虐殺器官(読書レポ)

0年代の最高傑作SFと聞き読んでみた「虐殺器官」(伊藤計劃著)。

読後感はなんともいえない寂しさと、空恐ろしさ。なんていうか、最初から最後までわたしには怖かった。内容も主人公は外人だし、近未来だし、戦争ものだし、最初から最後までキリキリとした緊迫感に満ちていた。普段息抜きに読んでるエンタメの小説とは全然ちがう。
でも不思議と文体に引き込まれ、頭と心の柔らかいところが麻痺していく。
ここで描かれていることが、フィクションであることを願った。これはもしかしたら、遠くない未来そのものなのかも。
そう思ったからこそ、怖かったのかなぁ。


今回の読書でいちばん胸に刺さった言葉が線をひいたところ。
自由の意味を、希望に満ちた自己都合ではなく、能力として、説いている文章はあまり見たことない。
ああ、そうだよな。自由は危険を回避するために人間が身につけた能力だ。きっと。

この小説は、生きることの罪と罰、自分との向き合い方、そういうのを考えさせてくれる最高傑作でした。

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