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『柿本多映俳句集成』(深夜叢書社)/第54回蛇笏賞受賞/第二刷ができました

俳人・柿本多映さんの既刊6句集と拾遺などを収録した『柿本多映俳句集成』についてのページです。

*【2019.4】『柿本多映俳句集成』につきまして、初回の書店向け納品分すべて栞のはさみ込み漏れがありました。すでに書店に栞は届いており、現在販売されているものには栞が挟んであると思いますが、万が一栞が入っていなかったという方がいらっしゃいましたら、お送りいたしますのでお手数ですが深夜叢書社までご連絡ください。→こちら

**【2020.4】『柿本多映俳句集成』が第54回蛇笏賞を受賞しました。

***【2020.8】『柿本多映俳句集成』第二刷が出来上がりました。

****【2020.8】『柿本多映俳句集成』中の拾遺をもとに、高橋睦郎編『柿本多映句集 拾遺放光』(深夜叢書社)が刊行されました。

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柿本多映さんは1928年、滋賀県大津市生まれ。はじめ赤尾兜子に学び、桂信子主宰の「草苑」で活躍されました。橋閒石、永田耕衣、三橋敏雄とも親交が深く、そういった作家たちのなかで、独特の作品世界を形成してこられました。現代俳句協会賞、桂信子賞、詩歌文学館賞などを受賞されています。

多映さんと私・佐藤が初めてお目にかかったのは2014年10月。以来、関西や東京でお会いするなど親しく接していただき、今回『柿本多映俳句集成』をお手伝いさせていただく運びとなりました。

多映さんの「若い人に読んでもらえる俳句集成をつくりたい」というご希望を生かし、装幀は髙林昭太さんにお願いしました。函なし・やわらかい質感のハードカバー・ほぼ四六判という、コンパクトな俳句集成です。

「南風」主宰の村上鞆彦さん、現代俳句協会青年部長の神野紗希さん、そしてこの俳句集成の年譜・改題をご担当くださった関悦史さんにお集まりいただいて記念座談会を行い、栞としました。

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関悦史さんが「柿本多映さんは五十代になってから俳人としての人生をスタートさせた方ですが、始まった時点である意味完成された俳人と言えるでしょう」とおっしゃるとおり、〈眼底をよぎる人あり冬花火〉〈立春の夢に刃物の林立す〉〈点滴や湖に降る春の雪〉で始まる第一句集『夢谷』は、誰の心にもぐっと迫ってきます。

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「拾遺」では、既刊句集に入らなかった作品のなかから、柿本さんご本人が思い入れのある作品を選ばれました。句によってはさらに手を加えられ、大変こだわりの強い一冊に仕上がっています。

紀伊国屋書店新宿本店など、すでにいくつかの書店では販売が始まっているので、書店で実際にご覧いただければ幸いです。版元である深夜叢書社へもご注文が可能です。→こちら 


最後に、私の好きな多映さんの作品を少しだけご紹介しておきます。

桃色の夜空を誰のいかのぼり  『夢谷』
青首大根畑にそろひ恋ごころ  『蝶日』
猫踏んでまだらになりし春の闇 『柿本多映句集』
天体や桜の瘤に咲くさくら   『花石』
短調や空に椿の落ちつづく   『白體』
乱反射ゾーンへ入る黒揚羽   『粛祭』
誰の忌か岬は冬晴であつた   『仮生』
愛は不毛レッサパンダの直立も 「拾遺」

多映さんの作品が、多くの方に届くことを願っています。

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