赤いマイクコード

この夏で渋谷すばるいなくなる聞こえるはずの音がなくなる

ファンなんてどうでもいいのつらいのはきみの夢にはきみしかいない

かぞくより時間過ごしたメンバーを置いていくのも夢のうちなの

青春はこうしておわるものなのか さよなら赤いマイクのコード

気付いたら十三年も好きだった一緒に生きてたつもりだった

すばるくんあなたが決めた夢なのにそんな目をして歌わないでよ

ポエマーと叩かれるかな彼のことこんなたくさん短歌にしたら

おたくだと自覚している「きもい」って彼はラジオで笑いそうだな

山縣 彩夏

未来2018年11月号に掲載



小学校五年生の頃から応援しているアイドルグループがいる。
関ジャニ∞といって、メンバーの全員が関西出身。下積み時代が長い苦労人ばかり。けれど、今や国民的アイドルに成長した(と私は思っている。)

そのメインボーカルだった渋谷すばるくんが、年内でジャニーズ事務所を退所する。本格的に音楽の道に進むために、今ある環境を捨てて海外で挑戦したいと彼は語った。引退の記者会見には他のメンバーも出席。こんなことはジャニーズ事務所では異例だ。

会見中、家族ほど彼と連れ添ったメンバーは「応援します」とまっすぐに言う者、明らかに不貞腐れている者、普段のように明るく振る舞う者、涙を流す者。いろいろと揃っていて、私の大好きな人間味溢れたグループがそこにいた。それにだいぶ救われた部分がある。ファンも突然の発表を受け止めきれなかったから。

まだ六人になってしまった関ジャニ∞を見ると寂しいし、ライブでも無意識に彼を探してしまう。姿はもちろん、赤いマイクコードを握りながら歌う力強い声や笑い声、彼が演奏していたブルースハープの甲高い音色、ファンを呼ぶ声。
「ない」「足りない」と思ってしまう。

ラジオでファンから送られてきたメールに爆笑しながら「アホですね〜」と言ってた声ももう聞けない。なのに、こんな短歌やnoteを書いたらきっとすばるくんは「気持ち悪いですねえ〜」と笑ってくれそうだなあと勝手に想像してしまってつらい。

いろんな音楽番組で「渋谷すばるラスト出演」というテロップを見て、その度に涙が出た。歌っているすばるくんの目にはいろんな感情がぐちゃぐちゃに混ざっていて、そんな目をされたら受け止めるしかないと思った。

初めて好きになった男性アイドルが関ジャニ∞で、わたしの青春の全てだ。
地方に住んでいたときも、五大都市ドームツアーをやると聞けば五大都市全ての地に足を運んでいた。
地方を回るアリーナツアーでも全国各地に日程さえ合えば行った。
北海道から沖縄まで。数えきれないほど、かけがえのない思い出がある。

それほど彼らには魅力がある。

ライブの”生感”というか、そこでしか感じられない一体感と、
毎回違うMC。会場ごとに違うテンションや魅力的な表情。
アイドルは儚いと痛感しているからこそ、一回一回が愛おしく脳みそに焼き付けたいと思う。応援できる時に応援しておかないときっと後悔するから。

そのおかげで全国各地の美味しいものを食べて飲んで、友達がたくさん、本当にたくさんできた。

あれから数ヶ月経ち、六人のツアーが終わろうとしている。メンバーたちは現状を受け入れてグループを更に盛り上げるために結束をより深めていた。

私には、もうしばらく時間が必要だ。彼が元気かどうかだけでも知りたい。でも、生きていてくれさえすればいい。
すばるくん、たくさんの幸せをありがとう。これからはあなたのために、思う存分歌いながら生きてください。誰でもないあなたを生きて。


#短歌 #tanka #未来 #note短歌部 #エッセイ #渋谷すばる #関ジャニ

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

短歌とエッセイ。 未来短歌会彗星集、かばんにいます。

あなたの「スキ」が励みになります!ありがとうございます。
34

山縣 彩夏

note編集部のおすすめ記事

様々なジャンルでnote編集部がおすすめしている記事をまとめていきます。
1つのマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。