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堤防のおじさんはなぜ優しいのか

この猛暑の中、無防備な格好で釣りに行ってしまった。
朝早い時間に行き、お昼頃には引き上げようと思ったのだが、
気づいたら夕方だった。
ものすごい日焼けあとと、3匹ほどのイワシとアジが思い出に残った。

堤防にいるおじさんは基本的に優しいという話だ。
先日の釣行は初めて行く場所だったのだが、
スクーターでやってきた明らかに地元のおじさんが優しくしてくれた。

基本的に私は男性にはよくナンパされるのだが、
そのおじさんも声をかけてきてくれた。
当然地元のおじさんなので、この釣り場にはとても詳しい。
3日前から大潮だから、あまり釣れていないとか
仕掛けはピンクじゃなくて白が良いとか
棚(深さ)は中層が良いとか。

郷に入っては郷に従え。
このおじさんが言っていることは正しい。
スクーターで来れるほどの距離に住んでいるおじさんのノウハウから比べれば、
月に1回〜2回ほどしか釣りに行かないMUNOU釣り人の私のノウハウなど、
本当にちっぽけなものなのだ。

何とこのおじさん、灼熱の中無防備に釣りをする姿を見かねてか、
一度家に帰りパラソルを持ってきてくれた。
どれだけいい人なんだろうか。

パラソルを持ってきてくれることは流石に初めての経験だったが、
どこに言っても地元民であろうおじさんが堤防にはいて、
色々な情報を惜しげも無く教えてくれる。

このモチベーションは一体何なのだろう。
パラソルおじさんにはお礼を渡したのだが、
受け取ってさえもらえなかった。

今まで何十年もこの場所を見てきて得た確かなノウハウ
これは一般的に考えれば付加価値のある情報だ。
釣りに来たからには何か釣果を得たいというニーズに完璧にマッチしている。

私がパラソルおじさんだったら、堤防で情報屋をやるかもしれない。
釣れる情報を教える代わりに500円もらうとか、
成果報酬型スタイルで、釣れた分だけ情報料をもらうとか。
そう言った類のビジネスはたくさんある。

パラソルおじさんはおそらく海の男であり、地元を愛しているに違いない。
外から釣りに来た旅行者に情報を教えてあげることこそ
自分ができる地域貢献と考えているのだろうか。
はたまた、すでに定年を迎え時間的余裕があるはずで、
堤防に行き、釣り人たちとコミュニケーションをとることが
パラソルおじさんにとっての生きがいなのかもしれない。

憶測の域を超えることはないが、今度会うことがあったら聞いてみたいと思う。

これってビジネスになるじゃん!なんて考えている自分が恥ずかしくなるくらい、
心の広い堤防のおじさんとの良い出会いだった。

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