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ありがとうの宇宙貯金


「ありがとうね」

たくさんありがとうって言ってくれる患者さんだった。
 


「またお仕事なの」って

いつこちらのこと気にしてくれる人だった。


ずっと苦しかったろうに
ほとんど苦しいって言わない人だった。
 
どうに生きたいか、というのが見える
とても強い人だった。
 


いつもはみ出すくらいに
オシャレに口紅塗っていた💄

髪の毛が少し癖っ毛で
ヘアブラシをたくさん持ってた🪮



シャンプーしたあと
髪の毛をまとめて
編み込みにしたりおさげヘアーにするのをお手伝いするとすごく喜んでくれた

 
その日の朝、
「苦しい」って言って、薬を少し増やしたあと
「ありがとう」って聞こえた。

 
わたしの聞いた最後の言葉は
やっぱりありがとうだった。

 

 
ハアハアしながらお話して
もう無理して話さなくていいよっていうのに
いろんなお話しくれた。


そのひとつに宇宙銀行のお話があった。
「今ね、あなたはたくさんありがとうを言ってもらうでしょ。
 それはね、宇宙にたくさん貯金されていていつかあなたにそのありがとうが帰ってくるのよ」
そんなお話だった。

 
その頃のわたしは
宇宙って、あの宇宙?と思うほど
何もわかっていなかったけど


いろんな方をお見送りしてきて
このいのちの向こう側もあるのだろうと思える今、
この方の教えてくれたありがとうの宇宙貯金の話がすこしわかる気がする。


私たちに当たることもなく
最後の最後までがんばりきった人
こんなに強くて優しい人っているんだなあ。
 

看護の現場は
人間の弱さも強さも
これでもかというほどぶつかってくる。
自然に涙が流れるくらいに。




わたしのココロが疲れるなーって思うこともあるけど
でも、そんな大変なときを寄り添い
1人じゃないよと、
ともに過ごす人でありたいなあと思うのです。

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