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月がこぼれ落ちそう

買い物を終えて外に出ると、半熟卵の黄身のような大きな月が見えた。
今にも地上にこぼれ落ちそうなくらい、地平線のすれすれに留まっている。

月の見える夜は、なんだか安心する。

朝の澄んだ空気と日光が混ざりあう朝も好きなのだけど、わたしはやっぱり夜が好き。

夜は、なんでも許してくれる気がするから。

朝の光を浴びると、エネルギーがもらえる。
わたしの場合、身体に活気がめぐってきて、あれもこれもしようと意欲がわく。
それがたまに、自分を強迫しているように感じるのだ。

「これをしよう」
「これをしなきゃ」
「これができないとだめだ」

勝手なんだけど、そんなふうに脳内変換されてしまう。
随分と朝型にシフトしてきたとはいえ、わたしにはまだ朝の陽射しは強すぎるみたいだ。


夜の月はなにかを与えてくれるわけではないけど、かえってそれが「そのままでいいよ」と認めてくれているような気持ちにさせる。

仕事を遅くまでしていても、好きな本を夜通し読んでいても、疲れて寝落ちしても、夜は自由だ。


今日は本を借りてきたから、夜の免罪符のもと、好きなだけ没頭することにしよう。

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