佐藤文香『そんなことよりキスだった』(左右社)のためのプレイリスト12*サカナクション「ライトダンス」/Base Ball Bear「祭りのあと」 #そんキス
『そんなことよりキスだった』、12話目は「デパ地下の岡本くん」。2話目の「学園都市」、26話目の「はつゆめ」とこの話が、文章中に俳句が挿入されているパターンです(ほかにも俳句や俳句のようなものが出てくる話はあります)。これは「早稲田文学 女性号」でやったスタイルで、歌物語ならぬ句物語というかんじでしょうか。
さて、このころ、人にすすめられるでなく好きになったバンドというのが、サカナクションとBase Ball Bearでした。
せらせら なびく服で今僕は吠えた よりサイケな街の裏
ーサカナクション「ライトダンス」
歌詞は→こちら
「せらせら」という擬態語、感じるものがあります。サビの「花曇り 夢の街 でも明日が見えなくて」にも、(あ、季語……!)と思ったり。山口一郎さんは「ユリイカ」2011年10月号の「現代俳句の新しい波」に俳句も寄せています。
凪いでる表参道に何を感じようか 山口一郎
「ユリイカ」2011年10月号「この世界は僕のもの」より
サカナクションはデビュー時からアルバムはすべて聴いていて、「三日月サンセット」「セントレイ」「アルクアラウンド」「Aoi」など好きな曲が多いです。
Base Ball Bearの小出祐介さんの作詞作曲も面白い。
この曲のサビ、日本語の音のあて方がうまくてよいです。
お祭りのあとの あとの祭り 永遠か
夏の終わりのあとの やや肌寒い 夜のあとさき
ーBase Ball Bear「祭りのあと」
歌詞は→こちら
一番よく聴いたのはファーストアルバム『夕方ジェネレーション』の1曲目、「SAYONARA-NOSTALGIA」かな。「ドラマチック」も好きです。
ドラマチックチック 止められそうにない 止めようと思わない
めくるめく、笑顔だけのフラッシュバック 探している 夏ってる
ーBase Ball Bear「ドラマチック」
歌詞は→こちら
「チックチック」って言いたくなる、というのもあるし、それより「夏ってる」がすごい。「夏い」(「夏っぽい」「夏だ」から、「夏」を語幹として形容詞化)は聞いたことありましたけど、「夏ってる」ははじめて聞いた。いいですね。こういう日本語はどんどん生み出していきたいものです。用例ありきですから。
次回はお待ちかねの(?)、つぼイノリオ「金太の大冒険」 /SUPER BUTTER DOG「サヨナラCOLOR」です。
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