たしかに巻き物
私は小さい時から不器用で
縫い物も編み物もリリアンも、ミサンガ作りも
苦手でどちらかと言えば対岸から見ていた。
できるだけ近づかず、橋を渡らないように生きていた。
高校2年生の2学期の家庭科の課題が編み物だった気がする。
今やたいていの記憶が、気がする。に集約する。
私は当時永瀬正敏さんのファンで
(今ももちろん大好きだが)
雑誌で見た永瀬正敏さんが首元に巻いていたグレーのマフラー姿にクラクラしていた。
なんちゅうかっこよさじゃ。
グレーの仕業か？
という安直な理由でグレーの毛糸を購入して、初心者ならばとりあえずのマフラーに着手した。
あみあみ。あみあみ。
なかなかに進まない。
あみあみ。あみあみ。
集中して、寝ないで編んでたら深夜だった！とか
ラジオ聴きながら編んでると、割と進むよ！とか
友達の助言や経験談に1ミリも共感できない。
まず、集中できなくてすぐ眠くなるし
ラジオを聴いてそちらに気を取られ、編み物を置いてポテトチップスを食べ始めるようなそんな有様。
しかし、課題である。
やらねばならぬ、
あめぬなら、あやめられそう ほととぎす。
である。
家庭科の成績はデッドラインギリギリを彷徨っていた。
りんごの皮剥きテストで、あまりに繋がらない私を慈悲深く見つめていた先生も、そんなに救済を差し伸べるはずがない。
やるしかないのだ。
私はこのやるしかないモードになると
全力失速するタイプだ。
やるしかないことがやりたくない場合、
最悪である。
焦れば焦るほどに、網目は揃わず、キツくなったり、ゆるんだり、目をとり忘れたり。
課題提出日。
それは、マフラーと呼ぶには短すぎた。
くるくるり。が標準とすると
くる？であった。
提出時間が迫る。
おもむろに、端と端をくくりつけた。
先生に差し出す際、
腹巻きです。と紹介した。
先生はきょとんとして、
おだんごは、マフラーを作っていたよね？と
聞いた。
いや、腹巻きでしたね。
ん？マフラーはどこいったの？
志半ばで、苦肉の策です。
だよね。先生はしかと頷き、メモしていた。
成績は覚えていないが、私は留年せず進級したので、昔の高校は柔軟性しかなかったのだろう。
2学期末には何があるかと言えば
これ。街が浮つくこのミュージックが流れるあのイベントである。
おだんご17歳は、初めて編んだマフラーをプレゼントするぜ！とある人に約束していた。
はい、ですね。当時のよき人。ですね。
他校であり、お家の決まりも厳しかったので、
(私ではなく相手)
プレゼント交換で待ち合わせをした。
イルミネーションもなんもない、海洋センターの公園に自転車で集合し、
お互いのプレゼントを渡し合うという健全極まりない、そのイベントで、
よき人は、ほにょ！？となる。
袋を開けて、首を傾げ、
あれ？永瀬正敏になれるマフラーではないのか？と聞いた。
はい、腹巻きです。
なぜ、そんなことに。
私にもわからないんだよ。と答えた。
わからなくないですね。やる気がないだけですね。
簡単に嘘をつく子だった。
腹にするにも足りるかな？と悩んでいたが
優しい人でもらってくれた。
あれは腹巻きではなく、面白エピソードを受け取ったと後に気づいていて、飲み会のお通しネタに昇華していることを願うばかり。
ちなみに、私はキラキラしたアクセサリーをもらった。
モンチッチベリーショートのちんちくりんに、
可愛いネックレスをくれて、本当になんてよい青年だったことでしょう。
これはもう。
悪く言えばあみあみ詐欺。
良く言えばわらしべ長者。
今の世ならば、ネックウォーマーだよ。と気の利いたことが言えるが
当時、あの筒状の形態は、腹巻きしか概念がなかった。
時代が私に追いついていなかったことが悔やまれる。
私の人生ただ一回の編み物。
それはたしかに巻き物でしたが、何を巻けて何を温めたのかは、彼のみぞ知るです。
☆☆☆
今回こちらの企画に参加しました。
くまさんのために一肌脱がないようなおだんごは、みたらしなしの白だんご。
んなわけないよね！ありえないよね！ってことで、
はちみつたっぷり、洋風みたらし仕様で
私の数少ないスイートなネタを書いたぜよ。
ぼたんさんのスマイルスイッチの商品は義母にプレゼントしたことがあります。
しっかりした造りで型崩れせず、収納力もあり。こちらしっかりとした自主的なステマです
↓
いいもんはいいって言うタイプです。
嘘つきはだいぶ前に卒業しました😊
お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。