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ひっそり

 土曜日の夜にいくからね。つきあっている人にメールをすると、出張で帰るの9時くらい。と何時間後に返事が来る。最近週末は泊まらない。あたしがヘルスのバイトに行っているからだ。なおちゃんは無論知る由もないし知らせることもない。好きだからしたくない。前はそうも思っていたがまた始めてしまえばそんなこと別にない。ヘルスの仕事など1人ついてもう慣れた。あたりまえだ。人生のほとんどを風俗嬢に費やしてきたのだから。お金ではない、いやいや、お金だ、お金。その間で揺れる根本がわからない。さみしさを埋めるために他のおとこの身体を借りる。存外見ず知らずのおとこの方がだいたんにふるまえていい利点もある。あたしのいっているヘルスはどうしてだか忙しい。ゆったりしている暇がないし飯も安易に食えない。ちょっとだけ痩せた気がする。終電に乗って一旦乗り換えなおちゃんのうちについたのは23時40分だった。案の定彼は寝ていた。スーツを脱ぎっぱなしにして。スラックスなどそのまま脱いでありなにかのオブジェクトを彷彿させる。寝顔をこっそりとのぞき見る。ほっとする顔がそこにはある。髪の毛がヘルスくさかったので洗いたくてまたシャワーを浴びる。何度も何度もヘルスではシャワーをする。うんざり。つい声をもらす。しなびちゃうじゃん。と、重ねて文句を垂れる。髪の毛をワシャワシャと洗いさささと壊れそうな古いドライヤーで乾かして部屋に戻る。やっぱり眠っていた。着替えを持って帰ってしまい着るものがなく裸で布団にはいる。電気とテレビを消して。何時なのか検討もつかない時間になおちゃんが布団に滑り込んできた。2週間ぶりだった。無言で彼はあたしを抱いた。他のおとこにさんざん触らてきた身体。そんなことつゆ知らずのなおちゃんは我の性のはけ口にあたしを容赦なく抱いた。「いつきた?」行為が終わって質問をされる。「んー、わかんない」なおちゃんの次の言葉を待ったけれどいつまでたっても返ってこなくていつの間にか眠っていた。日曜の朝も短いセックスをし昼飯を食べてまた横になっていたらそうゆう雰囲気になってまたした。え? なんで? 正直喋るよりセックスをしている時間の方が長いし余計なことなど喋らなくていいのでセックスって重要だとつくづく思う。結局1日中食べてして眠って日が暮れた。また終電で帰った。長い時間いてももうときめきなどはない。彼とつきあって丸っと3年経つ。最初のころのドキドキはないけれどなおちゃんといるあたしは自分でいうのもなんだけれどかわいいやつだと思っている。ほんとうは腹黒いおんなだけれど。けれどなにもかもさらけだす必要などはない。嘘だってときにはついた方がいいときもある。許される嘘。ならついた方がいい。傷つくくらいなら。嘘も方便かぁ。雨がしとしと降っている。梅雨に入ったようだ。

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