も同じじゃないか。
踊る阿呆に見る阿呆
どうせ阿呆なら踊らにゃソンソン!
ソンソン!シャンソン!

我々は奇跡の証人である。
朝のキラキラした海面の中で、
海洋プランクトンと魚たちの舞が繰り広げられる。
その恩恵を少しいただいているのが我々なのだ。
ザッツマザーアース!アザーッス!

とうとう迎えた朝マズメ。
小さなスペースに入れて頂くことができたので、竿をだす。

ムムッ!
ムムッ!ムートン!

生命反応が全くない。
朝の爽やかな空気、
キラキラと輝く水面、
地上ではどれをとっても完璧なロケーションだ。
海底は遅めのお盆休みか何かだろうか。
その後も釣れず、
昼前には釣りが難しいほどの風に見舞われた。

結果、何も釣れなかったのだ。
朝起きた努力とあのハイテンションを返して欲しいのである。

自然は変化に富んだものである。
マズメが良いのではなく、
マズメは良いと言われているだけだ。

海洋プランクトンの活性が上がると言う研究もあるが、それも可能性の話である。
様々な状況が絡み合うため、
実際にはその日そのタイミングになってみないとわからないのだ。

釣りたければ釣り堀に行けば良いわけで、
私もどこかそのプロセスを楽しんでいる部分がある。
釣れなかったねーなんて笑いながら魚市場に行くくらいが
丁度良いのかもしれない。

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?