「君の輝く夜に」はアジフライが食べたくなる舞台

『FREE TIME,SHOW TIME 君の輝く夜に』東京での再演おめでとうございます。私自身は、京都で上演されたときに2回足を運ばせてもらいました。

Twitterにアップしたレポート(1枚)はこちら。レポートはほぼネタバレなしで描きましたが、今回アップした文章にはネタバレが含まれますので、閲覧には注意してください。

稲垣吾郎氏を好きな要素のひとつに「コンディションが安定している」というのがあります。

つねに体型を維持し、美肌を保ち、くせ毛をていねいにセットし、「吾郎ちゃん今日も素敵だったわ」と思わせてくれる。芸能人はときに不安定さが魅力になりうる職業ですが、そんな雰囲気はいっさい見せず微に入り細に入り行き届いている、そんなあなたが好きなのです。

そして最高のコンディションを保ったまま、炭焼き職人にもベートーベンにもなる軽やかさもまた魅力のうち。コンディションが整っているからこそ、外見から役を表現する精度も高いのかな、と思います。

吾郎ちゃんは女性を輝かせる天才

吾郎ちゃんは、「女性の中にいるとよりいっそう魅力的に見える」という、アイドルとしては少し不思議な要素も持ちあわせています。くわえて、ナチュラルに女優陣を立てる演技をするんですよね。共演の女優を光らせ、その光を受けて自分も輝くような。この「君の輝く夜に」では、魅力的な女優陣に囲まれているので、タイトル通りにそれが顕著です。

安寿ミラさんは元宝塚トップスターしか持ち得ないオーラをまとい、その一挙手一投足は見惚れるほどになめらかで美しい。中島安里紗さんはみずみずしすぎて見ているだけで浄化される勢いです。北村岳子さんは年齢不詳の魅力があって、少女っぽさから大人っぽさの振り幅がすごい。

そこに、「過去の恋人との約束を忘れることなく、その結果を確かめにくる男」として放り込まれるジョージ・吾郎。軽薄さと純粋さをあわせ持った彼は、内心わりと小心者で、私の知る稲垣吾郎氏とも少しシンクロしているようにも見えます。

アジフライ、さくさく~

この劇では耳に残って口ずさみたくなる歌がいくつも歌われますが、私のお気に入りはなんといってもアジフライの歌。

アジフライって地味に作るのに手間がかかると思うのです。アジをひらいて骨をとって揚げて…。庶民的に見えて、すごくぜいたくな料理。それを4人がかりで、とれたてのアジで作っちゃうなんて、都会の大人の日常にはなかなかないんじゃないでしょうか。

大人って、知らず知らずのうちの「誰かの人生の脇役」を演じがちです。だけど最高のアジフライを食べた夜は「誰もが自分の人生の主役なんだ」と思えたんじゃないでしょうか。しみじみとあたたかくなるお芝居でした。

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