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書くことはたった一人のベンチャー企業

こんにちは。中村綾子です。

先日、とってもいい本と出会いました!

『読みたいことを、書けばいい』(田中 泰延著)

ずーっとブログを書いて、時にブログを書くことに行き詰まり、やっぱり「どうしたら沢山の人に読んでもらえるか?」と頭を悩ませていました。いつの間にか、書きたくて始めたブログは仕事用ブログになり、書きたいことと仕事でウケるネタが離れていき、仕事のためには仕事用の話を書かないと・・と考え始めると、一体何を書いたらいいんだろう?とさまよう時期もありました。

少しずつ霧が晴れたり、晴れなかったりを繰り返していた今日この頃、上記の本に出会ったのです!

「書くことはたった一人のベンチャー起業」

1番ドンピシャだった言葉。1番原点に戻れた言葉。

そうだった。書くという事が好きで好きでたまらなかったのだ。。。

著者は言う

「価値のある意見には、必ず値段がつく」

その通り、と思った。同時に、生まれて初めて「値段」がついた日を鮮明に思い出していた。

19歳の時。毎日新聞で「勇気の記録賞」を受賞した。賞金20万円だったと思う(記憶が正しければ)。

内容は、小学校4年生でいじめられ不登校になった自分が、スクールカウンセラーを目指してカナダ留学に至るまで。そして、日本にスクールカウンセラーを導入させたい!という熱い想いを語るものだった。

当時は、まだ留学中で夏休みで日本に帰国していた。両親に大反対された留学だったので、出来るだけ自分でも稼ごうと、帰国するたびにアルバイトに励んでいた。

その夏のアルバイトは、百貨店でのお中元販売。でも、新人の私は、思ったほどシフトに入れず、思ったほどの収入にならないことが早くに分かってしまった。

じゃぁ、どうしよう。

近所の本屋さんで立ち読みした公募ガイド。それ以前から、懸賞に応募して結構な商品に当選したことがあったので、公募は大好きだった。

きっと、文芸作品を応募したことも過去にもあったかもしれないが、記憶が薄いことから考えれば、1度も「当たった」ことはなかっただろう。

お中元バイトの収入が少ない・・・と思いながら立ち読みした公募ガイドで目にしたのが、上記の「毎日新聞 勇気の記録賞」だったのだ。

「読者に勇気を与えるエピソード」であり、35歳以下の若者対象だったことだけを覚えている。

目にした時、身震いした。書いてみたい。自分にピッタリな気がした。

でも、その後何日も放置した。いつか、書こう。そのうち書こう。バイトが忙しくなる前に書けれればいいや・・・。

そんな日が続いて、何日も経過して、まもなくバイトが本格的に始まってしまう、というその日。私の中で、ふと何かがはじまった。

費やした時間は、3日間。使ったものは、作文用紙と鉛筆とボールペン。

自宅にパソコンも無い時代だったので、本当に文房具屋さんで買ってきた作文用紙に書いていた。清書するのもボールペンで書いた文字が、滲まないようにティッシュで押さえていた。。。

すべてを書き終えて、封筒に入れて、終わった・・と思ったら、時計は午前2時を過ぎていた。

もちろん実家くらしで、狭いマンションで家族4人で住んでいた。自分の部屋はあったものの、いつもの習慣で、家族が行き交うテーブルで書いていた。

私が黙々とテーブルに向かう中、父母は片付けしたりお風呂に入ったり、それぞれ寝る支度をして、気が付いたら誰もいなくなっていた。

そこまで、私は没頭していたのだ。

書く、ということに。

なんだかスゴイ仕事を成し遂げた気がして、応募できたこと自体が、高揚感にあふれることだった。

・・・

でも、応募したこと自体が、大きなことだったので、すっかり忘れて、お中元アルバイトに精を出していた。働くことが好きだったし、見ず知らずの人と話すことが好きだったし、見ず知らずの人が一生懸命お中元を選ぶ姿や、買い物に来ている家族構成をみたり、夫婦関係が垣間見れる人間ドラマが、「お中元」というモノ以上に大好きだった。

そんな時間が過ぎて、もう少しでカナダに戻る・・・という時期、電話が鳴った。

毎日新聞の担当者からだった。

とてもとても舞い上がっていたので、正直、何を言われたのか記憶がとぼしい。ただ、最後に「おめでとうございます」と言ってくれた時、ふわぁ~~と喜びがわいてきた感覚を覚えている。

その後、新聞に掲載されるために修正された原稿がファックスで送られてきた。

でも、元々私が書いた文章が、一部カットされたり、修正されたりしていることが、どうしても気に入らなかった。けれど・・・その時、はじめて気がついたことがある。

あの作文用紙、どこ行ったっけ??

コピーを取る、という発想なんて全くなかった私は、本当に鉛筆で書いた上を、ボールペンでなぞったものを清書として応募してしまった。手元には何いも残っていない。。。

仕方なく、恥をしのんで毎日新聞の担当者に電話をかけた。

・ファックスで送ってもらった原稿が気に入らないこと

・自分が応募した文章を見たいこと

すると・・

「生原稿を持っていらっしゃらないんですか?」

19歳女子に向かって、最大限丁寧に話してくれた口調が、逆に痛かった。。。

「生原稿」っていうんだ。自分で持っていることが当たり前なんだ・・・。

そんな常識過ぎる知識を、赤面しながら会得していった。

その後、どうにか「生原稿」を送ってもらった。そして、「紙面の都合があるから・・・」と説得されながらも、私の意向をかなりきいてもらうことが出来た。

毎日新聞に大きく掲載されたことは、ホントに嬉しかった。留学中だった私は出席できなかったけれど、授賞式まで盛大に行われたことは、大きな賞だったことを物語る上で充分だった。

けれど・・・

この受賞を通して、1番手にいれたのは

「書くって、お金になるんだ」

という価値観だった。

3日で20万。

19歳女子が、普通の仕事していたら、3日間では稼ぐことができないであろう金額。

それが「書く」ということで、手に入った。

必要なものは、作文用紙と鉛筆とボールペン。ただ、それだけ。

それだけで、書くという行為は「お金」に繋がったのだ。

その事実が、私の中で、新しくて大きな価値観として宿っていった。

・・・

冒頭の本を読んで真っ先に思い出したことが「書くって、お金になるんだ」と実感した19歳の記憶です。

書くことが好きで好きでたまらなかった自分が、書くことではじめてお金を手にいれた日。

書くことはたった一人のベンチャー企業

うん。良い言葉。

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